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映画離れは本当か?映画、テレビ、インターネット、利用動向に年代差あり

※映画館での映画鑑賞と映画館以外での映画鑑賞の平均行動日数を用いた分析と、それに係る記述を一部修正しました(2020年5月14日更新)

映画館指数の動向

皆さんは最近、映画を観ましたか。2018年の興行収入ランキングでは、昨年11月に公開されたボヘミアン・ラプソディーが興行収入100億円以上を記録して1位となり話題になりました。

経済解析室が作成している第3次産業活動指数の、主要映画館の入場者数に基づく「映画館」指数の推移を見ると、2011年に大きく低下して以降は、徐々に上向きに推移してきていました。しかし、直近の2018年は再び低下しました。

映画館での映画鑑賞は多くの年代で低下

実際、人々の映画鑑賞はどのように変わってきているのでしょうか。

下のグラフは、映画館での映画鑑賞について、2006年と2016年それぞれの年代別平均行動日数(1年間のうち何日その行動をしたか)を表したものです。

主に10代後半から50代前半までの年代で減少し、全体でも減少していることが分かります。

多くの年代で、あまり映画を観なくなったのでしょうか。

シニア世代は「映画館以外での映画鑑賞」が大幅に増加。若者は「映画」離れ?!

映画館以外での映画鑑賞について見てみると、50代以降は2006年に比べて増えており、特に50代後半以降は大きく伸びています。50代以降の年代については映画館での映画鑑賞も行っているものの、映画館以外での鑑賞の方が大幅に増えているようです。

他方、40代以下の年代は、どちらも2006年に比べて減少しています。特に世代が若くなるほど、映画館以外での映画鑑賞日数も低下する傾向が見られます。若者は、映画館からも、映画自体からも離れつつあるのかもしれません。

10代、20代はネット利用時間>テレビ視聴時間

なぜ若者は、映画館からも、映画自体からも離れつつあるのでしょうか?社会生活基本調査(総務省)によると、2016年の平均自由時間は、65歳以上を除く全年代で2006年に比べて減少しています。

10代、20代については、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌への時間や、交際・付き合いへの時間は減少している一方、休養・くつろぎや趣味・娯楽の時間は概ね増加しています。趣味・娯楽の時間は増えているにもかかわらず、映画から離れつつあるのはなぜなのでしょう?若者は代わりに何をしているのでしょうか?

ここで、近年急速に増えつつあるインターネット(以下、ネット)利用時間について見てみましょう。テレビ視聴時間とネットの利用時間について年代別に確認してみると、10代、20代は2015年頃にネット利用時間がテレビ視聴時間を抜き、その差は広がっています。30代も逆転間近の様相です。

若い世代は、映画鑑賞だけでなくテレビ視聴時間も減っており、代わりにネット利用時間が増えているようです。

若者の利用時間が長いネットサービスはSNSや動画投稿・共有サイト

では若い世代は、ネットでどのようなサービスを利用しているのでしょうか。

1日のネット利用時間を、サービス別、年代別に比較してみると、10代、20代は「ソーシャルメディアを見る・書く」(以下、SNS)が一番長く、「動画投稿・共有サービスを見る」(以下、動画サービス)や「オンラインゲーム・ソーシャルゲームをする」(以下、ゲーム)なども多く利用されています。

視聴者が観たい時に映画などの映像コンテンツを観られるビデオ・オン・デマンド(VOD)も少しずつ伸びてきてはいますが、まだ割合としては低いようです。

若者にとって、こうしたネットを通じたオンラインサービスの利用時間が増加し、趣味・娯楽、あるいはくつろぎの時間となっていることが、テレビ等に使う時間はもちろん、映画鑑賞に使う時間を減らしている要因の一つとして考えられます。

映画鑑賞行動の変化と背景から見えてきたことは

50代以降の世代では、映画館以外での映画鑑賞が大きく増えているものの、世代が若くなるほど映画館以外も含めた映画鑑賞も減っており、代わりにSNSや動画サービス、ゲームなどでネットを利用する時間は増えていることが見受けられました。

このことは、第3次産業活動指数でも、例えばコンテンツ配信業務指数の大幅な増加に表れているとも考えられます。ただ映画配信については、未だ十分利用者を獲得できていない可能性もあります。

人々の映画鑑賞行動が変わりつつある中で、映画を取り巻く業界は今後どのように変わっていくのでしょうか。興味深いところです。

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
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最終更新日:2020年5月14日
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