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不織布の生産動向;縮小続く日本の繊維工業の中でも成長を続けてきたが、近年輸入品との競争が進んでいる

近頃、マスクを含め、様々な用途に用いられている繊維として、不織布があります。不織布とは、簡単に言えば、その名のとおり「織らない布」で、繊維を織ったり編んだりせず、絡ませたり、融かしたり、接着するといった物理的・化学的な作用により繊維を結合させてつくられています。

日本の繊維工業は、海外との競争の進展等もあり、国内生産の縮小が続いていますが、そうした中でも、不織布は成長分野の一つとなっています。今回はこの不織布の生産の動向等についてみていきたいと思います。

着実に成長を続けてきた不織布の国内生産

不織布は、繊維に加工できる様々な素材を組み合わせることで自由に成形でき、また柔らかさや強度など目的・用途に応じて様々な機能を持たせることができるといった特徴があり、需要の増加が続いています。マスクや紙おむつなどの医療・衛生用のほか、ラッピング材や菓子折包装材等の生活関連用、カーマット基布やシート補強材といった自動車内装材等の産業用(車両用)、集塵用フィルター、研磨材等の産業用(除.車両用)、床材、遮音材等の土木・建築用、その他カーペットの裏材や造花、最近では備蓄用不織布毛布など、様々な用途に用いられているようです。

リーマン・ショック時に不織布の国内生産は一旦落ち込みましたが、その後は着実に上昇が続き、繊維工業全体の国内生産が低下傾向にあることとは対照的です。ただ、昨年は鉱工業全体も低調であったとはいえ、近年、不織布の生産も頭打ちにみえるのはやや気になるところです。

不織布の生産の用途別動向

不織布が生産上昇を続けてきた要因を探るため、用途別の生産動向を見てみましょう。生産動態統計調査「タフテッドカーペット・フェルト・不織布月報」では、不織布の生産数量のみならず、その用途別内訳まで調査結果が公表されています。それをもとにグラフ化すると以下のようになります。

リーマン・ショック後の不織布生産の伸びをけん引してきたのは、医療・衛生用と生活関連用です。医療・衛生用は、近年は低下していますが、生活関連用と並んで、不織布の主な用途となっております。一方、リーマン・ショックの影響を受けて落ち込んだのは産業用です。その後、産業用(除.車両用)はリーマン・ショック前の生産水準まで回復したものの産業用(車両用)は伸び悩んでおり、土木・建築用もリーマン・ショック以降低い水準で推移しています。

不織布の輸入量は増加

一方、不織布の輸入の状況はどうなっているでしょうか。貿易統計を使って確認してみました。 リーマン・ショック後の不織布の国内生産量と輸入量を対比させてみると、国内生産量は緩やかに増加しているものの、近年は増加に陰りがみられます。一方、輸入量は2005年の7万トンから2019年には25万トンと3倍以上増加しており、輸入品との競争が厳しくなっている様子がうかがえます。

また、輸入の状況を国・地域別に見てみると、主にアジアからの輸入となっています。特に中国からの輸入が多く、2019年の不織布の総輸入量の大半を占めています。

このように、様々な用途に応えることで、日本の繊維産業の中でも国内生産の上昇が続いてきた不織布ですが、中国等からの輸入品との競争が進んでいる様子もうかがえます。近年は生活関連用で生産量が上昇している一方、最も生産量の多かった医療・衛生分野で低下がみられることから、新たな需要開拓の重要性も感じられます。

皆さんの身の周りでも、様々な所で不織布が使われています。一度意識して探してみていただくと、一層興味深いのではないでしょうか。

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
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最終更新日:2020年4月2日
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