2四半期ぶりの前期比低下となった2017年Ⅳ期の海外出荷指数。幅広い業種で現地法人の出荷が低下し、はん用・生産用・業務用機械工業の大きな伸びでもカバーしきれなかった 2018年5月7日
- 海外出荷は、2期ぶりの低下
- 幅広い業種で低下、はん用・生産用・業務用機械工業で補い切れず
- 主要地域外の現地法人の活動が低下
- 主要業種、主要地域外が低下要因 2017年Ⅳ期の海外現地法人の活動は、業種的にも、地域的にも、主要領域以外の部分での前期比低下が主要因となって、前期比マイナスとなりました。こうみると、いわば主役不在による前期比低下とでも言えるのかも知れません。
グローバル出荷指数とは、製造業の海外現地法人の出荷量と国内生産拠点からの出荷量を合算して、日本の製造業のグローバルな活動を指標化したものです。この指標により、海外生産と国内生産の動きを同じ土台の上で比較できます。

このニュースでは、日系製造業の海外現地法人の出荷を示す海外出荷指数の2017年Ⅳ期の業種別、地域別の動きについて解説していきます。
海外出荷は、2期ぶりの低下
日本企業の海外生産拠点からの出荷である海外出荷指数(季節調整済)は、指数値139.3、前期比マイナス0.2%と2期ぶりの低下となりました。前期である2017年Ⅲ期は139.6と歴代の最高値を更新していましたが、Ⅳ期は若干の低下となります。とはいえ、139台を維持していますので、過去最高レベルを維持していることも確かです。

幅広い業種で低下、はん用・生産用・業務用機械工業で補い切れず
海外出荷指数の主要4業種別の動きをみると、輸送機械工業が指数値154.1で、前期比マイナス0.3%低下、電気機械工業が指数値120.3で、前期比マイナス0.5%低下となりました。
他方、はん用・生産用・業務用機械工業は指数値140.8で、前期比8.7%と大きく上昇し、化学工業も指数値135.6で、前期比1.2%上昇となりました。
海外出荷は主要業種の中で明暗が大きく分かれましたが、特に、海外の設備投資需要向けに出荷されるはん用・生産用・業務用機械工業の伸びが目立っています(はん用・生産用・業務用機械工業の海外出荷のうち、日本向けに出荷されるものの比率は低く、逆輸入比率は2割未満)。

海外出荷の前期比マイナス0.2%低下に対する影響としては、主要業種を除いた「それ以外の業種計」の影響(低下寄与)が大きかったのですが、主要業種の中では、輸送機械工業の低下寄与が前期比0.2%ポイントとなっています。
他方、はん用・生産用・業務用機械工業は、前期比0.6%ポイントの上昇寄与を見せていました。このはん用・生産用・業務用機械工業の上昇分が、輸送機械工業だけでなく、多くの業種の海外出荷が少しずつ低下したことで、相殺されてしまったという関係になります。
逆に言えば、多くの業種の海外出荷の調子は良くなったのですが、はん用・生産用・業務用機械工業の勢いがそれをカバーし、海外出荷の前期比低下幅をマイナス0.2%程度に縮小させたということになり、はん用・生産用・業務用機械工業の勢いの強さを、逆に際立たせているということもできるでしょう。

主要地域外の現地法人の活動が低下
海外現地法人の立地地域別に「北米」、「中国(含 香港)」、「ASEAN4」、「それ以外の地域」に分けて指数化しています。
2017年Ⅳ期の指数値をみると、北米指数が指数値157.8、前期比1.7%上昇でした。北米の現地法人の出荷は前期2017年Ⅲ期まで2期連続の前期比低下でしたが、そこから反転上昇となりました。中国指数は指数値142.2、前期比0.9%と5期連続の上昇でした。中国の現地法人からの出荷は、引き続き好調ということのようです。
一方、ASEAN4指数は127.5、前期比マイナス0.4%の低下となりました、ほぼ横ばいという感じでしょうか。さらに、この3地域以外の「それ以外の地域」の海外出荷指数が前期比マイナス2.9%低下と大きめの低下を見せました。

地域別の寄与をみると、海外出荷の前期比マイナス0.2%低下に対して、「それ以外の地域」の出荷がマイナス0.9%ポイントと相対的に大きな低下寄与を見せました。ASEAN4指数の低下寄与はマイナス0.1%ポイントなので、当期の海外出荷の低下は、地域別にみると主要地域の低下というよりも、各地の現地法人の出荷活動が広く低下したことによるものだったようです。
当期前期比上昇となった中国と北米の現地法人の出荷活動という面では、北米指数の上昇寄与が0.5%ポイント、中国指数の上昇寄与が0.2%ポイントでしたので、前期まで2期連続で低下していた北米指数の反転上昇の寄与が大きかったことになります。

主要業種、主要地域外が低下要因 2017年Ⅳ期の海外現地法人の活動は、業種的にも、地域的にも、主要領域以外の部分での前期比低下が主要因となって、前期比マイナスとなりました。こうみると、いわば主役不在による前期比低下とでも言えるのかも知れません。

海外出荷と国内出荷を合計したグローバル出荷の動きについての解説記事 、海外出荷の仕向け先別の動きと逆輸入比率についての解説記事?、そして、グローバル出荷に占める海外出荷の比率などのグローバル化比率についての解説記事?もありますので、ぜひご確認ください。
- ミニ経済分析「グローバル出荷指数(平成22年基準)について(平成29年Ⅳ期(第4四半期))」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20180507minikeizai.html
- グローバル出荷指数のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-gb.html
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