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2月の鉱工業生産は前月比マイナス2.1%の低下。前月の大幅上昇の反動減に加え、福島県沖地震の影響等もあり、2か月ぶりの低下となったが、均してみれば回復傾向は続いていると考えられる。基調判断は「生産は持ち直している」を据え置き。 2021年3月31日

2月生産は2か月ぶりの前月比低下

2021年2月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.7、前月比マイナス2.1%の低下となりました。2月当初の企業の生産計画に含まれる傾向的な上方バイアスを補正した試算値では、前月比マイナス0.4%の低下(90%レンジではマイナス2.1%~1.3%の間)となっていましたが、実際の2月の生産は、試算値の下限に近い低下となりました。もともと2月当初の企業の生産計画には2月13日の福島県沖地震の影響は十分織り込まれていませんでしたので、その影響もあって2月の生産は例年の傾向より大きめの低下となったと考えられます。

生産は、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月から5月まで大幅に低下した後、6月以降は一転、10月まで勢いのある上昇が続きました。11月、12月は増産が一服していたものの、2021年1月は大幅上昇となり、均してみれば回復基調は続いていますが、2月は低下となりました。

また、2021年2月の生産水準は、感染症拡大前の2020年1月(指数値99.8)と比べても未だ低く、今後も回復を期待したいところです。

11業種が前月比低下、3業種が前月比上昇、1業種が横ばい

2月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、11業種が前月比低下、3業種が前月比上昇、1業種が横ばいという結果でした。

2月は、生産用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)、電子部品・デバイス工業は上昇に寄与したものの、自動車工業、電気・情報通信機械工業、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)等が低下に寄与していました。

主な低下寄与業種についてみてみると、まず、低下寄与の最も大きかった自動車工業は、前月比マイナス8.8%の低下で、2か月ぶりの低下でした。普通乗用車、自動車用エンジン等が低下要因となっています。2月13日の福島県沖地震による部品供給停止や半導体不足の影響もあり、生産減となったと考えられます。

低下寄与2位の電気・情報通信機械工業は、前月比マイナス2.9%の低下で、2か月ぶりの低下でした。基地局通信装置やセパレート形エアコン、一般用タービン発電機等が低下要因となっています。電気・情報通信機械工業は前月に大幅上昇(前月比7.6%)しており、その反動減等があったと考えられます。

低下寄与3位の化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)は、前月比マイナス5.7%の低下で、2か月ぶりの低下でした。合成洗剤や仕上用化粧品等が低下要因となっています。設備点検の影響や、前月の上昇からの反動減があったと考えられます。

出荷は2か月ぶりの低下

2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数94.4、前月比マイナス1.5%と、2か月ぶりの低下となりました。出荷に関しても、1月は前月比3.2%と大きめの上昇でしたが、2月は低下となりました。

業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が低下、3業種が上昇となりました。

低下寄与業種としては、寄与度の大きい順に、自動車工業、電気・情報通信機械工業、その他工業等となっています。低下寄与1位・2位の業種については、生産と同様となっています。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比マイナス1.8%の低下、最終需要財の出荷は前月比マイナス0.5%の低下でした。

最終需要財の出荷について内訳ごとにみると、まず消費財については、前月比マイナス3.2%と、2か月ぶりの低下となりました。そのうち耐久消費財の出荷については、前月比マイナス8.7%と、2か月ぶりの低下となりました。非耐久消費財の出荷は前月比マイナス0.6%と、3か月ぶりの低下となりました。

一方、設備投資に使われる財である資本財(除.輸送機械)の出荷は、前月比2.9%の上昇となり、2か月連続の上昇となりました。

また、建設財は、前月比マイナス1.4%と、2か月ぶりの低下となりました。

財別の出荷動向を通してみると、2020年10月まで生産の回復をけん引していた耐久消費財の出荷はこのところ伸び悩みをみせているものの、他方で耐久消費財や生産財より回復の遅れていた資本財(除.輸送機械)の出荷は回復傾向が続いており、生産回復のけん引役が変わってきている様子がみられます。

在庫は3か月ぶりの低下

2月の鉱工業在庫は、季節調整済指数94.3、前月比マイナス1.0%と、3か月ぶりの低下となりました。在庫は再び今基準内で最低水準まで低下しました。

業種別にみると、15業種のうち、8業種が低下、7業種が上昇となりました。低下寄与が大きかった業種としては、自動車工業、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)、電子部品・デバイス工業等が挙げられます。

2月の生産の基調判断は、「持ち直している」を据え置き

2月の鉱工業生産は、前月比マイナス2.1%の低下となりました。生産は、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年2月から5月まで低下が続いた後、6月以降は一転、回復傾向が続いています。10月まで勢いある上昇が続いた後、11月以降は上下に振れのある動きで推移しており、2021年1月は大きめの上昇となった後、2月は再び低下となりました。

この背景には、1月の大幅上昇の反動減があったことに加え、2月13日に発生した福島県沖地震や半導体不足の影響が自動車工業等に現れたことが挙げられます。

一方、先行きに関しては、企業の生産計画では3月は低下であるものの、4月は大幅な上昇となっています。4月の上昇幅については、実際は計画ほどには上昇しないと考えられますが、生産は上下の振れはありつつも、均してみれば回復傾向は続いているものと考えられます。

こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の2月の基調判断については、「生産は持ち直している」を据え置きます。他方で、先行きに関しては、新型コロナウイルス感染症の感染動向やサプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要があります。3月以降の生産の動向についても十分注意してみていきたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202102s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

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