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近年の不動産業の動向変化;2019年第1四半期をピークに活況度は低下傾向

経済解析室で作成している第3次産業活動指数では、様々なサービス業の活動量の動向を指数化し、公表しています。今回は、この指数を用いて、近年の不動産業の動向、活況度合いについてみてみます。

サービス業全体より先に変調した不動産業

まず、サービス産業活動全体の動きを示す第3次産業総合指数と不動産業指数の動向を比較してみます。図1をみると、両者とも、前回2014年の消費税率引上げのあった2014年第2四半期を底に緩やかな上昇傾向が続いていましたが、不動産業は、第3次産業総合より早く、2019年第1四半期をピークに、その活況度は緩やかな低下傾向に転じたことがわかります。

また、本年第2四半期は、不動産業も他の多くの産業と同様、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、大幅な低下となりました。

2019年第2四半期以降の不動産業の変調の要因は、不動産取引業

第3次産業活動指数の不動産業指数の内訳系列としては、大きく不動産取引業と不動産賃貸業とに二分されます。図2をみると、2019年第2四半期以降の不動産業の変調は、不動産取引業によることがわかります。

また、本年第2四半期は、不動産取引業の方が大幅な低下となっています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、人々の外出・移動が控えられたことなどで不動産の取引が大きく低迷したことがみてとれます。

不動産取引業の中でも、「建物売買業,土地売買業」が先に変調

次に、この不動産取引業の内訳系列である、「建物売買業,土地売買業」と「不動産代理業・仲介業」の動向をみてみます。

図3から、2019年第2四半期以降の不動産取引業の基調の変化には、「建物売買業,土地売買業」の低下が先行し、続いて「不動産代理業・仲介業」も同年第3四半期をピークに、同年第4四半期以降、低下傾向に入ったことがわかります。

「建物売買業,土地売買業」では、マンション分譲業が特に低下

この「建物売買業,土地売買業」の内訳系列の動向をみたのが図4です。新築戸建住宅売買業は近年、本年第1四半期まで上昇傾向が続いた一方、マンション分譲業は、2016年以降緩やかに持ち直したものの2018年に入り伸び悩み、2019年以降は低下傾向が続いています。

このマンション分譲業の低下要因としては、都市部で新築マンション価格の上昇が続いたことなどが考えられます。また本年に入り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、マンション分譲業の低下に大きく影響した様子がみてとれます。

戸建住宅やマンションの売買仲介も、2019年第3四半期をピークに低下傾向に

次に、「不動産代理業・仲介業」の動向を見てみましょう。

図5をみると、住居賃貸仲介は2016年以降、低下傾向が続いていますが、戸建住宅やマンションの売買仲介は2019年第3四半期までは堅調に推移し、「不動産代理業・仲介業」の上昇をけん引していました。しかしその後これらも低下傾向に転じ、特に本年第2四半期は感染症の影響によりいずれも大幅に低下しています。

不動産賃貸業では、好調が続いた貸事務所業に変調の兆し?

最後に、不動産賃貸業です。上の図2でみたように、不動産賃貸業は不動産取引業より安定的に推移しています。図6から、住宅賃貸業は低下傾向が続いているものの、貸事務所業や駐車場業の上昇が続いたことで、不動産賃貸業は安定的な上昇を続けてきたことがわかります。

ただ、直近6月は、好調が続いてきた貸事務所業も前月比でマイナス0.4%となり、実に2013年4月以来、7年2カ月ぶりのマイナスに転じました。まだ単月でのマイナスであり確たることは言えませんが、感染症による景気の悪化の影響が出始めている可能性もあり、またテレワークの拡大に伴い、貸事務所への需要は今後減少する可能性もあります。今後の動向が注目されます。

このように、第3次産業活動指数をみるだけでも、近年の不動産業の動向や業態ごとの活況度合い、構造変化等についてうかがい知ることができます。他にも様々なサービス産業の活況度合いや構造変化等を簡単に見ることができます。皆さんもぜひ、興味のある業界についてご覧になってみてください。

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)

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最終更新日:2020年8月26日
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