2021年2月は、国内向け出荷、輸出向け出荷ともに前月比で低下。国内向け出荷では、耐久消費財等が低下した。輸出向け出荷では、中国向け、米国向け等が低下した。 2021年4月6日
輸出向け出荷、国内向け出荷ともに2か月ぶりの前月比低下
2021年2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で94.4、前月比マイナス1.5%と2か月ぶりの低下となりました。出荷は1月に指数値95.8と、2020年2月の98.9以来の水準まで回復していましたが、そこからの低下となりました。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス0.7%、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス1.2%とともに低下となり、2月は内需、外需とも出荷全体のマイナスに寄与しました。
出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、2021年2月の指数値は93.3で、新型コロナウイルス感染症拡大前の2020年1月の97.3と比べると未だ低い水準にとどまっています。
輸出向け出荷指数については、2021年2月の指数値は97.4となりました。2020年3月から5月まで3か月連続で大幅に低下した後、6月から11月まで6か月連続で上昇した後、12月は低下、1月は上昇し、2月は低下となりました。輸出向け出荷は、一時は国内向けより大幅に落ち込みましたが、10月以降は国内向け出荷を上回る回復をみせており、2021年2月は低下したものの、指数値は、感染症拡大前の2020年1月の水準(96.5)を上回っています。
業種別の動き
2月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中5業種が前月比低下となりました。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が低下していました。
次いで低下寄与が大きかったのは、電気・情報通信機械工業でした。なかでも電池、無線通信機器等が低下していました。
2月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種が前月比低下となりました。特に低下寄与が大きかったのは生産用機械工業でした。なかでもその他の生産用機械、基礎素材産業用機械等が低下していました。
次いで低下寄与が大きかったのは、化学工業(除.医薬品)でした。なかでもプラスチック、塗料・印刷インキ等が低下していました。
需要先用途別の動き
2月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷は前月比マイナス1.0%と2か月ぶりの低下でした。輸出向け出荷は前月比マイナス4.5%と3か月ぶりの低下でした。
設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比6.2%と2か月連続の上昇となりました。輸出向け出荷は、前月比マイナス6.4%と2か月ぶりの低下となりました。
建設財については、国内向け出荷は前月比マイナス1.0%と2か月ぶりの低下、輸出向け出荷は前月比マイナス10.8%と3か月ぶりの低下となりました。
消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比マイナス8.4%、2か月ぶりの低下となりました。輸出向け出荷は前月比マイナス11.2%、2か月ぶりの低下となりました。輸出向け出荷は2020年5月に28.8まで低落した指数値が、6月以降連続上昇し、10月には86.4と、感染症拡大前の2019年の85.9を超える水準まで回復しましたが、その後、上昇の勢いは一服しています。2020年2月は福島県沖地震による部品供給停止や半導体不足の影響もあり、国内向け、輸出向けともに乗用車が低下に大きく寄与しました。
非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比0.2%と小幅ながらも3か月連続の上昇、輸出向け出荷は前月比マイナス11.4%と2か月ぶりの低下となりました。
国内向け出荷では、資本財などが上昇したものの、耐久消費財などが低下となりました。輸出向け出荷では、資本財が上昇したものの、生産財や耐久消費財などが低下したことで、輸出向け出荷全体では低下となりました。
輸出仕向け先別の動向
2月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、欧州向け、ASEAN向けなどは上昇したものの、中国向け、米国向けなどが低下となっています。
欧州向けは3か月ぶりの上昇となりましたが、11月までの上昇のような勢いはなく、米国向けは2か月ぶりの低下となり、ともに足下では低水準で推移しています。感染症の再拡大の影響の可能性も考えられます。
アジア向けでは、ASEAN向けは3か月連続の上昇となったものの、1月に大幅上昇していた中国に反動減が見られ、年末にかけて大きく回復していた韓国向けも1、2月は低下するなど、回復にも足踏みがみられます。1月、2月は春節も輸出の動きに影響した可能性がありますので、3月以降の輸出向け出荷の動向も注目されます。
輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、2月は、季節調整済指数で100.7、前月比0.7%と2か月連続の上昇となりました。指数値100.7は2019年9月の103.9以来の水準です。
業種別の動向をみると、13業種中、9業種が前月比上昇、4業種が低下となり、特に鉄鋼・非鉄金属工業が上昇に寄与していました。
国産は前月比マイナス0.6%と2か月ぶりの低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス0.5%と2か月ぶりの低下となりました。
2021年2月の出荷は、国内向け出荷、輸出向け出荷ともにマイナスとなり、2か月ぶりの低下となりました。
他方、先行きについては、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが期待されますが、足下では、国内外における新型コロナウイルス感染症の再拡大や、世界的な半導体不足等、サプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要があります。3月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202102.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html
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