経済産業省
文字サイズ変更
アクセシビリティ閲覧支援ツール

2021年3月は、国内向け出荷は前月比で上昇したものの、輸出向け出荷は前月比で低下した。国内向け出荷では生産財等が上昇したものの、輸出向け出荷では資本財等が低下した。 2021年5月12日

国内向け出荷は2か月ぶりの前月比上昇

2021年3月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で95.2、前月比0.8%と2か月ぶりの上昇となりました。出荷は1月に指数値95.6と、2020年2月の98.5以来の水準まで回復し、2月は低下したものの、3月は再び上昇となりました。内需(国内向け出荷)は前月比1.6%の上昇、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス0.8%の低下となり、3月は内需が出荷全体のプラスに寄与しました。

なお、鉱工業出荷内訳表・総供給表は、今回3月分の公表において年間補正を行い、前年2020年1月以降の公表値は見直されていますので、ご注意ください。

出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、2021年3月の指数値は94.8で、新型コロナウイルス感染症拡大前の2020年1月の97.1と比べると未だ低い水準にとどまっています。

他方、輸出向け出荷指数については、2021年3月の指数値は97.2となりました。輸出向け出荷は、一時は国内向けより大幅に落ち込みましたが、10月以降は国内向け出荷を上回る回復をみせています。2021年3月は2か月連続の低下となったものの、指数値は、感染症拡大前の2020年1月の水準(97.1)を上回っています。

業種別の動き

3月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種が前月比上昇となりました。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも船舶・同機関、車体・自動車部品等が上昇していました。

次いで上昇寄与が大きかったのは、鉄鋼・非鉄金属工業でした。なかでも非鉄金属精錬・精製品、電線・ケーブル等が上昇していました。

3月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、7業種が前月比低下となりました。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも船舶・同機関、車体・自動車部品等が低下していました。

次いで低下寄与が大きかったのは、電気・情報通信機械工業でした。なかでも回転電気機械、その他の産業用電気機械等が低下していました。

需要先用途別の動き

3月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷は前月比3.7%と2か月ぶりの上昇でした。輸出向け出荷は前月比マイナス2.9%と2か月連続の低下でした。

設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比マイナス10.6%と3か月ぶりの低下となりました。輸出向け出荷は、前月比マイナス5.8%と2か月連続の低下となりました。

建設財については、国内向け出荷は前月比1.7%と2か月ぶりの上昇、輸出向け出荷は前月比3.2%と2か月ぶりの上昇となりました。

消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比1.3%、5か月ぶりの上昇となりました。輸出向け出荷は前月比17.3%、2か月ぶりの上昇となりました。耐久消費財については、国内向け出荷、輸出向け出荷とも、2020年5月まで大きく低落した後、6月以降10月まで5か月連続で上昇し、大きく回復しましたが、その後、上昇の勢いは一服しています。3月は上昇に転じましたが、国内向け、輸出向けともに特に乗用車が上昇に寄与していました。

非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比0.9%と小幅ながらも4か月連続の上昇、輸出向け出荷は前月比マイナス7.4%と2か月連続の低下となりました。

国内向け出荷では、資本財が低下したものの、生産財などが上昇したことで、国内向け出荷全体では上昇となりました。輸出向け出荷では、耐久消費財などが上昇したものの、資本財などが低下したことで、輸出向け出荷全体では低下となりました。

輸出仕向け先別の動向

3月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、中国向け、欧州向けは上昇したものの、ASEAN向け、韓国向けなどが低下となっています。

欧州向けは4か月ぶりの上昇となりましたが、11月までの上昇のような勢いはなく、米国向けは2か月連続の低下となり、ともに足下では低水準で推移しています。

アジア向けでは、中国向けが上昇へ転じたものの、ASEAN向けは4か月ぶりの低下となり、また2020年は年末にかけて大きく回復していた韓国向けも3か月連続の低下になるなど、回復にも足踏みがみられます。3月以降の輸出向け出荷の動向も注目されます。

輸入品、総供給の動向

一方、輸入の動向をみると、3月は、季節調整済指数で95.8、前月比マイナス6.7%と3か月ぶりの低下となりました。輸入は2020年8月から2021年2月まで上昇傾向で推移しており、2月は指数値102.7と、2019年9月の103.9以来の水準まで上昇したものの、3月は反落しました。

業種別の動向をみると、13業種中、9業種が前月比低下、3業種が上昇、1業種が横ばいとなり、特に鉱業が低下に寄与していました。

国産は前月比1.7%と2か月ぶりの上昇となりましたが、輸入の低下により、鉱工業総供給は、前月比マイナス0.5%と3か月ぶりの低下となりました。

2021年3月の出荷は、輸出向け出荷はマイナスとなったものの、国内向け出荷はプラスとなり、2か月ぶりの上昇となりました。

他方、先行きについては、内外経済の回復に伴い、出荷も中期的には回復が続くことが期待されますが、足下では、国内外における新型コロナウイルス感染症の再拡大や、世界的な半導体不足などサプライチェーンの状況がもたらす影響にも十分注意する必要があります。4月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、十分注意して見ていきたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202103.html
鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

問合せ先

経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)

経済解析室ニュース一覧へ戻る

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.