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製造工業の生産計画では、4月は前月比上昇、5月は前月比低下の計画。輸送機械工業では減産が続く見通しであるものの、内外での設備投資の回復やIT関連需要の増加などにより、生産は持ち直し傾向が続くことが期待される。 2021年4月30日

4月の生産は上昇、5月の生産は低下の計画

4月上旬に実施した、4月、5月の企業の生産計画を調査した、生産予測調査の結果です。

4月の生産計画については、調査結果をそのまま集計すると、前月比8.4%の上昇を見込むという結果になっています。ただ、この企業の生産計画には上方バイアスが含まれています。この4月計画値に含まれる上方バイアスを過去の傾向に基づき補正して、4月の鉱工業生産の実績を推計試算してみると、最頻値では前月比4.6%程度の上昇、90%の確率で収まる範囲は前月比2.8%~6.4%の間、という計算結果となっています。

一方、5月の生産計画は、補正前の4月計画値から前月比マイナス4.3%と、低下する計画となっています。ただし、当月の生産が計画より下振れすると、企業は翌月その分生産を増加させることもありますので、5月の生産見込みについては幅を持ってみておいた方がよいと考えます。

4月計画では、9業種で上昇、2業種で低下の計画

4月の生産計画では、全体11業種のうち、9業種が前月比上昇、2業種が前月比低下の計画となっています。上昇寄与度の高い順に、生産用機械工業、電気・情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業等となっています。

他方、低下寄与業種は、輸送機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業となっています。

5月計画では、8業種で低下、3業種で上昇の計画

5月の生産計画では、8業種が前月比低下、3業種が前月比上昇の計画となっています。低下寄与が大きかった業種は、輸送機械工業、生産用機械工業、その他等となっています。

4月、5月の計画を通してみると

4月、5月の2か月の生産計画による業種ごとの生産予測の伸び率を通してみると、以下の図のようになります。

5月までみると、輸送機械工業は大きく低下するものの、生産用機械工業、電気・情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業等が大幅上昇することで、生産は3月比で上昇する形となっています。

4月以降、輸送機械工業では半導体不足の影響により減産が続く見込みであるものの、他方、内外での設備投資の回復やIT関連需要の増加などにより、生産全体では、均してみれば持ち直し傾向が続くことが期待される計画となっています。

なお、仮に企業の生産計画通りの前月比で生産が行われると、4月の鉱工業生産の指数値は105.9、5月の指数値は101.3となります。

一方、4月計画に含まれる上方バイアスを過去の傾向に基づき補正すると、最頻値で前月比4.6%上昇となり、その場合の指数値は102.2となります。

仮に企業の生産計画通りに生産されると、4月の指数値105.9は、感染症の拡大前の2020年1月の生産水準(99.1)を大幅に超え、今基準内で最高の生産水準まで上昇することとなります。企業の生産計画には通常、上方バイアスが含まれていることを考えると、実際には4月にそこまでの高水準には至らない可能性が高いものの、感染症拡大前の2020年1月の生産水準は上回る可能性は十分にあると考えられます。

生産の先行きは上下の振れはあるものの、持ち直し傾向が続くことが期待されます。ただ、感染症の拡大による内外経済の下振れリスクや、半導体不足による影響などサプライチェーンの状況にも引き続き十分注意しておく必要があります。

なお、企業の生産マインドを指標化した「アニマルスピリッツ指標」については、5月19日(水)に4月調査分に更新する予定です。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202103s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
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