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2021年2月の生産予測調査では、2月計画は前年同月実績を上回り、アニマルスピリッツ指標は7か月連続のプラスとなるなど、企業の生産マインドは改善の動きが続いている。ただし、2月の地震の影響等は十分には織り込まれていないことに注意。 2021年3月16日

経済解析室では、毎月初旬に、主要製品の生産計画を調べています。調査対象製品を製造する企業のうち、主要企業を対象に、その月と翌月の生産計画を調査しています。

今回は、2月初旬に調査した2月と3月の生産計画の状況と、2月初旬段階での企業のマインド、つまり生産計画や見込みが強気だったのか、弱気だったのかを紹介します。

2月の生産計画とその補正値

2月の生産計画は、季節調整済指数で前月比2.1%の上昇を見込むという結果になりました。この計画どおりに生産されれば、2月の鉱工業生産の実績は、2か月連続の前月比上昇となります。

3月の生産計画は、この2月の計画からマイナス6.1%の低下という計画になっています。

なお、今回の調査結果については、2月当初の生産計画に基づくものであるため、2月13日に発生した福島県沖の地震の影響は十分には織り込まれていないと考えられます。そのことに留意して今回の調査結果をみる必要があります。

毎月、生産計画に対して生産実績は下振れする傾向にあります。そこで、調査月の生産計画については、生産実績との間で生じる「ずれ」を統計的に推計し、補正計算を行っています。今回、2月の見通しについて計算したところ、2月は、前月比マイナス0.4%程度の低下になるという結果でした。

生産計画の伸びを当てはめた鉱工業生産のグラフ

生産計画の伸びを3月までの鉱工業生産指数に当てはめてグラフ化すると下のようになります。

1月の鉱工業生産指数実績(確報)は97.8であるため、調査結果の伸び率2.1%をそのまま当てはめれば、2月の指数水準は99.9となる見込みです。

更に、3月の生産計画は、前月比マイナス6.1%低下の見込みですので、仮に2月の生産が計画通りであったとすると、3月の指数水準は93.8となります。

ただし、生産計画に対し生産実績は下振れするという傾向的なバイアスがありますので、このバイアスを過去の傾向に基づき補正すると、2月の伸び率はマイナス0.4%程度となり、この場合、2月の指数水準は97.4と見込まれます。

なお、冒頭述べたように、今回の調査結果には2月上旬以降の情勢変化の影響は十分には織り込まれていないと考えられます。このため、2月13日に発生した福島県沖の地震の影響等により、上の過去の傾向より生産が下振れするリスクに十分注意する必要があります。

生産計画の強気と弱気

生産計画を、前年同月の実績と比較すると、この生産計画がどの程度、強気なのか弱気なのかを判断する一つの目安となります。

2月の生産計画を原指数で見ると、前年同月実績比プラス2.8%となり、2か月ぶりに前年同月実績を上回りました。

生産計画は、昨年6月以降、前年同月実績比のマイナス幅が縮小する傾向が続き、今回、前年同月実績比がプラスとなっていることから、企業の生産マインドは改善していると考えられます。

また、1か月前時点で調べた生産計画が、生産開始直前に調べた生産計画と比べ、どの程度変動したかを示す数値が予測修正率となります。

2月の予測修正率はマイナス0.8%と、3か月ぶりの下方修正となりました。1月当初の1月計画がかなり高めの生産計画であったのに対し1月実績がやや大きめの下振れをしたことから、2月計画も下方修正されたと考えられますが、他方、内外で感染症の再拡大の影響が続いたため、それによる可能性にも注意しておいた方がよいと考えます。

ただし、2月の生産計画は、1月実績比でプラス2.1%と上昇の計画であることから、企業の生産マインドは改善の動きにあるものと考えられます。

生産計画を上方修正した企業数の割合から、下方修正した企業数の割合を引いた数値を「アニマルスピリッツ指標」と呼んでいます。この指標は、企業の生産計画の強気、弱気の度合いを推し量るために活用しています。

この指標の推移とこれまでの景気循環を重ねると、概ねマイナス5を下回ると景気後退局面入りしている可能性が高いという傾向がみられています。

生産計画の2月調査結果では、アニマルスピリッツ指標は3.4と7か月連続でプラスとなりました。月々の上下動をならしたトレンドでも大きくプラスとなっており、生産マインドには依然強気が優勢な様子がみられます。

2月調査では、強気の割合が0.3ポイントの上昇に対し、弱気の割合は1.1ポイントの上昇となったため、アニマルスピリッツ指標は前月から低下となりました。ただし、強気の割合は31.1、弱気の割合は27.7と、7か月連続で強気が弱気を上回り、アニマルスピリッツ指標はプラスが続いています。

昨年6月以降、国内外での経済活動の回復が進んできたことにより、企業の生産マインドの改善も進みましたが、引き続き、企業の生産マインドは強気が優勢な結果となっています。

2月の調査結果では、前年同月実績比やアニマルスピリッツ指標がプラスとなっていることから、企業の生産マインドは強気が優勢な状況が続いているとみられる結果となっています。

他方で、今回の生産計画には2月13日の福島県沖の地震の影響は十分に織り込まれていないことや、当初2月7日までとされていた緊急事態宣言の延長もあったことから、これらが生産の先行きや企業のマインドにも影響を生じさせないか、3月以降の調査でも注意深くみていきたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/yosoku/result-1.html
予測指数解説集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/yosoku/sanko/result-yosoku-sanko-202102.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
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