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4月のサービス産業活動は、前月比0.7%の低下。対事業所サービスは上昇を継続したものの、対個人サービスが低下したことにより、2か月ぶりの低下となった。4月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き。 2021年6月15日

4月の第3次産業活動指数は、前月比低下

4月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値98.0、前月比マイナス0.7%と2か月ぶりの低下となりました。

サービス産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、2020年4月には1回目の緊急事態宣言が発出され、2020年5月まで大幅な低下が続いていました。その後、1回目の緊急事態宣言の解除等もあり、2020年6月以降、5か月連続で上昇が続きましたが、感染再拡大による需要喚起策の停止や2回目の緊急事態宣言の発出等もあり、2020年12月から2021年2月まで、再び低下しました。

その後、2021年3月には、2回目の緊急事態宣言の対象区域の縮小を伴う段階的な解除等を受けて、それまでの低下の反動などによって上昇に転じましたが、4月は、まん延防止等重点措置や3回目の緊急事態宣言の発出等を受けて、再び低下しました。

なお、サービス産業の活動水準については、昨年の底であった2020年5月の指数値86.7と比べれば高いものの、感染拡大防止のためのスポーツ・文化イベントの延期などが本格化する前の2020年2月の指数値101.4を下回る水準であり、これまでの活動水準からみれば低い水準にとどまっています。

業種ごとの動向

4月の業種別の動きをみると、11業種中、6業種が前月比低下、4業種が前月比上昇、1業種が横ばいという結果となりました。

4月は、情報通信業が上昇したものの、小売業や「運輸業, 郵便業」が低下したことなどにより、サービス産業全体としては低下することとなりました。

小売業は、前月比マイナス5.3%と、3か月ぶりの低下となりました。内訳業種では、自動車小売業、織物・衣服・身の回り品小売業などが低下に寄与しています。4月は、まん延防止等重点措置や3回目の緊急事態宣言の発出等を受けて、自動車や織物・衣服・身の回り品などでの小売活動が低下したものと考えられます。

また、「運輸業, 郵便業」については、前月比マイナス3.3%と、3か月ぶりの低下となりました。内訳業種では、鉄道業などが低下に寄与しました。4月のまん延防止等重点措置や3回目の緊急事態宣言の発出等を受けて、鉄道需要が減少したものと思われます。

『対個人/対事業所サービス』の動向

サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができます。

4月の対個人サービスは、指数値95.2、前月比マイナス1.8%と3か月ぶりに低下に転じる一方で、対事業所サービスは、指数値101.5、前月比1.0%と2か月連続での上昇でした。

特に、対個人サービスは、まん延防止等重点措置や3回目の緊急事態宣言の発出等を受けて、自動車小売業や織物・衣服・身の回り品小売業を始めとしたサービス活動の低下が要因として考えられます。

他方で、対事業所サービスは、2020年6月以降、後方3か月移動平均で均してみれば、上昇傾向が続いており、4月は、ソフトウェア業や情報処理・提供サービス業などでのサービス活動の上昇が要因として考えられます。

『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向

対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算しています。

4月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比マイナス0.5%と低下する一方で、非製造業依存型事業所向けサービスが前月比2.1%と上昇しました。

特に、非製造業依存型事業所向けサービスについては、2か月連続での上昇となり、非製造業向けのソフトウェア業や情報処理・提供サービス業などでのサービス取引が好調であったと考えられます。

『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向

対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算しています。

それぞれの動向についてみてみると、4月は、非選択的個人向けサービスが前月比0.1%と2か月連続の上昇となる一方で、し好的個人向けサービスは前月比マイナス4.4%と3か月ぶりの低下でした。

特に、4月のし好的個人向けサービスについては、まん延防止等重点措置や3回目の緊急事態宣言の発出等を受けて、需給が一定程度抑制され、サービス活動が低下したと考えられます。

4月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き

4月のサービス産業活動指数は、前月比マイナス0.7%と、2か月ぶりの低下となりました。4月は、対事業所サービスが上昇したものの、対個人サービスが低下したことで、サービス産業活動全体としては低下となりました。

対事業所サービスの上昇は、情報サービス分野での取引活動の好調が継続したことなどが影響していると考えられます。他方で、対個人サービスの低下は、まん延防止等重点措置の適用や3回目の緊急事態宣言の発出等を受けて、自動車や織物・衣服・身の回り品等の小売販売などのし好的サービスが低下に転じたことなどが影響していると思われます。

こうした状況を踏まえ、サービス産業活動指数の4月の基調判断については、「足踏みがみられる」を据え置くこととします。

なお、先行きについては、いわゆる第4波とも言われる感染再拡大を受けて、4月から5月にかけて、まん延防止等重点措置の適用や3回目の緊急事態宣言が発出され、緊急事態宣言は10都道府県で6月20日まで継続予定であることなどから、サービス産業活動が再び持ち直しの動きに転ずるかについては不透明感が大きいところです。今後の動向についても、引き続き注視してまいります。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202104.html
『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2854)、03-3501-1644(直通)
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