CONTENTS
1.特殊関税等調査室 ウェブページコンテンツの紹介(動画解説付き!)
2.自社産品の輸入動向の調査
3.FAQ
-相談窓口(アンチダンピング申請のご相談はこちら)
本稿の趣旨
今年度は、連載企画として、WTO加盟国においてAD調査開始件数が多い分野のダンピング輸入に関する分析を掲載しております。1月号では、これまでの鉄鋼編、化学編、繊維編の分析を踏まえて、自社関連製品の輸入動向をモニタリングし、ダンピング輸入に注視してゆく際の手法や着眼点をご紹介いたします。さらに上記に基づき、過去5年程度の輸入動向を踏まえて、輸入数量の規模が継続的に大きく、かつ増加傾向がみられ、更に、輸入単価の低下もみられる産品の事例をご紹介いたします。
1.特殊関税等調査室 ウェブページコンテンツの紹介
当室では、「輸入モニタリングシステム」、「生産動態統計モニタリングシステム」、「他国発動事例リスト」の3点を毎月更新しています。輸入モニタリングシステムは、財務省が毎月公表する貿易統計データを基に、海外からの輸入金額、輸入数量、輸入単価を国別・品目別にグラフ形式で可視化するコンテンツです。調べたい品目や国を選択することで、海外からの輸入状況を把握することができます。
生産動態統計モニタリングシステムは、経済産業省が毎月公表する生産動態統計データを基に、日本国内の品目別の内需統計をグラフ形式で可視化するコンテンツです。調べたい品目や指標を選択することで、国内動向(生産・販売・在庫状況)を把握することができます。
他国発動事例リストは、品目別、AD措置発動国別、AD措置対象国別の貿易救済措置発動事例を調査するコンテンツです。調べたい品目や国を選択することで、安値輸入が気になる品目や国について他国での発動事例を調べることができます。
他国でAD措置対象となり行き場を失った産品が日本に流入する場合、他国の発動事例における被対象国からの日本への輸入動向と生産動態統計を見比べてモニタリングすることで日本への輸入量の増加や国内企業への生産・販売量への影響等の大まかな実態を把握することが可能になります。
2. 自社産品の輸入動向の調査
先にご紹介しましたとおり、当室のウェブページで公開している各種コンテンツを利用することで、自社産品の関連品目について輸入動向を調べていくことが可能です。輸入動向を調査する手法はいくつかあります。一つは、輸入モニタリングシステムを利用して輸入動向を調査することです。自社産品の関連品目に紐づくHSコード(「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約(HS条約)」に基づいて定められたコード番号(※JETROウェブサイトより引用))が特定できている場合は、HSコード検索機能(輸入モニタリングシステムのSTEP1)を活用して、お調べになりたい産品の輸入動向をグラフ形式で表示することができます。他方、自社産品の関連品目に紐づくHSコードが特定できない場合は、輸入モニタリングシステムの右下にある「日本語入力検索(β版)」に産品名を入力することで、お調べになりたい産品を検索することができます。ただし、日本語入力検索機能では、財務省が定める各HSコードの「品名(Description)」を情報源としているため、必ずしも入力いただいた産品名で検索できるとは限りません。
もう一つの有用な調査手法は、他国発動事例リストを活用することです。たとえば、自社産品の需要家から「近頃は他国からの輸入品が安価である」といった、他国からの輸入品に関する情報を入手した場合、他国発動事例リストの「AD措置対象国」で、その国をチェックすることにより、世界における主要なAD措置ユーザーの6カ国(米国、カナダ、EU、豪州、中国、韓国)が、当該産品に対して、過去に貿易救済措置の発動に向けた調査開始ないし措置発動を行っているかどうかを調べることができます。また、検索の結果として表示される発動事例リストに記載されたHSコードや産品名(調査対象貨物)に、自社産品が含まれるかを確認することができます。これにより、主要6カ国による措置の対象となっている国および産品(輸入品)、つまり他国がダンピングであると断定した国および産品(輸入品)のうち、特に自社産品について、日本にも流入している可能性に気づくことができます。同時に、自社産品の関連品目に基づくHSコードが特定できますので、そのHSコードをもとに、輸入モニタリングシステムで輸入動向を調査することにより、対象産品が実際に流入しているかどうかをグラフ形式で確認することができます。なお、他国発動事例リストの活用は、自社産品の関連品に紐づくHSコードが特定されておらず、かつ、日本語による入力検索では、お調べになりたい産品名の該当がない場合の調査手法としても有用です。
他国発動事例リストで主要6カ国の調査発動事例をみると、AD調査対象となった品目はHS2桁ベースで全体の三分の一程度に集約(※複数国で調査対象となっている品目)されます。
そうしたHS2桁ベースの品目のうち、自社関連製品の輸入動向をモニタリングし、ダンピング輸入に注視してゆくには、継続的に輸入数量の規模が大きく、かつ増加傾向がみられ、更に輸入単価の低下もみられる品目に着目することがポイントです。そうした品目の例としては76類(アルミニウム及びその製品)や、84類(原子炉、ボイラー及び機械類並びにこれらの部分品)、85類(電気機器及びその部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用または再生用の機器並びにこれらの部分品及び付属品)といった産品が挙げられます。
HS2桁からさらに絞り込んでいくと、76類ではアルミニウムの板・はく(7606110000, 760612090, 760711000)、84類ではエアコンディショナーの部分品(841590090)、85類では直流発電機(850131類)といった品目が挙げられます。これらは他国でもAD/CVDの発動事例(具体的に例示する)があるところ、注視する必要があると考えられます。
<上記品目の輸入動向>
※各品目のグラフについて、青枠部分が輸入増と価格低下の双方の動きがみられる期間となります。
■エアコンディショナーの部分品(841590090)
■直流発電機(850131類)
なお、上記でご紹介しました各種モニタリングシステムについて、調べ方が分からない等の場合には、特殊関税等調査室までお気軽にご相談ください。また、モニタリングシステムの活用方法の説明会もリクエストに応じて随時開催しております。ご要望がございましたら、是非、ご一報ください。
<相談窓口>
経済産業省 貿易経済協力局 特殊関税等調査室
TEL:03-3501-3462
E-mail:bzl-qqfcbk@meti.go.jp
3.FAQ
最終更新日:2023年7月21日