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2021年4月の生産予測調査では、感染症拡大前より高い生産水準を目指す計画となっており、アニマルスピリッツ指標は9か月連続のプラスとなるなど、企業の生産マインドは強気の状況が続いている。 2021年5月19日

経済解析室では、毎月初旬に、主要製品の生産計画を調べています。調査対象製品を製造する企業のうち、主要企業を対象に、その月と翌月の生産計画を調査しています。

今回は、4月初旬に調査した4月と5月の生産計画の状況と、4月初旬段階での企業のマインド、つまり生産計画や見込みが強気だったのか、弱気だったのかを紹介します。

4月の生産計画とその補正値

4月の生産計画は、季節調整済指数で前月比8.4%の上昇を見込むという結果になりました。この計画どおりに生産されれば、4月の鉱工業生産の実績は、2か月連続の前月比上昇となります。

5月の生産計画は、この4月の計画からマイナス4.3%の低下という計画になっています。

毎月、生産計画に対して生産実績は下振れする傾向にあります。そこで、調査月の生産計画については、生産実績との間で生じる「ずれ」を統計的に推計し、補正計算を行っています。今回、4月の見通しについて計算したところ、4月は、前月比4.6%程度の上昇になるという結果でした(過去の傾向から90%の確率で収まる範囲は、2.8%~6.4%の上昇)。

生産計画の伸びを当てはめた鉱工業生産のグラフ

生産計画の伸びを5月までの鉱工業生産指数に当てはめてグラフ化すると下のようになります。

3月の鉱工業生産指数実績(確報)は97.2であるため、調査結果の伸び率8.4%上昇をそのまま当てはめれば、4月の指数水準は105.4となる見込みです。

更に、5月の生産計画は、前月比マイナス4.3%低下の見込みですので、仮に4月の生産が計画通りであったとすると、5月の指数水準は100.9となります。

ただし、生産計画と生産実績の間には傾向的なバイアスがありますので、このバイアスを過去の傾向に基づき補正すると、4月の伸び率は最頻値では4.6%程度となり、この場合、4月の指数水準は101.7と見込まれます。

なお、4月の伸び率が90%の範囲で収まる範囲の下限値2.8%であったとしても、4月の指数水準は99.9となりますので、4月の生産については、過去の傾向からは感染症拡大前の2020年1月の生産水準(99.1)を上回る可能性が十分にあると考えられます。

生産計画の強気と弱気

生産計画を、前年同月の実績と比較すると、この生産計画がどの程度、強気なのか弱気なのかを判断する一つの目安となります。

4月の生産計画を原指数で見ると、前年同月実績比プラス25.4%となり、5か月連続で前年同月実績を上回りました。

ただ、前年同月実績比を見るにあたっては、前年の実績が感染症拡大の影響により大きく減少している点に注意が必要です。前年2020年の4月生産実績はマイナス17.3%の減少であり、この生産が大幅に減少した前年との比較では今回4月の生産計画はプラスとなっていますが、更に、感染症の影響を受けていない前々年2019年4月の生産実績との比較でも、今回4月の生産計画は3.7%とプラスとなっています。

企業の生産計画は感染症拡大前より高い生産水準を目指すものとなっていることを考えると、企業の生産マインドは強気であると考えられます。

次に、1か月前時点で調べた生産計画が、生産開始直前に調べた生産計画と比べ、どの程度変動したかを示す数値が予測修正率となります。

4月の予測修正率はマイナス0.1%と、2か月ぶりの下方修正となったものの、ほぼ横ばい程度の微減にとどまっており、高い生産水準を目指す計画が続いていることから、企業の生産マインドは弱気というほどではないものと考えられます。

生産計画を上方修正した企業数の割合から、下方修正した企業数の割合を引いた数値を「アニマルスピリッツ指標」と呼んでいます。この指標は、企業の生産計画の強気、弱気の度合いを推し量るために活用しています。

この指標の推移とこれまでの景気循環を重ねると、概ねマイナス5を下回ると景気後退局面入りしている可能性が高いという傾向がみられています。

生産計画の4月調査結果では、アニマルスピリッツ指標は8.0と9か月連続でプラスとなりました。月々の上下動をならしたトレンドでも大きくプラスとなっており、生産マインドには依然強気が優勢な様子がみられます。

4月調査では、強気の割合が3.0ポイント低下し、弱気の割合は0.1ポイントの上昇となったため、アニマルスピリッツ指標は前月から低下となりましたが、依然として、強気が弱気を上回りました。

昨年6月以降、国内外での経済活動の回復が進んできたことにより、企業の生産マインドの改善も進みましたが、引き続き、企業の生産マインドは強気が優勢な結果となっています。

4月の調査結果では、生産計画の感染症拡大前の前々年同月との実績比やアニマルスピリッツ指標がプラスとなっていることから、企業の生産マインドは強気が優勢な状況が続いているとみられます。

他方で、感染症の拡大による内外経済の下振れリスクや、半導体不足による影響などサプライチェーンの状況が、生産の先行きや企業のマインドに影響を生じさせないかについては注意の必要があり、5月以降の調査でも注意深くみていきたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/yosoku/result-1.html
予測指数解説集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/yosoku/sanko/result-yosoku-sanko-202104.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
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