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平成27年までの5年間の鉱工業生産指数の変化への寄与は、「西高東低」、三重県の寄与が最も大きかった。

全国の鉱工業指数(生産数量)は、この5年間で100前後を行き来する、一進一退を繰り返しています。しかし、地域に目を転じれば、生産を伸ばしているエリアもあったはずです。

そこで、以前御紹介した全国ウェイトから試算した都道府県ウェイトと各都道府県が公表している鉱工業指数を用いて、全国の生産動向に対する各都道府県の寄与(影響度)をみてみたいと思います。


平成22年から平成27年への全国比に対する都道府県の寄与

今回は、平成27年の生産指数(数量ベース)の平成22年(基準年)比に対する、都道府県の寄与をみていきます。平成27年の生産指は97.8ですので、平成22年に対してはマイナス2.2%低下でした。下の日本地図は、このマイナス2.2%低下に対する寄与度を6階層に分けて色分けしたものです。

この地図をみると、この5年間の生産指数に対する寄与は、「西高東低」という様相で、群馬県と茨城県が高いプラス寄与とはなっていますが、関東近郊にマイナス寄与の大きい県が多数集まっています。

他方、愛知県、三重県、石川県、福井県といった中部地方西部と近畿地方の2府が集まった、プラス寄与の大きい府県の集まりが見て取れます。



プラス寄与となった21府県の内上位10府県

全国の生産指数(数量ベース)に対してプラス寄与となった府県は、21府県ありました。このうちの上位10府県を表にすると次のようになります。


順位 都道府県名 平成22年-27年
寄与度
平成22年-27年
伸び率
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1位 三重県 0.979 25.5 国内屈指の半導体拠点。愛知県が近いため自動車部品も生産しており、生産財が県内生産、ひいては日本の生産を牽引しています。
2位 愛知県 0.529 4.3 自動車及びその部品生産の総本山。県別ウェイトでは2位の神奈川県の倍以上と大差をつけての全国1位で、生産地としての存在感を示しています。
3位 茨城県 0.328 9.3 学園都市を抱える北関東の稼ぎ頭。タービン、エレベータの生産力は国内有数。主力のはん用・生産用・業務用機械工業が伸びています。
4位 群馬県 0.292 11.1 北関東のもう一方の雄。かつては富岡製糸場が代表する繊維産業が盛んでしたが、今では自動車関係が盛んです。
5位 石川県 0.268 27.8 5年間で27.8%上昇は、全国トップ。電子部品や電気機械など、加賀百万石はエレクトロニクスに強いです。
6位 京都府 0.244 20.7 京都の強みは観光だけではありません。4年連続で生産前年比上昇と、製造業の隠れた実力者でもあります。
7位 福岡県 0.226 9.2 九州一の人口をほこる福岡県は、九州一の自動車生産拠点です。
8位 大阪府 0.221 5.7 浪速の生産力は伊達ではありません。電子部品・デバイスが活況なほか、東京や神奈川ではマイナスとなっている化学でも、プラスを維持しています。
9位 広島県 0.209 8.7 福岡県が九州の拠点なら、広島県は山陽の自動車拠点です。
10位 熊本県 0.150 15.4 九州からもう1県ランクインの熊本県は、全国で唯一の5年連続生産上昇県です。主力はなんと言っても電子部品。集積回路の生産が光ります。

上位府県の特徴

寄与が最も大きかったのは三重県で、その寄与度も2位の愛知県の倍に近い大きさでした。いわば、電子部品・デバイス工業の生産拠点と輸送機械工業の生産拠点が、日本全体の鉱工業生産への貢献を争った形になります。

3位は茨城県、4位は群馬県で、関東地方のこの2県は、大きなプラス寄与をみせましたが、上の日本地図から分かるように、「西高東低」の鉱工業生産という状況下、この2県の「赤」の周りを、マイナス寄与を示す「青」が取り囲むという意外な地図になっています。

こうしてみると、生産上昇に寄与した上位の府県には、自動車関連の産業を抱えている県が多いことがみてとれます。「船舶・同機関、鉄道車両、航空機を除いた輸送機械工業」の平成27年の生産指数は99.3で、確かに鉱工業全体に比べればマイナス幅は小さいですが、それでも平成22年に比べれば生産量が減っていることになります。

ということは、この5年間で、自動車関連の生産拠点の集約化が進んだという可能性を示唆します。また、生産を増加させている地域外の自動車関連産業は、外に出て行ってしまったのかも知れません。前述した10府県でも、三重県、熊本県、茨城県は輸送機械工業の生産が5年前よりも減少しています。

いずれにせよ、鉱工業生産の変動も地理的に一様でないことが、地図化することによって確認できました。


最終更新日:2017年2月24日
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