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ゲーム制作ビジネスは、グローバル志向;情報通信業基本調査が明らかにする、ゲーム会社の実像とそのビジネス
来月9月には、東京ゲームショウ2017が開催されます。ゲームは、COOL JAPANの代表的なコンテンツです。そこで、今回は、情報通信業基本調査(注)から、日本の代表的なコンテンツビジネスであるゲーム産業を支えるゲーム制作会社の実像に迫るデータを整理し、そのビジネスが、市場面でも技術面でも「グローバル志向」であることを明らかにしていこうと思います。
大作志向、コア企業が頂点のビラミッド型委託
自社開発コンテンツ数の推移を見ると、2011年度に顕著に増加した後は下落傾向にあることがわかります。2015年度には約8作品と、2011年度の約16作品から半減しました。これに対して売上高は、2011年度以降趨勢的に増加しており、2015年度には約100億円と、2011年度の約50億円からほぼ倍増しています。作品数は半減しているのに売上高が倍増しているということは、1作品あたりの平均単価が上昇している、すなわち、この5年でどんどんと大作化していることを意味します。
これらのことから、ゲーム業界は、コア企業が工程を細分化して外部に発注し、納品された部分を統合して開発ゲームとしており、コア企業を頂点としたピラミッド構造があることが窺えます。
海外の関係企業との内外分業
さらに、外部委託のデータからわかることがあります。左上のグラフは、外部委託金額を国内外別に表したものです。2012年度に海外への委託が急増していることがわかります。右上の棒グラフは、「関係会社」への外部委託金額を国内外別に表したもので、折れ線グラフは外部委託金額に占める「関係会社」の割合です。折れ線グラフを見ると、ゲーム会社が関係会社に委託する割合は2015年度で約1/4と高くはありません。また、国内外の別を見ると、海外の関係会社が2/3程度を占めています。すなわち、ゲーム会社はスポット的な委託が多く、安定した委託は海外関係会社に行うという内外分業型であると言えます。
市場開拓や技術獲得の両面で海外志向
最後に、ゲーム会社は事業展開についてどのような構想を持っているのでしょうか。
ゲーム会社では、「海外への事業展開」について、既に行っており現状を維持するか、今後拡大させるか、または今後新規に行う予定があるという先が回答の8割近くに及んでおり、海外という直接市場の拡大への関心が高いことがわかります。
また、海外(特に関係会社)への委託率が増加していることから、「海外への外部委託」への関心が高いという結果も納得できるかと思います。その次に関心が高いのは、大学という社会資源を利用した技術向上です。海外委託には、高いゲーム制作技術の獲得という目的もあると考えられ、技術の獲得を事業展開上の課題と認識している様子が窺えます。
このように、日本の代表的コンテンツビジネスであるゲーム業界は、市場面でも技術面でも「グローバル志向」であると言えるでしょう。
(注)ゲーム会社とアニメ会社については、当該事業に属する事業所を有する企業のうち、資本金額又は出資金額3,000 万円以上の企業を調査対象としています。