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本年10月のサービス産業活動は、前月比1.0%と5か月連続の上昇。社会経済活動の制限緩和や各種政策効果も背景に、回復が続いている。10月時点の基調判断は「持ち直している」に上方修正。 2020年12月14日

本年10月の第3次産業活動指数は、前月比上昇

本年10月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値98.3、前月比1.0%と5か月連続の上昇となりました。

サービス産業活動は本年5月まで、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、緊急事態宣言が発出されたこともあり、大幅な低下が続いていました。その後、緊急事態宣言の解除等もあり、6月以降、上昇に転じています。6月に前月比9.0%と大きく戻した後、7月は前月比0.1%と、横ばいに近い小幅な上昇にとどまりましたが、その後も8月以降、やや大きめの上昇が3か月連続で続いています。

活動水準に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響が現れる前の本年1月(指数値101.9)以前と比べると、未だ低い水準ではあるものの、5月までの大幅低下分の8割弱を取り戻し、3月(指数値97.3)を上回る水準まで回復しました。

業種ごとの動向

10月の業種別の動きをみると、11業種中、7業種が前月比上昇、4業種が前月比低下という結果となりました。

10月は、「金融業, 保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、事業者向け関連サービス等は低下したものの、卸売業、生活娯楽関連サービス、情報通信業等が上昇したことにより、サービス産業全体としては上昇することとなりました。

卸売業に関しては、10月は前月比4.7%と、2か月連続の上昇となりました。内訳業種をみると、その他卸売業(機械器具を除く住関連卸売業)、「建築材料, 鉱物・金属材料等卸売業」、機械器具卸売業等が上昇しています。内外での経済活動回復による需要の復調から、製造業の生産やモノの取引も活発化していることなどが上昇要因として考えられます。

生活娯楽関連サービスは、前月比5.4%と、2か月連続の上昇となりました。内訳業種では娯楽業、その他の生活関連サービス業、宿泊業等が寄与しています。10月は劇場・興行団がプロ野球の試合日程の後ずれや前月中旬以降のイベント参加人数制限緩和もあって大きく上昇したことや、旅行業、宿泊業がGo Toトラベル事業での東京発着の対象追加も背景に上昇したことなどが要因として考えられます。

情報通信業は、前月比2.6%と、3か月ぶりの上昇となりました。特にソフトウェア業や情報処理・提供サービス業が上昇しており、このところ低調であったところからの戻りでの上昇と考えられます。

対個人/対事業所サービスの動向

サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。

10月の対個人サービス活動指数は、指数値97.5、前月比1.5%と3か月連続の上昇でした。対事業所サービス活動指数は、指数値98.3、前月比マイナス0.5%と5か月ぶりの低下でした。対事業所サービスについては、10月は低下したとはいえ、6月以降、4か月連続で上昇が続いていましたので、そこからの一服と考えられ、対個人サービスとともに引き続き回復傾向にあるものと考えられます。

製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向

対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算しています。

10月は、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス2.7%と5か月ぶりの低下でした。非製造業依存型事業所向けサービスは前月比0.7%と、2か月連続の上昇でした。

非選択的/し好的個人向けサービスの動向

対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。

それぞれの動向についてみてみると、10月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス0.6%と5か月ぶりの低下でした。し好的個人向けサービスは前月比3.0%と3か月連続の上昇でした。

し好的個人向けサービスは上昇が続いているとはいえ、非選択的個人向けサービスと比べると活動水準の戻りは弱く、更なる上昇が期待されます。

10月時点の基調判断は、「持ち直している」へと上方修正

本年10月のサービス産業活動指数は、前月比1.0%と、5か月連続の前月比上昇となりました。サービス産業活動は、5月までの活動水準の大幅な低下から一転、6月は大幅に上昇し、7月はほぼ横ばいの微増にとどまりましたが、8月以降、3か月連続でやや大きめの上昇が続いています。

この背景には、5月まで新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発出される等、社会経済活動が大幅に抑制されていたところから、6月はその制約が緩和されたことで大幅上昇し、その後、7月の豪雨等の天候不順や、今夏の感染症の感染再拡大もあったものの、感染拡大も一時落ち着く中、社会経済活動の段階的な制限緩和や、Go To事業など各種の需要喚起策の効果が見られたことが考えられます。これにより、8月以降、やや大きめの上昇が3か月連続で続いており、サービス産業活動は着実に回復が続いています。

こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の10月の基調判断については、「持ち直しの動き」から「持ち直している」へと上方修正することとします。

11月以降については、社会経済活動のレベルの引き上げや各種の政策効果により、更なる回復を期待したいところですが、他方、感染症の急速な再拡大により、大人数・長時間の会食を避けるなどの感染防止策の徹底が要請されていることや、Go Toトラベル事業・Go Toイート事業の一部地域を対象とした一時停止・利用自粛要請なども出されており、こうした影響等による下振れリスクにも注意する必要があります。このため、サービス産業活動の先行きについては、引き続き注意してみていきたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202010.html
『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2854)、03-3501-1644(直通)
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