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7月の電子部品・デバイス工業の生産・出荷を動かした液晶と半導体

2015年7月速報の鉱工業生産では、電子部品・デバイス工業の生産低下が生産全体の前月比を押し下げました。7月の鉱工業出荷においても同様でした。これで、5月、6月、7月と3か月連続で、電子部品・デバイス工業の生産と出荷は前月比低下となっていました。

7月の電子部品・デバイス工業の生産や出荷を低下させた個別品目は、アクティブ型液晶素子やモス型半導体でした。そこで、こういった品目の生産指数のここ数年の動きについて確認してみたいと思います。

まず、液晶素子の生産指数の2008年からの動きです。

鉱工業指数では、アクティブ型液晶素子について、「大型」と「中・小型」に分けて指数を作成しています。大型の液晶素子は7.7型より大きいもので、薄型テレビやパソコンのモニター用です。中・小型の液晶素子は、それより小さいもので、主にスマートフォンやタブレット端末用です。

2010年を境にして、大型の液晶素子の生産が低迷している一方、中・小型の液晶素子の生産は、文字通り「うなぎ登り」に増加しており、今年の4月には、季節調整済みの生産指数で332となり、2010年の平均的生産量の3倍の量を生産していたことになります。この同じ月の大型の液晶素子の生産指数は90.6で、前後の月よりは大きい値ですが、2010年平均の生産量からは1割近く少ない量しか生産していないことになります。

次に、半導体集積回路の生産指数の動きです。

鉱工業指数では、モス型半導体集積回路について、用途別に「マイコン」「ロジック」「メモリ」「CCD」の4つに分けて指数を作成しています。ごく簡単に言えば、「マイコン」「ロジック」は「考える脳」で、「メモリ」は「記憶する脳」、そして「CCD」は「目」です。

この4品目は、好調な「メモリ」「CCD」と低迷する「マイコン」「ロジック」にはっきりと分かれます。現在国内で生産されている「メモリ」とは、前世紀に「日の丸半導体」として一世を風靡したDRAMと言われるパソコン向けのメモリではなくて、フラッシュメモリと言われるもので、スマートフォンなどの携帯型の情報通信機器によく使われているものです(一部には、据え置きコンピュータのハードディスクの代替としても利用されます)。「CCD」も、スマートフォンなどのカメラに使われています(最近は車載用にも出荷されているものと思われます)。

7月の電子部品・デバイス工業の生産・出荷を動かした液晶素子や半導体集積回路の生産推移には、情報通信機器における世代交代が明瞭に表れているものと思います。

最終更新日:2015年9月8日
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