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- 近年、鉱工業の輸出向け出荷が最も好調なのは非耐久消費財。日々の生活で消費される商品に輸出のチャンスあり?
近年、鉱工業の輸出向け出荷が最も好調なのは非耐久消費財。日々の生活で消費される商品に輸出のチャンスあり?
リーマン・ショック以降、伸びが鈍化した我が国の輸出
我が国は1980年代以降、貿易黒字は大きく増加し、輸出大国とも言われましたが、2008年のリーマン・ショックを契機に、輸出額は大きく低下しました。その後、輸出額は再び回復しつつあるものの、リーマン・ショック以前ほどの勢いはなく、未だ当時の最高額を下回っています。
2011年には、東日本大震災の影響もあり、輸出は減少、輸入が増加し、1980年以来31年ぶりの貿易赤字となりました。その後も我が国の貿易収支は赤字と黒字を行ったり来たりしています。

鉱工業全体の輸出数量は伸び悩む中、非耐久消費財の輸出は近年急増
上でみたように、我が国の輸出額はリーマン・ショック以降、再び上昇してはいるものの伸びは鈍化していますが、我が国輸出の主力である鉱工業の輸出向け出荷の動きを財別に分けてみると、どのようなことがわかるでしょうか。当室で作成している鉱工業出荷内訳表のデータを用いて、数量ベースの動向を示したのが以下のグラフです。

リーマン・ショック前の2007年までは、耐久消費財や資本財、生産財の輸出が上昇傾向にありましたが、2008年のリーマン・ショックを経て、これらの輸出は大きく低下しました。その後再び上昇したものの、以前ほどの勢いはありません。このことが鉱工業全体の輸出向け出荷の伸びの鈍化の要因にもなっています。
一方で注目されるのは、2013年以降、輸出向け出荷全体に占めるウエイトは小さいとはいえ、非耐久消費財のみが勢いのある上昇を続けていることです。一体何が要因で、非耐久消費財の輸出が急上昇しているのでしょうか?
化粧品類などの人気が、非耐久消費財の輸出をけん引
2013年以降の非耐久消費財の輸出向け出荷の、主要上昇寄与品目の推移をグラフで示すと、以下のようになります。乳液・化粧水類と日焼け止め・日焼け用化粧品の輸出向け出荷の上昇が、非耐久消費財の輸出向け出荷指数の上昇をけん引している様子がみられます。また、このほか医薬品の輸出も、2013年から直近2019年の間に2倍へと大幅に増加しています(貿易統計(財務省)、金額ベース)。

このように、近年、我が国鉱工業全体の輸出向け出荷の伸びが鈍化する中、非耐久消費財のみ勢いのある上昇が続いていますが、その要因としては、乳液・化粧水類や日焼け止め・日焼け用化粧品といった化粧品類、医薬品などの輸出が急増していることが挙げられます。
日本からの輸出品というと、自動車、家電などの耐久消費財や、機械などの資本財、あるいは部品・素材などの生産財を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、近年は、未だ鉱工業の輸出全体における割合は小さいものの、上に挙げたような非耐久消費財に属する商品の輸出の方が急成長を続けています。
これらはドラッグストア等で訪日外国人に人気の商品ですので(参考)、近年訪日外国人旅行者が急増する中で、彼らを通じて日本製の商品のよさが海外に伝わっていることも、輸出急増の要因にありそうです。

上でみた化粧品類や医薬品以外にも、わたしたちが日常生活で消費する商品の中から、今後輸出が大きく伸びる商品が出て来る可能性もあるのではないでしょうか。直近では訪日外客数はやや落ち込みがみられるものの、今後期待したいところです。
(参考)
問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)