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日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(その5);同じコンテンツビジネスでも、権利保有の状況がアニメとゲームで大きく異なる。ゲーム会社はコンテンツの権利の100%近くを確保、アニメ会社は作品の権利を半分も保持していない。 2017年7月27日

情報通信業基本調査(注)等のデータから、日本の2大コンテンツであるゲーム制作企業(以下、ゲーム会社)とアニメの制作企業(以下、アニメ会社)の実像に迫る記事を連載しています。

前回は開発・制作業務の外部委託の様相の違いという切り口で比較をしてみましたが(日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(その4);コンテンツ制作の外部委託といっても、ゲームとアニメでは大分態様が異なることがデータから分かる。ゲームは内外分業型で、アニメは一蓮托生型。)、ここでは、コンテンツの権利保有の状況に、どのような違いがあるのかみていきたいと思います。

ゲーム会社はこの5年で権利保有割合を顕著に高めている

ゲームビジネスもアニメビジネスも、無体財産権を生み出した対価として売上が生じるという意味で権利ビジネスであり、どのような権利をどれ位管理しているかが収益を左右します。上のグラフは、ゲーム会社の自社開発コンテンツに関する1次利用及び2次利用の権利の保有割合を、保有割合のカテゴリー別構成比にしたものです。

左のグラフから、2015年度には、1次利用の権利(ゲームそのものを販売する権利)を100%保有しているコンテンツが9割を超えており、残りの1割についても50%以上の権利を保有していることがわかります。振り返って推移を見ると、2010年度に100%保有するコンテンツが6割程度だったものが、この5年の間に一気に保有割合を上昇させているのがわかります。また、2012年度には権利を持っていないコンテンツが3割以上ありましたが、この5年で消滅するなど、権利の保有に関するゲーム会社の積極姿勢が顕著です。

右のグラフが示す二次利用の権利についても、2010年度には半数のコンテンツについて権利を保有していませんでしたが、2015年度には100%保有しているコンテンツが約8割、50%以上の保有比率では10割となっており、二次利用の権利取得にも積極的になっていることがわかります。

アニメ会社の権利保有割合は低位のまま

アニメ会社については、2015年度には、1次利用の権利(本来の制作目的<対象メディア>で利用する権利)を全く保有していないコンテンツが5割を超えており、保有割合が50%未満であるコンテンツを合わせると9割以上に達していることがわかります。振り返って推移を見ると、2014年度までは50%以上権利を保有するコンテンツの割合を上昇させる傾向がありましたが、2015年度にはその割合が一気に減少しています。

右のグラフが示す二次利用の権利については、元々、保有割合が50%未満であるコンテンツが9割近くを占めており、2015年度もその状況が続いていることがわかります。アニメ会社の権利保有割合が低位であることの背景には、製作委員会方式による資金調達・運営が主流となり、出資者で著作権を共有するケースが増えたことがあると考えられます。

このように、ゲーム会社とアニメ会社では、コンテンツの利用に関する権利保有状況が大きく異なるのが現状です。

次回は、ゲーム会社とアニメ会社で、事業展開についての構想の差と産業の構造の違いについて検討してみようと思います(日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(その6);ゲーム会社が取り組んでいるのは海外直接市場の獲得と技術向上。アニメ会社が取り組んでいるのは2次利用市場への進出。)

(注)ゲーム会社とアニメ会社については、当該事業に属する事業所を有する企業のうち、資本金額又は出資金額3,000 万円以上の企業を調査対象としています。

ミニ経済分析「日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する」のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20170727minikeizai.html

問合せ先

経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)

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