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経済解析室ひと言解説集
- 第3次産業活動指数における「人手型サービス」と「設備型サービス」『その1』
第3次産業活動指数における「人手型サービス」と「設備型サービス」『その1』
第3次産業活動指数では、業種別の系列を再編集して、「人手」に比べて「設備」をより必要とするタイプのサービスである「設備型サービス」指数と、反対に、「設備」に比べて「人手」をより必要とするタイプのサービスである「人手型サービス」指数を作成しています。具体的には、産業連関表から資本減耗と雇用者報酬の大小を比較し、資本減耗の方が大きい系列を「設備型サービス」に、雇用者報酬の方が大きい系列を「人手型サービス」に分類し、各々ウェイトに応じて統合することで作成しています。
2010年基準の現行指数では、設備型サービスのウェイトは、2002.9、人手型サービスのウェイトは7997.1で、ほぼ1:4という関係です。やはり第3次産業=サービスビジネスということで、設備よりも人手を要する事業が多いようです。
下表は、人手型サービスに分類される業種と、設備型サービスに分類される業種の顔ぶれです。設備型サービスの顔ぶれは、エネルギー、鉄道旅客運送、水運、航空運輸と、大型の設備が思い浮かぶ先ばかりで、なるほど、という感じではないでしょうか。人手型サービスに目を向けると、情報サービス、小売、生活関連娯楽サービスと、多くの人手を要する先が軒並み連なり、こちらもなるほど、という感じかと思います。意外感がある先と言えば、同じ鉄道運送でも、旅客は設備型なのに、貨物は人手型に分類される点でしょうか。
次に、設備型サービス指数と人手型サービス指数の推移を見てみましょう。両者の比較で特徴的なのは、相対的に人手型サービスの変動が激しい点です。リーマン・ショック、東日本大震災、消費税引上げをきっかけとした下落局面やその後の回復局面において、人手型サービスの変動幅の大きさが目立ちます。変動係数を比較すると、人手型の方が設備型の2倍近くばらつきが大きいことが確認できます。
ここで留意して頂きたいのは、人手型サービス指数の変動が激しいからといって、直ちに雇用者数や賃金の変動が激しいことを意味するわけではない点です。あくまで、人手を多く必要とするサービス活動の変動が大きいことを意味しています。一つの仮説として、非選択的個人向けサービスの多くが設備型サービスに含まれるのに対して、し好的個人向けサービスの多くが人手型サービスに含まれることから、後者の方が、消費者が財布の紐を締めたり緩めたりする動きを反映しやすいのかもしれません(第3次産業活動指数では、再編集系列として「広義非選択的個人向けサービス」と「広義し好的個人向けサービス」も公表しています)。
次回は、両者を比較した時のもう一つの特徴である、設備型サービスが、2012年後半にはリーマン・ショック以前の水準を回復しているのに対して、人手型サービスは、いまだにリーマン・ショック以前の水準を回復していない点について、掘り下げたいと思います。