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消費者に「届ける」川下業種が好調で、「作る」川上業種の勢いが弱いコンテンツ関連産業指数
「コンテンツ産業」とは、一般に、映像(映画、アニメ、TV番組)、音楽、ゲーム、書籍等の制作・流通を担う産業の総称と言われています。第3次産業活動指数で作成している「コンテンツ関連産業」も、この考えに基づき、第3次産業活動指数の内訳系列の中から、これに関連する産業を集めました。具体的には、下表にあるとおり、新聞、書籍、映像などを制作し流通させるビジネスサービス(供給側)から、DVDレンタルや映画館などコンテンツ提供サービス、遊園地などのようにキャラクターやストーリーを通じて「楽しみ」を提供するサービスといった消費者(需要側)に近いサービスまで広く含めた構成となっています。
コンテンツ関連産業でも、多くの産業にみられるように、東日本大震災時に大きな落ち込みが確認出来ます。とはいえ、平成23年末には震災前の水準にまで回復し、その後横ばいで推移していました。
消費税率引上げ後は再び低下に転じており、長期的にみても、右肩下がりというのがグラフから読み取れます。
「ネット社会」が到来したといわれ、「もの作り」から「こと作り」と言われる昨今、コンテンツ関連産業が低下傾向というのは意外に感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、平成22年と平成27年で内訳構成業種ごとの5年間の変化率をみてみました。
すると、消費者に対してコンテンツを直接提供する「流通」側とコンテンツを作り出す「制作」側では動きがはっきりと分かれています。いわば、「川下好調、川上不調」という結果になっています。
ネットを介して映像、音楽、文章、オンラインゲーム(スマホゲーム)等を配信する「コンテンツ配信業務」の好調さからはスマートフォンやタブレット端末などの急速な普及がみてとれますし、映画やアニメの人気キャラクターを活用したアトラクションやイベントが人気を博している遊園地・テーマパークも好調です。
音楽・映像ソフトレンタルは、各社の競争でレンタル価格の低下が続いており、売上高は伸びていないものの、平成22年に比べ貸出量は増えているようです。
このように、全般的に順調とは言えないコンテンツの制作を担う産業(川上業種)に比べ、コンテンツの流通・提供を担う産業(川下業種)には、かなり好調な業種も散見されるという特徴がみられます。
しかし、好調なコンテンツ配信業務、遊園地・テーマパーク、音楽・映像ソフトレンタルのウェイトは、コンテンツ関連産業全体の約1割に過ぎず、全体を押し上げるまでの影響はありません。
昨今では、動画サイトが人気を博したり、入場者参加イベントが盛んだったりと、消費者(需要側)がコンテンツを提供する側に回る「消費者発信型メディア」「消費者生成メディア」(CGM:Consumer Generated Media)という概念が提唱されています。
第3次産業活動指数の再編集系列である「コンテンツ関連産業」指数の動きからも、こういったコンテンツ関連産業におけるトレンドの変化が垣間見ることができたのではないかと思います。