概要
- リスト規制品以外のものを取り扱う場合であっても、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、大量破壊兵器等※1 の開発、製造、使用又は貯蔵もしくは通常兵器※2 の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、又は経済産業大臣から、許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となる制度です。この制度は通称「キャッチオール規制」と呼ばれています。従って、貨物の輸出や技術の提供を行う際は、リスト規制とキャッチオール規制の両方の観点から確認を行う必要があります。
- キャッチオール規制は、「大量破壊兵器キャッチオール」と「通常兵器キャッチオール」の2種類からなり、客観要件とインフォーム要件 の2つの要件により規制されております。この2つの要件のどちらかに該当する場合には、許可申請が必要となります。
又は
②通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある場合
に許可申請が必要となる要件です。
①大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵に用いられるおそれがある
又は
②通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある
として許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けている場合に、許可申請が必要となる要件です。
- なお、輸出令別表第3の地域向けの貨物の輸出や技術の提供については、客観要件はキャッチオール規制の対象から外れていますが、インフォーム要件は懸念国等に迂回輸出されるおそれがある場合に限定して適用されます。
※1 大量破壊兵器等:
・核兵器
・軍用の化学製剤
・軍用の細菌製剤
・軍用の化学製剤又は細菌製剤の散布のための装置
・300km以上運搬することができるロケット
・300km以上運搬することができる無人航空機
※部分品も含む。
※2 通常兵器:
・輸出貿易管理令別表第1の1の項の中欄に掲げる貨物(大量破壊兵器等に該当するものを除く。)
キャッチオール規制の範囲
- 輸出令別表第1又は外為令別表の16項では、リスト規制品目以外で食料や木材等を除く全ての貨物、技術が対象となります。
- 詳しくは16項貨物・キャッチオール規制対象品目表 (関税定率法別表の第25類から第40類まで、第54類から第59類まで、第63類、第68類から第93類まで又は第95類)を参照してください。

16項(1):特定品目
工作機械、レーダー・航行用無線機器・無線遠隔制御機器、集積回路、航空機・宇宙飛行体・これらの部分品、航行用機器、検査用の機器であって、貨物等省令第14条の2のHSコードに該当するもの
16項(2):特定品目を除く16項貨物
輸出令別表第3の地域
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国
国連武器禁輸国・地域:「輸出令別表第3の2」の地域
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン
一般国
輸出令別表第3の地域又は別表第3の2の地域以外客観要件について
- 貨物の輸出や技術の提供を行う場合に、具体的にどのような場合に、大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵や通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある場合にあたるか否かを定めたもので、どのような用途として使用されるかとの観点からの確認「用途要件」と、どのような需要者が使用するかとの観点からの確認「需要者要件」があります。輸出者により、用途確認と需要者確認を行った結果、おそれがあると分かった場合には、許可申請が必要となります(詳しくは「手順、フローなどについて」参照)。
インフォームについて
- 当該貨物の輸出や技術の提供について、大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵に用いられるおそれがある又は通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあると当省が判断した場合に、経済産業大臣から、大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれがある又は通常兵器の開発等に用いられるおそれがあるものとして許可申請をすべき旨、文書にて通知されるものです。(インフォーム通知)
- 通知を受けた事業者は、当該貨物を輸出又は技術を提供する場合には、事前に申請が必要となります。経済産業大臣の許可がない限り、当該貨物の輸出や技術の提供はできません。
- 当該貨物の輸出や技術の提供については、経済産業省が大量破壊兵器等の開発等のために用いられるおそれがある又は通常兵器の開発等のために用いられるおそれがあるものとして判断しておりますので、許可されないことがあります。当該懸念が払拭されたときに限って許可されます。
手順、フローなどについて
許可申請が必要か否かの判定方法
- 以下のフロー図及び客観要件確認シートを参照のうえ、キャッチオール規制の許可申請が必要か否かを輸出者がご確認ください。
「許可申請必要」となった場合
「許可申請不要」となった場合
- 経済産業大臣からの許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けない限りは、輸出者の判断で貨物の輸出又は技術の提供が可能です。なお、適切な輸出管理を実施するために、判断に至った経緯を社内の規程に従って保存してください。(「客観要件確認シート」を適宜活用してください)
許可申請に先立ち「事前相談」を行いたい場合
- 上記プロセスの中で、取引が輸出規制の申請要件に該当するか否かの判断が困難な場合を含め不明な点がある場合には、安全保障貿易審査課に相談することができます。
①貨物の輸出又は技術の提供に係る許可申請についての相談又は個別案件について相談いただく際には、以下の書類を準備ください。
相談先:経済産業省安全保障貿易審査課
提出先:bzl-anposhinsa-catchall(at)meti.go.jp ※(at)は@に置き換えて下さい
提出書類
(1)貨物の商流、物流、契約の内容、用途がわかる資料(様式自由)
(2)カタログ又は仕様書等の技術資料
(3)需要者等の事業内容に関する資料
(4)キャッチオール規制の申請要件に該当するか否かを確認した審査票(客観要件確認シート)
※必要に応じて上記以外の書類を求めることがあります。
②キャッチオール規制の制度概要等一般的なお問い合わせについては以下までお問い合わせください。
メール相談:bzl-qqfcbf(at)meti.go.jp ※(at)は@に置き換えて下さい
関係法令
キャッチオール規制関連用語の解説
リスト規制
輸出しようとする貨物が、輸出貿易管理令(輸出令)・別表第1の1~15項の貨物に該当する場合、又は、提供しようとする技術が、外国為替令(外為令)・別表の1~15項に該当する場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となる制度です。
→ リスト規制のページへ
用途確認
- 輸出又は提供を行う貨物又は技術が、大量破壊兵器等の開発等や通常兵器の開発等に用いられるおそれがあるか否かを用途の観点から確認するものです。
- 具体的には、以下の点を確認することになります。
- ①大量破壊兵器等(※1)の開発等(※2)若しくは
- ②別表に掲げる行為(※3)に用いられるか 又は
- ③通常兵器(※4)の開発、製造又は使用のために用いられるか
(※1)大量破壊兵器等:
・核兵器
・軍用の化学製剤
・軍用の細菌製剤
・軍用の化学製剤又は細菌製剤の散布のための装置
・300km以上運搬することができるロケット
・300km以上運搬することができる無人航空機
※部分品も含む。
(※2)開発等:
開発、製造、使用又は貯蔵
(※3)別表に掲げる行為:
・核燃料物質又は核原料物質の開発等
・核融合に関する研究
・原子炉(発電用軽水炉を除く)又はその部分品若しくは附属装置の開発等
・重水の製造
・核燃料物質の加工
・核燃料物質の再処理
(※4)通常兵器:
輸出令別表第1の1の項の中欄に掲げる貨物(大量破壊兵器等に該当するものを除く。)
需要者確認
- 輸出又は提供を行う貨物又は技術が、大量破壊兵器等の開発等や通常兵器の開発等に用いられるおそれがあるか否かを需要者の観点から確認するものです。
- 具体的には、以下の点を確認することになります。
- 大量破壊兵器等(※1)の開発等(※2)を行う(行った)か 又は
- 通常兵器(※3)の開発、製造又は使用を行う(行った)か 又は
- 外国ユーザーリスト(※4)に該当するか
(※1)、(※2)、(※3)については用途確認を参照してください。
(※4)外国ユーザーリスト
キャッチオール規制の実効性を向上させるため、輸出者に対し、大量破壊兵器等の開発等又は通常兵器の開発等の懸念が払拭されない外国・地域所在団体の情報を参照用として提供するもの
最終更新日:2025年10月9日