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タクシーの運転者さんの景況感は、「タクシー乗降場の待ち客数」を見るのか、「自分の売上」を見るのかで変わるのかもしれません

タクシーに乗ると、「最近、景気どう?」などと、運転者さんに話しかける方もおられるのではないでしょうか。統計調査においても、タクシー乗務員の方は、「地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々」として、調査の対象になっています(内閣府「景気ウォッチャー調査」*)。しかし、「景気」と言われて思い浮かべるものは、人によって様々です。例えば、景気ウォッチャー調査では、景気の判断を聞くことに併せて、そう判断した理由も聞いているのですが、それによると、タクシー乗務員の判断理由は、自身の売上の動向であったり、観察される客足の動向であったりと様々です。


タクシー乗務員の賃金には歩合給が含まれるため、売上が増えれば収入も増えます。しかし、個々の乗務員の方の収入とタクシー業全体の旅客数とは、必ずしも同じ動きをするわけではないようです。


経済産業省が公表する第3次産業活動指数では、タクシー業の活動指数を公表しています。タクシー業活動指数は、東京における旅客数を基に算出しています。これと、実働1日1車当たりの運送収入(日車営収)を比較してみたのが下のグラフです。これによると、活動指数は、リーマン・ショック以降急激に下落したまま回復せず、緩やかな低下傾向が続いています。一方で、日車営収は平成21年度に底を打って以降、回復傾向にあります。



旅客数は減っているのに、営業収入が上がっている理由は何でしょうか?この間、消費税率の引き上げ(平成26年4月)を除けばタクシー料金に大きな変化はないようですので(左図)、車両数、つまり、タクシーの供給が減ったことが理由の一つに考えられます**(右図)。旅客数が減ったものの車両数も減り、1車あたりの売上が増えた事が日車営収(営業収入)を上昇させたというわけです。


「最近、景気どう?」の問いへの答えは、タクシー運転者の方が自分の売上を見て答えるか、タクシー乗降場の待ち客数を見て答えるかによって、異なりそうです。



* 景気ウォッチャー調査では、他にも商店街代表者など様々な職種の方が調査対象になっています。

** 平成21年10月からタクシー適正化・活性化法が施行され、供給過剰に陥っている特定地域について減車等が推し進められました。

最終更新日:2016年4月6日
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