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機械設計業の売上高は製造業設備投資額の先行指標となり得るか

経済産業省の特定サービス産業動態統計では、機械設計業の売上高を毎月公表しています。

機械設計業の調査の対象となる企業は、「機械、電気工学を基本として創意、考案し、機械の物理的実態の具体的構造を決定して、その機械を製造するための計画組立図面及び設計書等の作成並びに製作可能な詳細図面を作成する業務を行う企業」です。機械設計業の具体的な業務としては、自動車部品設計、自動車生産設備(組立ラインなど)の設計、産業機械設計などが挙げられます。


今回は、平成27年の機械設計業の売上高を確認するとともに、この機械設計業の売上高が製造業の設備投資の先行指標となり得るかを検証してみました。


まず、機械設計業の売上高を見てみると、平成27年は、「全体」で1,488億2,500万円でした。売上高全体に占める業務種類別割合は、「基本設計」が13.9%、基本設計に基づき、機械や装置の機能・構造・機構などの具体化を図る「計画設計」が34.7%、「詳細設計」が47.6%、「その他」が3.8%となっています。



次に、機械設計業の売上高と財務省の法人企業統計調査の製造業設備投資額の関係を見てみます。

左下のグラフは、機械設計業の「基本設計」の売上高と製造業の設備投資額について、それぞれの系列から趨勢循環成分のみを抽出して比較してみたものになります。「趨勢循環成分」とは、その系列が長期的に上向いているのか、下向いているのかという成分と、景気サイクルに沿って変動する成分をあわせたものであり、その系列の基調的な動きを示していると考えられています(突発的な要素を含まない)。このグラフでは、機械設計業の「基本設計」の売上高が製造業の設備投資額に先行している、つまり設備投資が下がり始めるタイミングよりも先に低下し、逆に設備投資が上がり始めるタイミングより先に上昇しているように見えます。

そこで、両者の時差相関係数を計測してみると、製造業の設備投資額に対して、2四半期前の機械設計業「基本設計」の売上高との相関が、相関係数0.70と最も強くなっていることがわかりました。「基本設計」以外の系列について、製造業の設備投資額との関係をみると、1四半期前の機械設計業「全体」の売上高(相関係数0.56)、1四半期前の「計画設計」の売上高(同0.64)、1四半期前の「詳細設計」の売上高(同0.51)との相関が、それぞれ最も強くなっています。やはり、機械設計業の売上高は、それぞれ製造業の設備投資額に対して先行性を有しており、機械設計業の売上高は、製造業の設備投資額に対して、1四半期ないし2四半期先行して動く傾向にあります。

特に、「基本設計」の相関係数が最も高く、一般的に「相関が強い」と言っても良いレベルにあります。



企業の設備投資に対する先行指標としては、内閣府の機械受注統計調査や日本銀行の全国企業短期経済観測調査の業況判断DIがよく利用されていますが、製造業の設備投資に対する先行指標としては、この特定サービス産業動態統計調査の機械設計業売上高、特に「基本設計」も、併せて参考にできるものと思われます。


最終更新日:2016年5月20日
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