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経済解析室ひと言解説集
- 好調なはずの宿泊業ですが、相対的に旅館は不調
好調なはずの宿泊業ですが、相対的に旅館は不調
最近、旅行や出張時に国内のビジネスホテルが満室で予約が取れない、宿泊料金が上がっているという話題を耳にします。その理由のひとつとして、日本を訪れる外国人旅行者が増加していることがあげられます。そこで、今回は、第3次産業活動指数の中の「宿泊業」の動向をみていきたいと思います。
最初のグラフは、第3次産業活動指数の「宿泊業」の動向をグラフにしたものです。
宿泊業は、東日本大震災を挟んで低下傾向から上昇傾向に転じています。
宿泊業の推移の方向が転換した理由は、宿泊業を構成している「ホテル」と「旅館」の動向の違いにあります。
まず、震災前をみてみると、ホテルが横ばいで推移しているのに対して、旅館が大きく落ち込んでおり、宿泊業は旅館の影響を受けて低下となっていました。次に、震災後をみてみると、ホテル業が大きく上昇した一方で、旅館はわずかな低下にとどまったため、宿泊業はホテルに牽引されて上昇となったことが分かります。
何故、ホテルと旅館にこのような違いが生じたのでしょうか。その答えは、訪日外客の宿泊先にあります。下のグラフは、日本人と外国人におけるタイプ別宿泊比率をグラフにしたものです。
外国人の旅館への宿泊比率は、日本人のそれよりも10%以上低くなっています。つまり、東日本大震災以、訪日外客は増加していますが、その多くが旅館ではなく、ホテルを宿泊先に選んでいるということになります。
2020年の東京オリンピック開催に向けて、様々な環境整備が進む中、訪日外客数の更なる増加が見込まれています。旅館宿泊者に占める外国人のお客様の割合は、数年前の1%以下の水準からすると、この1、2年で急速に高くなってきてはいるものの、外国人のお客様にとってはまだまだ旅館への馴染みが薄く敬遠しがちなようです。
一方で、旅館への宿泊は、日本文化に触れる良い機会とも捉えることもできます。今後の宿泊施設不足解消のためにも、旅館施設ならではの「おもてなし」策で、外国客の利用率を増やしていくことが望まれるかと思います。