1月のサービス産業活動は、前月比マイナス1.7%と3か月連続の低下。対事業所サービスは大きめの上昇となったものの、対個人サービスはさらに大きく低下したことが指数値を押し下げた。1月時点の基調判断は「足踏みがみられる」に下方修正。 2021年3月15日
- 1月の第3次産業活動指数は、前月比低下
- 業種ごとの動向
- 対個人/対事業所サービスの動向
- 製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向
- 非選択的/し好的個人向けサービスの動向
- 1月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」に下方修正
1月の第3次産業活動指数は、前月比低下
2021年1月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値96.1、前月比マイナス1.7%と3か月連続の低下となりました。
サービス産業活動は、昨年、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、昨春には緊急事態宣言が発出されたこともあり、昨年5月まで大幅な低下が続いていました。その後、緊急事態宣言の解除等もあり、6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、感染症の再拡大により、11月以降低下が続き、再び緊急事態宣言が発出された1月はさらに低下となりました。
活動水準に関しては、昨年の底であった5月の指数値86.4と比べれば高いものの、学校休校要請やイベント自粛要請等が出ていた昨年3月や、Go Toトラベル事業の全国拡大前の昨年9月の指数値97.3を下回る水準となり、一段低下したように感じられるところです。
業種ごとの動向
1月の業種別の動きをみると、11業種中、7業種が前月比低下、4業種が前月比上昇という結果となりました。
1月は、不動産業、卸売業、「金融業, 保険業」等は上昇したものの、生活娯楽関連サービス、「医療, 福祉」、小売業等が低下したことにより、サービス産業全体としては低下することとなりました。
生活娯楽関連サービスに関しては、前月比マイナス11.9%と、2か月連続の低下となりました。内訳業種では「飲食店, 飲食サービス業」、宿泊業、娯楽業が大きく低下に寄与しました。感染症の急拡大により、昨年末から各種の需要喚起策が停止されたことや、外出、帰省等の自粛要請の影響が続いたことに加え、1月は緊急事態宣言の発出等により、営業時間短縮要請や外出自粛要請が強化されたことで、需要が大きく抑制されたことが要因として考えられます。
「医療, 福祉」に関しては、前月比マイナス3.9%と、2か月ぶりの低下となりました。基本的な感染防止策の徹底によるインフルエンザ等従来型の疾病患者数の減少や、医療機関への受診頻度減少等が低下の背景として考えられます。
小売業は、前月比マイナス2.9%と、2か月ぶりの低下となりました。内訳業種では織物・衣服・身の回り品小売業、各種商品小売業等が低下に寄与しています。感染症の再拡大により外出機会が減ったことによる衣料品等への需要の減少や、大雪の影響による客足の減少等もあり、小売業は自動車小売業を除き、全般的に振るわなかったようです。
対個人/対事業所サービスの動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。
1月の対個人サービス活動指数は、指数値92.8、前月比マイナス3.4%と3か月連続の低下でした。対事業所サービス活動指数は、指数値100.1、前月比1.9%と2か月ぶりの上昇でした。
対個人サービスについては、各種需要喚起策の停止や緊急事態宣言の再発出等の影響が現れたものと考えられます。
一方、対事業所サービスについては、昨年6月以降、均してみれば上昇傾向が続いています。こちらは、輸出入や鉱工業生産の回復傾向が続いている影響もあってか、活発さが続いており、対個人サービスとは異なる動きとなっています。
製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算しています。
1月は、製造業依存型事業所向けサービスは前月比2.5%と2か月連続の上昇でした。非製造業依存型事業所向けサービスは前月比1.7%と2か月ぶりの上昇でした。
非選択的/し好的個人向けサービスの動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。
それぞれの動向についてみてみると、1月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス0.6%と3か月連続の低下でした。し好的個人向けサービスは前月比マイナス6.9%と3か月連続の低下でした。後者の方が大幅な低下となっており、いわゆる不要不急の消費が大きく抑制された影響が現れたと考えられます。
1月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」に下方修正
1月のサービス産業活動指数は、前月比マイナス1.7%と、3か月連続の前月比低下となりました。1月は、対事業所サービスは大きめの上昇をみせたものの、対個人サービスがそれを上回る大幅な低下となったことで、サービス産業(第3次産業)活動全体としては低下となりました。
この背景には、対事業所サービスに関しては、輸出入や鉱工業生産の回復傾向が続いていることもあり、対事業所間での事業活動も上昇傾向が続いていると考えられる一方、対個人サービスについては、年末からの各種需要喚起策の停止や、緊急事態宣言の発出等による営業時間短縮要請、外出自粛要請等の強化により、人々の社会経済活動のレベルが大きく引き下げられたことがあります。その結果、両者合わせたサービス業(第3次産業)全体としては、活動量が大きく押し下げられることとなりました。
こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の1月の基調判断については、前月の「持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」から「足踏みがみられる」へと下方修正することとします。
なお、先行きについては、2月も緊急事態宣言が延長されたことで、低い水準が続くと考えられるものの、今後緊急事態宣言の解除の進展等により、社会経済活動のレベルが引き上げられれば、対個人サービスも含め、再び持ち直しの動きに転ずることが期待されます。他方で、内外での感染拡大の影響が続く可能性も懸念されることから、今後の動向についても引き続き注意してみていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202101.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
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