世界で最初の紙おむつは、1940年代の半ばにスウェーデンで誕生しました。当時、ドイツによる経済封鎖を受けていたスウェーデンでは、綿が不足し、赤ちゃんの布おむつが間に合わない状況に陥っていました。そんな中で、貴重な綿布ではなく紙を使った紙おむつが開発されたのです。
当初の紙おむつは、何枚も重ねたティッシュペーパーのような紙を、伸縮性のあるメリヤスの袋でくるんだ簡易なもの。必要に迫られて登場した紙おむつでしたが、布おむつに比べ吸水性で遜色がなく、洗う手間と干す手間がかからない便利さから多くの人に受け入れられました。その後、紙おむつはヨーロッパ中に広がり、やがてアメリカにわたっていきます。
日本では昭和20年代後半に初めて紙おむつが発売され、その後も改良されていきましたが、高価なことや使い捨ての習慣がない時代だったせいもあり、広く普及することはありませんでした。日本で紙おむつの消費量が急激に増えたのは、1980年代半ばです。ちょうどその頃、高分子吸収体を使った紙おむつが登場しました。それまでの紙おむつよりも吸水性が格段にアップし、取り替える頻度も減りました。紙おむつの使用率は上がり続け、現在では99%にものぼっています。
その一方で、資源の問題やごみ問題が指摘されています。使用済みの紙おむつは、衛生上の問題があるため、燃えるゴミとして焼却処分しています。そのため、繰り返し洗って使う布おむつに比べてごみを増やすことになります。また、使い捨てのおむつは資源を多く使用するという問題もあります。
そこで、各紙おむつメーカーでは、製品の薄型化や軽量化を進め、原料には安全規格に合格した古紙を使用するなどの対策を行っています。