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グローバル出荷をけん引する「はん用・生産用・業務用機械」工業。その海外事業の重みは?;「輸送機械」工業との比較から見えるもの

グローバル出荷指数とは

「鉱工業指数」という言葉を耳にしたことがあるという方は多いのではないでしょうか。

「鉱工業指数」とは、鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫の動きを指標化して、簡便にそれらの動きをご理解いただけるようにしているものです。

日本製造業の活動はグローバル化していることから、国内事業所の活動だけでは、その全貌を推し量ることができません。そこで、「鉱工業指数」や、日系企業の海外における活動動向を捉えた「海外現地法人四半期調査」等をもとに、日本の製造業のグローバルな活動(具体的には海外出荷と国内出荷の合計)を指標化したものが「グローバル出荷指数」です。

この指標により、海外生産と国内生産の動きを簡便に比較することができます。

グローバル出荷をけん引する「はん用・生産用・業務用機械」

ここ5年ほどのグローバル出荷指数は、海外現地生産の伸びに支えられて、緩やかに上昇してきました。この動きを、主要4業種に分けて見ると、製造業平均より伸びの大きい2業種とそうではない2業種にはっきりと分かれます。伸びが大きいのは、「輸送機械」「はん用・生産用・業務用機械」の2業種です。

「はん用・生産用・業務用機械」とは、あまり聞き慣れない業種かもしれませんが、工場の生産設備や建設機械などを生産する産業で、日本の重要な機械産業の一翼を担っています。そして、「輸送機械」と並び、日本の製造業のグローバルな活動の伸びを生み出しています。

対照的な動きを見せる「はん用・生産用・業務用機械」と「輸送機械」

「はん用・生産用・業務用機械」と「輸送機械」の海外拠点からの出荷と国内拠点からの出荷を比較すると、好対照の結果となっています。

海外出荷では、「輸送機械」指数が力強い上昇を見せる一方で、「はん用・生産用・業務用機械」指数は、横ばいとは言いませんが、製造業全業種の指数に比べても、低い伸びとなっています。

国内出荷では、2016年こそ上昇基調とはなっていますが、それまでは「輸送機械」指数の動きは低下基調である一方、「はん用・生産用・業務用機械」指数は高い水準での「高止まり」となっています。

つまり、グローバル出荷をけん引する2業種ですが、それぞれの活動の中心が、国内と海外とにはっきりと分かれる状況となっています。

続いては、このような状況をもっと直接的に表現する指標をご紹介します。

海外生産比率・海外市場比率の低い「はん用・生産用・業務用機械」

グローバル出荷指数を用いて、日本の製造企業の出荷全体のうち、海外現地法人の出荷がどの程度の割合を占めているのか算出することができ、その数値を「出荷海外比率」と呼んでいます。

「はん用・生産用・業務用機械」の出荷海外比率を見てみると、おおむね20%を少し下回る水準で推移しています。他方、グローバル出荷のもう一つの雄である「輸送機械」の出荷海外比率は5割近くとなっており、大きな違いを見せています。

また、グローバル出荷指数により、日本の製造企業の出荷全体のうち、海外市場向けの出荷動向についても把握することができ、その比率を「海外市場比率」と呼んでいます。

「はん用・生産用・業務用機械」の海外市場比率を見てみると、おおむね35%前後の推移となっています。「輸送機械」の海外市場比率が6割に迫っていることと比較して、大分水準が低いという印象です。

こうして見てみると、「はん用・生産用・業務用機械」は、需要面(海外市場比率)でも供給面(出荷海外比率)の面でも、海外事業の重みが小さいことがわかります。グローバル出荷を支える2大業種の間で、海外事業の持つ意味合いが、これほど違うというのも、グローバル化一辺倒ではない日本製造業の多様性の一つの側面として興味深いのではないでしょうか。

最終更新日:2017年8月15日
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