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3月のサービス産業活動は、前月比1.1%の上昇。対個人サービスは横ばい推移であったものの、対事業所サービスが上昇したことにより、5か月ぶりの上昇となった。3月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き。 2021年5月18日

3月の第3次産業活動指数は、前月比上昇

3月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値97.5、前月比1.1%と5か月ぶりの上昇となりました。

サービス産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、2020年4月には1回目の緊急事態宣言が発出され、2020年5月まで大幅な低下が続いていました。その後、1回目の緊急事態宣言の解除等もあり、2020年6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、感染再拡大による需要喚起策の停止や2回目の緊急事態宣言の発出等もあり、2020年12月から2021年2月まで、再び低下しました。

2021年3月は、2回目の緊急事態宣言の対象区域の縮小を伴う段階的な解除等を受けて、それまでの低下の反動などによって上昇に転じました。

ただし、サービス産業の活動水準については、昨年の底であった2020年5月の指数値86.7と比べれば高いものの、感染拡大防止のためのスポーツ・文化イベントの延期などが本格化する前の2020年2月の指数値101.4を下回る水準であり、2021年3月は上昇したとはいえ、これまでの活動水準からみれば低い水準にとどまっています。

業種ごとの動向

3月の業種別の動きをみると、11業種中、9業種が前月比上昇、2業種が前月比低下という結果となりました。

3月は、卸売業、生活娯楽関連サービス、「運輸業, 郵便業」等が上昇したことにより、サービス産業全体としては上昇することとなりました。

卸売業は、前月比2.9%と、2か月ぶりの上昇となりました。内訳業種では、機械器具卸売業やその他卸売業(機械器具を除く住関連卸売業)が上昇に寄与しています。3月は、製造業の生産や出荷の水準が前月比で上昇していましたので、それも背景として、機械器具卸売業が上昇したものと考えられます。

また、生活娯楽関連サービスについては、前月比3.0%と、2か月連続での上昇となりました。内訳業種では、旅行業や宿泊業が上昇に寄与しました。2020年12月から2021年1月にかけては、感染症の再拡大を受けて、各種の需要喚起策の停止等の影響を受け、指数は大きく低下しましたが、2月以降は天候に恵まれ客足が伸びたことや、2回目の緊急事態宣言の対象区域の縮小を伴う段階的な解除等を受けて、2月、3月はそこからの反動増などで、上昇したものと思われます。

『対個人/対事業所サービス』の動向

サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができます。

3月の対個人サービスは、指数値94.9と横ばいでの推移となり、対事業所サービスは、指数値100.0、前月比1.1%と2か月ぶりの上昇でした。

特に、対事業所サービスについては、2020年6月以降、後方3か月移動平均で均してみれば、上昇傾向が続いています。

『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向

対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算しています。

3月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比1.3%、非製造業依存型事業所向けサービスが前月比0.9%と、ともに2か月ぶりの上昇でした。

特に、製造業依存型事業所向けサービスについては、2月に製造業活動や輸出取引が低調でしたが、3月にはその反動増が現れたと考えられます。

『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向

対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算しています。

それぞれの動向についてみてみると、3月は、非選択的個人向けサービスが前月比マイナス1.7%と2か月連続の低下となる一方で、し好的個人向けサービスは前月比2.3%と2か月連続の上昇でした。

し好的個人向けサービスについては、昨年12月、本年1月と、年末年始の需要期に感染拡大防止のために需要が抑制され水準が大きく低下しましたので、そこからの反動増が継続したと考えられます。

3月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き

3月のサービス産業活動指数は、前月比1.1%と、5か月ぶりの前月比上昇となりました。3月は、対個人サービスは横ばいであったものの、対事業所サービスが上昇したことで、サービス産業活動全体としては上昇となりました。

この背景としては、2月は製造業活動や輸出取引の低下により対事業所サービスの活動水準が低下しましたが、3月にはその反動増が現れたことや、対個人サービスも全体では横ばいであるものの、し好的サービスについては緊急事態宣言の解除を受けた取り戻しの動きがみられたことが考えられます。ただ、上昇幅としては、前月までの連続低下からの反動増の域を出ているものではないと考えています。

こうした状況を踏まえ、サービス産業活動指数の3月の基調判断については、「足踏みがみられる」を据え置くこととします。

なお、先行きについては、いわゆる第4波とも言われる感染再拡大が生じていることを受けて、4月には3回目の緊急事態宣言が発出され、その後対象区域の追加や期間延長(~5月31日)となっていることから、サービス産業活動が再び持ち直しの動きに転ずるかについては不透明感が大きいところです。今後の動向についても、引き続き注視してまいります。

以 上

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202103.html
『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html

問合せ先

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