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2019年の訪日外国人消費指数は8年連続で上昇するも、上昇幅は縮小傾向。2020年第1四半期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大幅下落。 2020年6月23日

2019年の訪日外国人消費は8年連続の上昇も、上昇幅は縮小傾向

訪日外国人消費指数(TCI)とは、訪日外国人の消費金額を、消費者物価指数を用いて実質指数化し、訪日外国人の国内での費目別の旅行消費の動向を指標化したものです。

この度、基準年次を2010年基準から2015年基準へ改定しました。この基準改定により、2010年1月からの全てのデータが変更となりました。

今回は、基準改定後のTCI(2015年平均=100)から、2019年の動向と、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて注目される、2020年第1四半期のTCIの動向をご紹介します。

2019年のTCI(2015年平均=100)は、指数値が148.5、前年比5.1%と8年連続の上昇となりました。

ただし、2016年以降は上昇幅が縮小する傾向にあります。名目値である旅行消費額も同様の動きであることから、物価要因ではなく、訪日外国人旅行客数の上昇幅が縮小する動きにちなんでいると考えられます。これに加えて、2018年までは1人当たり旅行支出額が縮小する傾向にあったことも影響したでしょう。2019年の1人当たり旅行支出額は、前年比3.6%と4年ぶりに上昇に転じましたが、TCIの上昇幅を再び拡大するまでには至らなかったようです。

費目別「飲食費」の上昇幅縮小が目立つ。対個人サービスへの上昇寄与も縮小

費目別の指数の動向を見ると、2019年は全ての費目が前年比プラスです。しかし、2016年以降最も大きくプラスに寄与してきた「飲食費」が、2019年にはプラス幅を大きく縮めたことが目立ちます。

なお、近年の費目別指数の推移を見ると、主要費目の中では買物代の上昇に勢いが感じられなくなっています。訪日外国人の消費においては、モノの消費より、飲食費、宿泊代金、娯楽サービス費といったコト(経験)の消費の位置付けが増してきていたと考えられますが、その上昇寄与も近年縮小してきています。

こうした訪日外国人消費の伸び悩みにより、国内における対個人向けサービスへの寄与も僅かなプラスに留まりました。2019年の広義対個人向けサービス(第3次産業活動指数)の前年比0.5%に対し、TCIは0.1%ポイントのプラス寄与でした。2019年の対個人サービスの上昇は、国内居住者等の消費がけん引していたことがうかがえます。

2020年第1四半期は新型コロナウイルス感染症の影響で大幅下落

2020年の第1四半期は、季節調整済指数値が87.6、同前期比マイナス43.4%と、大幅な下落となりました。東日本大震災直後の2011年第2四半期の季節調整済前期比がマイナス44.9%でしたので、これに匹敵する、史上2番目の下落幅です。これは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、訪日外国人旅行客が激減したことによるものです。訪日外客数(観光庁)は、1月は前年同月比マイナス1.1%でしたが、2月はマイナス58.3%、3月はマイナス93.0%と大幅に減少しました。今回のTCIの推計期間より先の話ですが、4月、5月はマイナス99.9%となっており、2020年第2四半期への影響は更に大きいと想定されます。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は、海外からの旅行客のみならず、国内においても甚大で、国内における対個人向けサービス産業に二重に負の影響を及ぼすことになりました。2020年第1四半期の広義対個人向けサービス(第3次産業活動指数)の前期比マイナス1.8%に対し、訪日外国人消費指数はマイナス0.6%ポイントのマイナス寄与でした。第3次産業活動指数の広義対個人サービスは4月も続落しています(前月比マイナス7.2%、3か月連続の低下)。

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、3月24日には今年7~9月に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催が延期されることが決定しました。新たな開催日程は1年後の2021年7~9月です。現在も入国制限が続いているため、当面、訪日外客数については激減の状況が続くと思われますが、今後、社会経済活動のレベルが引き上げられるに伴ってサービス産業が回復していくとともに、国をまたいだ移動も再び活性化し、訪日外国人消費がどう回復していくかにも注目していきたいと考えます。

なお、下記のスライド資料には、費目別の寄与度など、より詳細な情報を掲載しています。是非お目通しください。

(注)一般客(クルーズ客以外)の1人当たり旅行支出

ミニ経済分析「2019年, 2020年第1四半期の訪日外国人消費指数の動き」のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20200623minikeizai.html

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