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10月の鉱工業出荷は、国内向け、輸出向けともに上昇。国内外での経済活動回復の動きに伴い、国内向け、輸出向けともに5か月連続で上昇し、特に輸出向け出荷が大幅に回復した。 2020年12月7日

国内向け出荷、輸出向け出荷ともに、5か月連続の前月比上昇

本年10月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で94.7、前月比4.6%と5か月連続の上昇となり、5月に今基準内の最低水準だった指数値76.8を底に、2月の98.9以来の水準まで回復しました。内需(国内向け出荷)は前月比2.8%、外需(輸出向け出荷)は前月比8.0%と、それぞれ内需・外需ともに5か月連続の上昇になりました。10月は特に外需が大幅な上昇となりました。

出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、10月の指数値は94.2となり、3月の94.4以来の水準まで回復しました。

輸出向け出荷指数は、10月の指数値は94.7となりました。本年3月から5月まで3か月連続で大幅に低下しましたが、その後、6月から10月まで5か月連続で上昇し、10月は前月比8.0%と今基準内で最大の上昇幅になるなど、2月の指数値104.0以来の水準となっています。感染症の影響により、5月まで輸出向け出荷は国内向けより大幅に落ち込みましたが、その後回復を続け、10月は国内向け出荷を上回る回復となりました。

業種別の動き

10月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、10業種が前月比上昇となりました。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも乗用車、トラック等が上昇していました。

それに次ぐ上昇寄与をみせたのは電気・情報通信機械工業でした。なかでも電子計算機、電子応用装置等が上昇していました。

10月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、11業種が前月比上昇となりました。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも船舶・同機関、車体・自動車部品等が上昇していました。

次いで上昇寄与が大きかったのは、汎用・業務用機械工業でした。なかでもポンプ・圧縮機器、ボイラ・原動機等が上昇していました。

需要先用途別の動き

10月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷は前月比2.1%と5か月連続の上昇でした。輸出向け出荷は前月比5.6%と4か月連続の上昇でした。

設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比14.1%と大幅に上昇し、2か月連続での上昇となりました。輸出向け出荷は、前月比7.6%と大幅に上昇し、2か月連続の上昇となりました。国内向け出荷では運搬装置などが、輸出向け出荷では半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置などが、それぞれ10月の大幅な上昇に大きく寄与しています。

建設財については、国内向け出荷は前月比4.7%と3か月ぶりの上昇でした。輸出向け出荷は前月比21.6%と大幅に上昇し、2か月ぶりの上昇となりました。

消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比11.6%、5か月連続の上昇となりました。輸出向け出荷は前月比5.8%、5か月連続の上昇となりました。5月に28.8まで落とした指数値が、10月は86.4と2月の86.7以来の水準まで回復しました。ともに乗用車が上昇に大きく寄与しています。

非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比マイナス3.6%と2か月ぶりの低下、輸出向け出荷は前月比マイナス3.8%と2か月ぶりの低下となりました。

国内向け出荷では、非耐久消費財は低下したものの、資本財、生産財、耐久消費財等が上昇となり、輸出向け出荷でも、非耐久消費財は低下したものの、資本財、生産財、耐久消費財等が上昇となりました。資本財が国内向け、輸出向けとも10月は大きく上昇し、内外での設備投資に回復の兆しも感じさせます。

輸出仕向け先別の動向

10月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、中国向けなどは低下したものの、米国向け、ASEAN向けなどは上昇となっています。諸外国で経済活動の回復が進んできていることで、出荷が上昇したとも考えられます。

10月は特に、5月には感染症の拡大以前の水準まで回復していた中国向けや、9月までに大幅上昇していた欧州向けが若干低下したものの、回復が遅れていた米国向けやASEAN向けが10月は上昇し、感染症の拡大以前の水準近くまで戻してきており、さらなる回復が期待されます。

ただし、各国でも感染症の感染再拡大がみられるため、今後の出荷への影響にも注意が必要です。

輸入品、総供給の動向

一方、輸入の動向をみると、10月は、季節調整済指数で94.6、前月比4.8%と3か月連続の上昇となりました。

業種別の動向をみると、13業種中、9業種が前月比上昇、4業種が低下となり、特に電気・情報通信機械工業が上昇に大きく寄与していました。

国産は前月比2.7%と5か月連続の上昇となり、鉱工業総供給は、前月比4.0%と5か月連続の上昇となりました。

10月の出荷は、国内外で経済活動の回復が進んできていることもあり、6月以降、国内向け・輸出向けともに5か月連続で上昇し、また回復の遅れていた設備投資向けの財の需要も回復の兆しがみられます。他方、11月初旬の製造工業生産予測調査の結果をみると、企業の計画では生産は11月は上昇ですが、12月は低下が見込まれていることから、これまで生産の上昇をけん引してきた出荷についても、これまでの回復の勢いは一服することが考えられます。

一方、国内外で新型コロナウイルス感染症の感染再拡大は続いており、感染症が内外経済を下振れさせるリスクもあることから、出荷は今後、国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくか、十分注意して見ていく必要があると考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202010.html
鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

問合せ先

経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)

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