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経済解析室ひと言解説集
- グローバル出荷指数を使って、日系製造業のアメリカ向け総供給指数を試作してみました
グローバル出荷指数を使って、日系製造業のアメリカ向け総供給指数を試作してみました
経済解析室では、製造業のグローバル展開を踏まえ、国内外の製造業の出荷動向を「業種別」に一元的に捉えるための指標として、四半期ごとに「グローバル出荷指数」を作成、公表しています(最新は、平成27年第Ⅱ四半期分)。
ここでは、グローバル出荷指数を構成する要素のうち、日本国内からの「輸出向け出荷」、海外現地法人からの「自国向け出荷」と「第三国向け出荷」の3系列について、アメリカ向けに出荷されるもののウェイトを作成し、日系製造業のアメリカ向け総供給指数を試作してみました。
日系製造業企業によるアメリカ向け出荷全体について前年同期比の推移をみてみます。平成21年の1年間についてはリーマンショックの影響により、また平成23年の第Ⅱ四半期と第Ⅲ四半期については東日本大震災の影響によりそれぞれ低下しています。しかし、それ以外の期間では常に前年同期を上回る水準で推移しています。また、出荷元別の前年同期比寄与をみますと、日系製造業のアメリカ向け出荷の伸びは、アメリカの拠点からの出荷の伸びによるものであることが分かります。特に、24年の第Ⅲ四半期以降は「日本からの輸出」の寄与が縮小し、「現地からの出荷」の影響度が相対的に拡大しています。
では、業種別にみた場合はどうでしょうか?ウェイトの上位2業種である輸送機械工業とはん用・生産用・業務用機械工業についてみてみましょう。
まずは、輸送機械工業の前年同期比ですが、製造業全体とほぼ同様に平成21年と平成23年の第Ⅱ四半期から第Ⅳ四半期までを除いて、上昇基調となっています。出荷元別の寄与については、大部分を「現地からの出荷」が占めるという状況が続いています。
一方、はん用・生産用・業務用機械工業ですが、前年同期比は平成21年と平成25年の第Ⅲ四半期、第Ⅳ四半期を除いて上昇となっています。出荷元別の寄与については、大部分を「日本からの輸出」が占めるという状況が続いています。
製造業全体では、アメリカ向け出荷の伸びには、「現地からの出荷」の寄与が拡大してきたのですが、グローバル化とひと言では片付けられない業種ごとの違いもあることも分かります。
平成27年は製造業の国内回帰が報じられることもありましたので、「日本からの輸出」の寄与が高まっていくのか、今後の動向が気になるところです。
(注)アメリカ向け総供給指数の作成方法の詳細については、下記の資料を参照。
アメリカ向け総供給指数の作成方法(PDF/344KB)