2月のサービス産業活動は、前月比0.3%の上昇。対事業所サービスは低下したものの、対個人サービスの連続低下からの反動増により、4か月ぶりの上昇となった。2月時点の基調判断は「足踏みがみられる」を据え置き。 2021年4月20日
- 2月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
- 業種ごとの動向
- 対個人/対事業所サービスの動向
- 製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向
- 非選択的/し好的個人向けサービスの動向
- 2月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き
2月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
2月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値97.0、前月比0.3%と4か月ぶりの上昇となりました。
なお、今回2月分の公表においては年間補正を行っており、前年2020年1月以降の公表値が見直されていますので、サービス産業(第3次産業)活動指数をご覧いただく際にはご注意ください。
サービス産業活動は、2020年、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、4月には緊急事態宣言が発出され、5月まで大幅な低下が続いていました。その後、緊急事態宣言の解除等もあり、6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、秋以降の感染再拡大による需要喚起策の停止や緊急事態宣言の再発出等もあり、12月以降、再び低下が続きました。しかし、2月は反発し上昇に転じました。
活動水準に関しては、昨年の底であった5月の指数値86.7と比べれば高いものの、依然、学校休校要請やイベント自粛要請等が出ていた昨年3月や、Go Toトラベル事業の全国拡大前の昨年9月の指数値97.3を下回る水準であり、2月は上昇したとはいえ、これまでの活動水準からみれば低い水準にとどまっています。
業種ごとの動向
2月の業種別の動きをみると、11業種中、4業種が前月比上昇、6業種が前月比低下、1業種が横ばいという結果となりました。
2月は、卸売業、情報通信業、電気・ガス・熱供給・水道業等は低下したものの、生活娯楽関連サービス、小売業、「医療, 福祉」等が上昇したことにより、サービス産業全体としては上昇することとなりました。
生活娯楽関連サービスに関しては、前月比8.5%と、3か月ぶりの上昇となりました。内訳業種では「飲食店, 飲食サービス業」、洗濯・理容・美容・浴場業、娯楽業が大きく上昇に寄与しました。前年12月から本年1月にかけては、感染症の再拡大により、各種の需要喚起策の停止や緊急事態宣言の再発出等が行われたため、需要期にもかかわらず需要が大きく抑制され指数値はかなり低下しており、2月はそこからの反動増が生じたことや、12月、1月は大雪もあったのに比べ2月は晴天の日が多かったこともあり客足が増加したことが背景として考えられます。
小売業は、前月比3.0%と、2か月ぶりの上昇となりました。内訳業種ではその他の小売業(別掲を除く住関連)、機械器具小売業、各種商品小売業等が上昇に寄与しています。いずれも1月は感染症の再拡大や大雪の影響による客足の減少等もあり低下しており、そこからの戻りがあったことや、感染再拡大の中で在宅時間の充実に向けた需要増があったことが上昇の背景として考えられます。
「医療, 福祉」に関しては、前月比2.2%と、2か月ぶりの上昇となりました。前月の低下からの戻り上昇が背景として考えられます。
対個人/対事業所サービスの動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。
2月の対個人サービス活動指数は、指数値96.0、前月比2.5%と4か月ぶりの上昇でした。対事業所サービス活動指数は、指数値98.9、前月比マイナス1.3%と2か月ぶりの低下でした。
対個人サービスについては、各種需要喚起策の停止や緊急事態宣言の再発出等により、1月まで低下が続いたところからの反動増による上昇と考えられます。
一方、対事業所サービスについては、昨年6月以降、均してみれば上昇傾向が続いていましたが、2月は低下となりました。2月は次にみるように製造業依存型事業所向けサービスの方が大きく低下していましたので、製造業の生産や輸出が低下したことが対事業所サービスの低下の背景にあると考えられます。
製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算しています。
2月は、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス5.2%と9か月ぶりの低下でした。非製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス0.2%と2か月ぶりの低下でした。2月は製造業の生産や輸出も低下していましたので、それも背景とした製造業依存型事業所向けサービスの低下が対事業所サービスの低下に大きく影響したと考えられます。
非選択的/し好的個人向けサービスの動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。
それぞれの動向についてみてみると、2月は非選択的個人向けサービスは前月比0.5%と2か月連続の上昇でした。し好的個人向けサービスは前月比5.7%と3か月ぶりの上昇でした。し好的個人向けサービスについては、昨年12月、本年1月と、年末年始の需要期に感染拡大防止のために需要が抑制され水準が大きく低下しましたので、そこからの反動増となったと考えられます。
2月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き
2月のサービス産業活動指数は、前月比0.3%と、4か月ぶりの前月比上昇となりました。2月は、対事業所サービスは低下したものの、対個人サービスが上昇となったことで、サービス産業(第3次産業)活動全体としては上昇となりました。
この背景には、2月は特に製造業の生産や輸出低下を背景に対事業所サービスは活動水準が低下したものの、対個人サービスについては、前年12月から本年1月にかけて感染拡大防止のために需要が大きく抑制されていたところからの反動増が現れたことで、両者合わせたサービス業(第3次産業)全体としては、活動量が上昇することとなったと考えられます。ただ、上昇幅としては大きなものでなく、前月までの連続低下からの反動増の域を出ているものではありません。
こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の2月の基調判断については、「足踏みがみられる」を据え置くこととします。
なお、先行きについては、3月には緊急事態宣言が解除されたものの、その後いわゆる第4波とも言われる感染再拡大が生じていることや、3月は製造工業生産予測調査でも生産は低下の見込みとなっていることから、サービス産業(第3次産業)活動が再び持ち直しの動きに転ずるかについては不透明感があるところです。今後の動向についても引き続き注意してみていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202102.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
問合せ先
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