サービス産業海外拠点活動指数の試作、海外で活躍するサービス産業の動向は? 2018年2月19日
グローバル化の進展が著しい昨今、日系企業の活動は日本国内にとどまらず、幅広く世界中で展開されており、国内外の企業活動の動向を把握する重要性はますます高まっています。
グローバル化というと、これまでは製造業にスポットライトが当たりがちでしたが、今回はGDPに占める割合が最も大きい第3次産業(サービス産業)について、日系企業の海外拠点(現地法人)活動の動向を把握するため、『サービス産業海外拠点活動指数』の試作してみました。
サービス産業海外拠点活動指数とは何か
まず、サービス産業海外拠点活動指数の試作の考え方を説明いたします。
サービス産業海外拠点活動を表す基礎データとして、「海外事業活動基本調査」の『売上高』データを用います(最新時点は、2015年度分)。このデータを、2010年度の売上高を100として、各年度をそれに対する比率として表示する「指数化」を行います。業種別、地域別に指数化し、それぞれの指数を付加価値ウエイトで加重平均して、全体指数を作成します。付加価値は、「海外事業活動基本調査」で公表されている『付加価値率』を『売上高』に乗じたものをウエイトとして使用します。

業種別ウエイトでは卸売業が主役、地域別ウエイトでは北米、アジア、欧州が3強
サービス産業海外拠点活動指数の業種別のウエイトをみると、卸売業が全体の半分近いウエイト(45.9%)を占めています。ウエイト第2位はサービス業ですが、その構成比は16.8%と卸売業の3分の1程度でしかありません。なお、この指数では、データ制約により、「金融業,保険業」、不動産業については指数を作成していません。
サービス産業海外拠点活動指数の地域別のウエイトをみると、やはり北米、アジア、欧州が3強となっており、中でも北米は52.5%と非常に大きな存在感となっています。
<参考>
「米国における日系非製造業現地法人の実像;他地域の現地法人に比べて事業や投資の規模が大きい」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20170627minikeizai.html
「中国における日系非製造業現地法人の実像;2014年度海外事業活動基本調査結果に基づいて」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20161219minikeizai.html
サービス産業海外拠点活動指数は6年ぶりの低下
では、業種別指数を業種別ウエイトで積み上げた「サービス産業海外拠点活動指数」の推移をグラフにしてみます。
やはり、サービス産業海外拠点活動指数は、リーマンショックの影響で2009年度に大きく低下し、2割以上の落ち込みを見せました。
その後は、海外現地法人のサービス活動が2014年度まで5年連続で上昇しています。特に、2013年度、2014年度と2年連続で前年度比2桁上昇となって、早くも、リーマンショック前の2008年度の指数水準118.6を大きく上回って、134.3に到達しています。これは、2014年度には、2010年度の活動レベルを3割上回っていたことになります。
ただ、2015年度については前年度比マイナス1.6%と、6年ぶりの低下となりました。そこまでの上昇勢いからすれば、その低下幅は小幅で、指数水準は150.3と、基準年(2010年度)比で1.5倍の高水準を維持しています。
ちなみに、業種構成を揃えた国内のサービス産業活動指数は、2015年度でも指数値102.3に留まっています。この値は、2008年度の指数よりも下がっており、いまだリーマンショック前の水準に戻っていません。ここからすると、日系のサービス産業においても、海外現地法人の勢いが侮れないことが分かります。

サービス産業海外拠点活動指数は、業種別、地域別にも試作しており、その推移にもそれぞれ特徴が現れていますので、ぜひミニ経済分析「日系サービス(非製造)産業の海外展開把握の試み;拠点(現地法人)経由のサービス産業活動指数の試作」をご覧ください。
- ミニ経済分析「「日系サービス(非製造)産業の海外展開把握の試み」;拠点(現地法人)経由のサービス産業活動指数の試作」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20180219minikeizai.html
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