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経済解析室ひと言解説集
- 国内と北米のビジネスが好調だった平成28年Ⅲ期のグローバル出荷指数
国内と北米のビジネスが好調だった平成28年Ⅲ期のグローバル出荷指数
平成28年後半の国内向け出荷は好調
平成28年第4四半期の数値でみると、国内向け出荷指数は指数値98.1、前期比2.9%上昇と3四半期連連続の上昇となり、輸出向け出荷指数は指数値102.9、前期比5.5%と2四半期連続の上昇となりました。
国内向け出荷は、11、12月と2か月連続で前月比低下ではありましたが、10月の水準が高かったため、第4四半期の鉱工業出荷全体の前期比上昇に対する寄与は、国内向け出荷の寄与が大きくなっていました。
四半期の動きからしても、平成28年末の国内向け出荷の動きは、2か月連続低下とは言え、勢いが劇的に低下したということではないものと思われます。そこに、平成27年第1四半期以来、ほぼ2年ぶりの高い水準となった、輸出向け出荷の「勢い」が加わったということになろうかと思います。

平成28年Ⅲ期は北米の現地法人の活動が活発
さて、平成28年Ⅲ期の地域別指数をみると、北米に立地する現地法人からの出荷は、指数値158.7、前期比2.9%上昇と2期ぶりに前期比上昇となりました。
他方、中国に立地する現地法人からの出荷が指数値124.1、前期比マイナス2.1%低下と2期ぶりの前期比低下、ASEAN4指数は115.3、前期比マイナス1.1%低下と2期ぶりの前期比低下となりました。これらの主要地域以外の海外現地法人の出荷も前期比マイナス2.7%低下でした。

海外出荷に対する変動寄与をみると、海外出荷の前期比マイナス0.5%低下に対し、中国指数が前期比マイナス0.5%ポイント、ASEAN4指数が前期比マイナス0.2%ポイントのそれぞれ低下寄与となった一方、北米指数は前期比0.9%ポイントの上昇寄与となっており、唯一海外出荷を支えていました。
地域別海外出荷指数の推移をみると、北米指数だけが伸びていることが改めて確認できます。北米指数は、基準年である平成22年から6割近い伸びとなっており、中国指数が2割強の伸び、ASEAN4指数や「それ以外の地域」指数が2割も伸びていないことと好対照となっています。
海外出荷指数の地域別構成では、北米が30.9%を占めるようになっており、中国が20.2%の構成比を維持してはいるものの、日系製造業の海外現地法人の「伸び」という意味では、北米一強という状態になっています。

国内ビジネスと海外ビジネス
さて、グローバル化が進むことで、供給も需要も日本で「閉じた」国内ビジネスの存在感が低下してきています。ここでは、「国内ビジネス」とは、国内出荷のうち、国内向け出荷、つまり供給・需要ともに日本国内で完結しているビジネスと定義します。これに対し、海外出荷と輸出向け出荷は、供給・需要の少なくともどちらかが海外という意味で「海外ビジネス」としたいと思います。

平成28年Ⅲ期は、輸出向け出荷指数が前期比で上昇となったものの、海外出荷指数が前期比で低下したため、この2つを加重平均した「海外ビジネス指数」は、前期比マイナス0.2%低下となりました。他方、国内拠点からの国内向け出荷は、前期比1.0%上昇となりました。
グローバル出荷全体は、ここ2年ほど軟調な動きとなる中で、平成28年Ⅲ期は、珍しく国内拠点からの出荷が全体を押し上げる四半期となりました。指数レベルはまだまだではあるものの、国内拠点における活動が内需向けを軸に、上向いていた四半期となりました。
平成28年Ⅲ期のグローバル出荷指数(国内出荷と海外出荷)の前期比0.3%上昇に対して、国内出荷の上昇寄与0.4%ポイントで、北米からの海外出荷の上昇寄与も0.3%ポイントとなっています。
当期の日系製造業のグローバル出荷の特徴は、日本国内の生産拠点と、北米の現地法人の拠点の「復調」ということができるでしょう。
平成28年Ⅳ期分のグローバル出荷指数については、4月中に更新するべく鋭意作業中です。どのような動きとなっているか、是非ご期待ください。
グローバル出荷指数のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-gb.html