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経済解析室ひと言解説集
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建設業とオリンピック
ここ数年オフィスビル需要が旺盛で、第3次産業活動指数の「貸事務所業」の指数値はウナギ登りとなっていることもあり、民間企業発注の建設活動も前年水準を上回っています。新国立競技場の設計も定まり、建設業活動には要注目かと思います。
経済解析室では、建設業の活況度合いの目安として「建設業活動指数」を毎月作成しています。
昨年11月までのデータで仮に計算した暫定的な2015年は108.1(前年比▲1.0%)となっており、やや低下しています。月次で見ると2015年11月(季節調整済)は108.1(前月比▲3.0%)となっており、少し方向感は悪くなっていますが、2015年度に入って8か月間前年水準を上回る状態が続いており、昨年半ばから後半の建設業活動は水準的に高くなっていました。
さて、今後最も注目される建築物といえば、やはり新国立競技場かと思います。今年2016年はオリンピックイヤーで、ブラジルのリオデジャネイロでオリンピックが開催されますし、2020年には東京でオリンピックが開催されることが決定しています。
ここでオリンピック開催と建設業の関係を見てみたいところですが、残念ながら、建設業活動指数は、1993年からしかありません。そこで、東京オリンピックまで遡れる建設業就業者の動向とオリンピック開催の関係について見てみます。
日本では、1964年に東京、1972年に札幌、1998年に長野で開催されました。就業者総数における建設業就業者数の割合は、東京時では開催の2年前、札幌時では開催前年、長野時でも開催前年に大きく増加をしていました。東京と札幌については、オリンピック開催後も増加勢いが続いていましたが、長野の開催後は徐々に割合が減少しました。
一方、2012年にオリンピックが開催されたイギリスを見てみると、開催地が決定した2年後にピークを迎え、開催に向かって徐々に減少し、開催後も減少していました。
高度成長期には、建設業も右肩上がりであり、オリンピックの影響は見えにくいですが、低成長経済下では、オリンピックのようなビッグ・イベントの効果が如実に出てくるようです。
2020年の東京五輪開催は、日本の建設業の動向にどのようなプラスの効果をもたらすでしょうか。建設業活動指数の動きとともに、第3次産業活動指数の再編集系列の一つである「建設関連産業」指数(これは、建設業そのものではなくて、建設業に密接に関連するサービスを集計したもの)の動きについても注目してきたいと思います。
○<参考>各国の就業者総数における建設業就業者数の割合
(資料掲載10か国:日本、イギリス、ロシア、カナダ、イタリア、ギリシャ、アメリカ、オーストラリア、ブラジル、韓国)
注:国によってはデータの制約上就業者数ではなく雇用者数を使用している国もある。
<参考>各国の就業者総数のうち建設業就業者数の割合(PDF/1,284KB)
○「第3次産業活動指数の「再編集系列」って?」(再編集系列のひと言解説へのリンク)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20151120hitokoto_0.html