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2018年のグローバル出荷指数は、前年比1.1%と2年連続の上昇で、2015年基準としては最高値となった。海外出荷と国内出荷がともにけん引。 2019年5月10日

経済解析室では、製造業のグローバル展開を踏まえ、日系製造業の国内外の拠点全体での出荷の動向を一元的に捉える観点から、国内拠点からの出荷(国内出荷)と海外現地法人の海外拠点からの出荷(海外出荷)の動きを比較可能な形で指標化し、合算した「グローバル出荷指数」を試算し、公表しています。この度、2018年の数値がまとまりましたので、概略をご紹介していきます。

2018年の公表から2015年平均を100とする指数(2015年基準)へと改定を行いました。ご注意ください。

グローバル出荷指数は、2015年基準としては最高値

まず、日系製造業の国内拠点からの出荷と海外現地法人の海外拠点からの出荷を合算したグローバル出荷指数は、2018年は指数値104.5、前年比1.1%と2年連続の上昇となり、2015年基準としては最高値となりました。日系製造業の国内外併せた活動は、リーマンショック後一旦大きく低下した後、近年は再びほぼ継続して上昇の動きを見せていますが、直近では2017年の前年比3.6%と比較すれば上昇幅は縮小しています。

グローバル出荷の内訳をみると、日本企業の海外生産拠点からの出荷である海外出荷指数は、指数値108.0、前年比1.7%と2年連続の上昇となり、2015年基準の指数値としては最高値となりました。

また、日本国内の生産拠点からの出荷である国内出荷指数は、指数値103.0、前年比0.8%と2年連続の上昇となり、こちらも2015年基準の指数値としては最高値となりました。

海外出荷、国内出荷ともに2年連続でグローバル出荷をけん引

グローバル出荷指数の前年比1.1%上昇に対する影響度(寄与)をみると、海外出荷が0.54%ポイント、国内出荷が0.53%ポイントとともに上昇に寄与しています。2017年も海外出荷、国内出荷が同程度に上昇寄与しており、日系製造業のグローバルな活動を国内拠点・海外拠点の両輪が支えているという状況です。

海外出荷は、すべての業種で上昇

2018年の海外出荷指数の動きをみると、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値109.7で前年比2.8%上昇、輸送機械工業は指数値111.1で前年比2.2%上昇、電気機械工業は指数値107.6で前年比1.0%上昇、化学工業は指数値105.6で前年比0.7%上昇となりました。それ以外の業種計も上昇となりましたが、主要4業種と比べると弱い動きです。

2018年通年でみれば好調とも言える海外出荷ですが、これを四半期(季節調整済指数)でみてみると、海外出荷の主力である輸送機械工業はなだらかに推移しましたが、電気機械工業は第4四半期に前期比マイナス7.0%と大幅な低下、汎用・生産用・業務用機械工業、化学工業も年初からは低下傾向で推移しました。とはいえ低下後も指数水準自体は2016年以前の水準と比べれば高く、この先どのような動きとなるのか、注視したいと考えます。

ASEAN4、中国の現地法人からの出荷が引き続き好調

海外現地法人の海外拠点からの出荷を当該現地法人が立地する地域別に指数化した地域別海外出荷指数をみると、近年、ASEAN4(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン)や中国といったアジアの現地法人が日系製造業の海外出荷の上昇をけん引している様相がみえてきます。

2018年は、ASEAN4指数は指数値119.9、前年比5.9%と4年連続の上昇、中国指数は指数値113.0、前年比5.1%と2年連続の上昇となりました。ASEAN4、中国の現地法人からの出荷は、通年でみれば引き続き好調となりました。それ以外の地域も上昇となりました。一方、北米指数が指数値93.3、前年比3.3%の低下となりました。

ただ四半期(季節調整済指数)ベースでみると、中国指数に関しては、2018年第3四半期に入り前期比マイナス4.2%と低下し、同年第4四半期もその低い水準が続いています。

また、2018年第4四半期は、すべての地域の現地法人で海外出荷指数が低下しています。このところ世界経済の減速がみられる中、今後の動向が注目されます。

国内出荷は、汎用・生産用・業務用機械工業などが好調

2018年の国内出荷指数の動きをみると、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値112.0で前年比5.0%上昇と、2017年に引き続き大幅な伸びを見せています。輸送機械工業は指数値106.2で前年比1.1%上昇、化学工業は指数値105.6で前年比1.0%上昇、電気機械工業は指数値101.1で前年比0.9%上昇となりました。

一方、それ以外の業種計は前年比マイナス0.7%の低下となりました。

出荷海外比率、海外市場比率は継続して上昇、逆輸入比率は前年より低下

グローバル出荷指数を用いて、「出荷海外比率」、「海外市場比率」、「逆輸入比率」の3つの指標も試算しています。これら3つの指標は、「グローバル化比率」と呼び、製造業のグローバル化の指標としております。

このうち、日系製造業のグローバル出荷全体に占める海外出荷の比率である「出荷海外比率」は継続的に上昇しており、2018年は32.4%で2015年基準としては最高値となりました。また、グローバル出荷全体のうち、日本市場以外の海外市場向けに出荷されたものの比率である「海外市場比率」も44.6%で同様に最高値となりました。

一方、日本の輸入に占める日系現地法人の日本向け輸出の割合を示す「逆輸入比率」は25.4%と前年より低下となりました。これは、日系現地法人の日本向け輸出は上昇しているのですが、日本の輸入が更に大きく上昇したためです。

2019年については、世界経済の成長率に低下の見通しがある中、日系製造業の出荷海外比率や海外市場比率はどのように推移していくのか、注目されるところです。

ミニ経済分析「グローバル出荷指数 2018年(2015年基準)」のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20190510minikeizai.html
グローバル出荷指数のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-gb.html

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
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