CONTENTS

1.輸出価格の算出について(動画解説付き!)
2.輸出価格の算出にかかる当室へのご質問・相談事例
3.令和2年度貿易救済セミナーの録画について(動画解説付き!)
4.FAQ
- 相談窓口(アンチダンピング申請のご相談はこちら)


 
 10月号のニュースレターに引続き、アンチダンピング(AD)の申請書作成に向けた具体的な解説を行います。
さて、前回は因果関係についての解説でしたが、AD調査の申請には、(a)ダンピング、(b)損害、(c)因果関係に関する情報・証拠が含まれている必要があり(AD協定5.2条)ダンピングマージンとは輸出価格が正常価格を下回る差額分に相当するものです。(AD協定2.1条)本号ではダンピングマージンの算出方法のうち、日本向け輸出価格の算出方法について解説していきます。
あわせて、輸出価格の算出に係る当室へのご質問・相談事例をもとにAD申請に向けたFAQをご紹介します。

※AD協定5.2条:5.1の申請には、(a)ダンピング、(b)この協定により解釈される千九百九十四年のガット第六条に規定する損害及び(c)ダンピング輸入と申し立てられた損害との間の因果関係についての証拠を含める。関連する証拠によって裏付けられない単なる主張は、この5.2に定める要件を満たすために十分なものであるとみなすことができない。この申請には、申請者が合理的に入手することができる次の事項に関する情報を含むものとする。

 ※AD協定2.1条:この協定の適用上、ある国から他の国へ輸出される産品の輸出価格が輸出国における消費に向けられる同種の産品の通常の商取引における比較可能な価格よりも低い場合には、当該輸出される産品は、ダンピングされるもの、すなわち、正常の価額よりも低い価額で他の国に導入されるものとみなす。

  また、輸出価格の算出のほか10月号でご説明した因果関係等を含め、皆様に調査開始に至る際の重要なポイントを知っていただく趣旨で作成しました「自己診断ツール」で、調査開始に至る可能性を診断できますので、是非ご活用ください。
 

自己診断ツール

 

1.輸出価格の算出について

 ダンピングマージンは、「輸出価格(日本向け)」及び「正常価格(輸出国内における販売価格等)」を用いて算出します。本号においては、不当廉売された貨物の輸出価格に係る事項について記載します。
 
公式の輸入貿易統計については、当室の輸入モニタリングシステムをご活用ください。

<輸入モニタリングシステム>
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/trade-remedy/monitoring/index.html
 
 
  • 輸出価格は、正常価格と同一の商取引の段階に調整(※)されなければなりません(通常の場合、正常価格、輸出価格ともに工場出荷段階の価格に調整(※)する)。控除要素としては、保険料、海上運賃・船積諸掛、輸出国内輸送費等があります。 
 
  • 輸出価格には、CIF価格以外に、海上運賃等が含まれないFOB価格等もあります。また、輸出価格に影響を与える梱包仕様、販売条件(支払条件、品質保証、アフターサービス等)、及び課税(輸出税等)上の正常価格との差異についても調整(※)する必要があります。
(※)…5-1-3 不当廉売差額(ダンピング・マージン)は、通常の場合、工場出荷段階における正常価格と輸出価格との差額であって、それぞれの価格は価格比較に影響を及ぼす差異を調整した後のものから算出します。
 
  • 換算レートは、原則として販売日(実質的な販売条件が定められる日(例:契約日、注文日、注文の確認日又は送り状(インボイス)の日付)等)の為替相場を用いますが、輸入貿易統計等を使用するなど販売日が特定できない場合は、例えば、統計対象期間の税関長公示レートや為替相場の平均値を用いることも可能です。
 
  • 輸出価格は、輸出に向けられる貨物の価格であって、本邦の独立した顧客により実際に支払われた、又は支払われる予定の価格に基づき算出されます。なお、例えば、輸出者が輸入者の関係会社(子会社等)である場合には、輸入後の最初に独立した買手に販売される価格に基づき算出されます。
 

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●関係法令等
政令第7条第1項第5号
ガイドライン5-2-1 当該貨物の本邦向け輸出価格

 

 

2.輸出価格の算出に係る当室へのご質問・相談事例

  輸出価格の算出に係る当室へのご質問・相談事例をもとに、AD申請に向けたFAQをご紹介します。
 

 

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貿易救済措置の申請手引きはこちらから

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3.令和2年度貿易救済セミナーの録画について

 10月27日(火)に、令和2年度貿易救済セミナーをWEB配信形式で開催いたしました。下記の動画で実際のセミナー動画をご覧いただけます。また、動画の下のURLより、セミナー資料等を参照できますので、ぜひともご活用頂くとともに、社内の関係者(国内営業ご担当、法務ご担当等)に展開いただけますと幸いです。

<令和2年度貿易救済セミナー>
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/trade-remedy/seminar/index.html
 
 
※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、WEB開催とさせていただきました。
 
 

4.FAQ

 以下のURLから、アンチダンピング申請等について、皆様からよく寄せられるご質問及び回答情報をご参照いただけます。ご活用いただけますと幸いです。
  よくある質問

 

最終更新日:2022年9月12日