2.取引又は証明における規制
計量法では第8条第1項において「法定計量単位以外の計量単位(非法定計量単位)は、第2条第1項第1号に掲げる物象の状態の量について、取引又は証明に用いてはならない。」と、定めており、72の物象の状態の量について、取引又は証明において非法定計量単位の使用を禁止している。
計量法では取引及び証明の定義を法第2条第2項で次のように定めている。
「この法律において「取引」とは、有償であると無償であるとを問わず、物又は役務の給付を目的とする業務上の行為をいい、「証明」とは、公に又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明することをいう。」
- 取引における計量
取引における計量とは、契約の両当事者が、その面前で、ある計量器を用いて一定の物象の状態の量の計量を行い、その計量の結果が契約の要件となる計量をいう。工程管理における計量等、内部的な行為にとどまり、計量の結果が外部に表明されない計量や契約の要件にならない計量は含まれない。
計量した物に計量の結果を表示する場合については、その物が取引の対象となり、表示した計量の結果が契約の要件となるときは、その表示をするための計量は、取引における計量に該当する。内部の工程管理における計量結果の表明であり、工程管理上その計量結果の表示を用いる場合は、その表示のための計量は取引における計量に該当しない。 - 証明における計量
計量法第2条第2項の「公に」、「業務上」、「一定の事実」、「真実である旨を表明すること」の解釈は以下のとおり。
- 「公に」とは、公機関が、又は公機関に対しであること。
- 「業務上」とは、継続的、反復的であること。
- 「一定の事実」とは、一定のものが一定の物象の状態の量を有すること。特定の数値で表されるのが一般的であるが、ある一定の水準に達したか、達していないかという事実も含まれる。
- 「真実である旨を表明すること」とは、真実であることについて一定の法的責任等を伴って表明すること。参考値を示すなど、単なる事実の表明は該当しない。
具体的には、次のようなものが、「取引又は証明」に該当する。
- 物品の質量による計量販売(牛肉500グラム)
- 物品の規格値による取引(10ニュートンの力に耐える木材)
- 土地の登記のための測量
- 都道府県に提出する排水の総量の計量
また、次のようなものは、「取引又は証明」に該当しないと考えられる。
- スポーツ、ゲームなど取引又は証明に関係の無い日常生活における単位の使用
- 学術論文など学術研究における単位の使用
- 学校教育において、教育上の観点から教育段階に応じて適当と判断されて定められた単位の使用
取引又は証明に用いられない計量単位については、計量法の規制の対象とならないが、計量法の目的に照らせば非法定計量単位の使用が普及することは望ましくなく、法定計量単位を使用することが望ましい。
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