NPEの第二種特定化学物質への指定について
2024年10月
経済産業省 産業保安・安全グループ
化学物質管理課 化学物質安全室
経済産業省 産業保安・安全グループ
化学物質管理課 化学物質安全室
2023年9月に開催された3省合同審議会「令和5年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会(厚生労働省)、令和5年度化学物質審議会第1回安全対策部会(経済産業省)及び第237回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会(環境省)」[1]において、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(以下「化審法」という。)における優先評価化学物質「α-(ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(別名ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル)」(以下「NPE」という。)を第二種特定化学物質[2]に指定するとともに、「NPEが使用されている水系洗浄剤」について、技術上の指針[3]の遵守及び表示の義務を課す製品に指定することが適当であるとの結論が得られました。
これを踏まえ、NPE(表1参照)を化審法の第二種特定化学物質に指定するとともに、NPE及びNPEが使用されている水系洗浄剤について、環境の汚染を防止するために必要な措置(技術上の指針の公表等)を講じることとしております。
表1.第二種特定化学物質に新たに指定する物質(関係条文:化審法第2条第3項等)
優先評価化学物質名称 | 【優先評価化学物質通し番号86】 「α-(ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(別名ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル)」 |
---|---|
第二種特定化学物質指定後の物質名称(予定) | ポリ(オキシエチレン)=アルキルフェニルエーテル(アルキル基の炭素数が9のものに限る。) |
CAS登録番号 (参考※1) |
26571-11-9、27177-08-8、20427-84-3、104-35-8 等 |
化審法官報公示整理番号(参考※1) | 3-589、7-172 |
化学構造式 |
なお、NITE-CHRIPでは、化審法の優先評価化学物質86番「NPE」に該当するCAS登録番号例が掲載されている。
当該NPEと第二種特定化学物質に指定されるNPEの対象範囲は同一の予定。
<NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)>
https://www.chem-info.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/systemTop(外部リンク)
表2.表1に掲げる化学物質が使用されている場合、環境の汚染を防止するために必要な措置を講ずる製品
(関係条文:化審法第36条、第37条) 技術上の指針及び表示義務の対象となる製品 |
水系洗浄剤 |
---|---|
(関係条文:化審法第35条) 輸入予定数量等を届け出なければならない製品 |
該当無し |
(1)事前の予定数量、事後の実績数量の届出[4]の義務
NPEの製造者・輸入者に対し事前の予定数量及び事後の実績数量の届出義務を課す。NPEによる環境の汚染により、人や環境への被害が生ずることを防止するために必要があると厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣が認めるときは、経済産業大臣は、当該予定数量を変更すべきことを命ずることができる。(2)取扱いに係る技術上の指針の公表
主務大臣※2は、NPE及びNPEを含有する水系洗浄剤(以下「NPE等」という。)の取扱いについて、環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針を公表する。同指針の内容に照らして適切な取扱いが行われていない等、必要があると認めるときは、NPE等を取り扱う事業者※3に対して、NPEによる環境の汚染を防止するために講ずべき措置について必要な勧告をすることができる。※2 厚生労働大臣、経済産業大臣、環境大臣及び技術上の指針・勧告の対象となる者の行う事業を所管する大臣
※3 「NPE等を取り扱う事業者」とは、以下の者を指す。
a. NPEの製造の事業を営む者
b. 業としてNPEまたはNPEを含有する水系洗浄剤を使用する者
c. その他の業として、NPEを取り扱う者、またはNPEを含有する水系洗浄剤を取り扱う者(運搬等)
(3)環境の汚染を防止するための措置等に関し表示すべき事項の公表
厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣は、NPE等の容器、包装又は送り状について、環境の汚染を防止するための措置等に関し表示すべき事項を告示する。NPE等を取扱う者は、それらを譲渡し、又は提供するときは、当該告示に従って表示をしなければならない。【表示の義務の対象例】
例① :第二種特定化学物であるNPEが含まれる混合物
A者がNPEをB者へ販売し、B者がNPEが含まれる混合物を製造し、C社へ提供する場合。
この場合、A者及びB者は表示の義務の対象です。
例② :政令第9条で定める製品
A者がNPEをB者へ販売し、B者がNPEが使用されている水系洗浄剤(政令第9条で定める製品)を製造し、C社へ提供する場合。
この場合、A者及びB者は表示の義務の対象です。
例③ :政令第9条で定める製品以外の製品
A者がNPEをB者へ販売し、B者が、NPEが使用されている塗料(政令第9条で定める製品以外)であって、かつ店頭等で販売されうる形態になっている混合物などの製品(運用通知
1(4)の①又は②)に該当する製品を製造し、C者へ提供する場合。
この場合、A者は表示の義務の対象ですが、B者は表示の義務の対象外です。
2023年 10月
|
|
2024年 6月
|
TBT通報※4
|
2024年 7月 | 化審法施行令の一部を改正する政令案に関するパブリックコメント実施済(7月26日~8月30日) 意見公募の結果については、こちら(e-Govサイト) |
2024年 8月 | NPE等の容器、包装又は送り状に表示すべき事項(告示)案に関するパブリックコメント実施済(8月2日~9月6日) 意見公募の結果については、こちら(e-Govサイト) |
化審法施行規則の一部を改正する省令案に関するパブリックコメント実施済(8月5日~9月9日) 意見公募の結果については、こちら(e-Govサイト) |
|
NPE等の取扱いに係る技術上の指針(告示)案に関するパブリックコメント実施済(8月16日~9月14日) 意見公募の結果については、こちら(e-Govサイト) |
|
2024年 9月27日
|
公布(改正政令) |
2024年 10月1日 | 公布(改正省令、技術上の指針、表示義務にかかる告示) |
2025年 4月1日
|
施行(改正政令、改正省令、技術上の指針、表示義務にかかる告示)
|
※4 世界貿易機関(WTO)の貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)に基づき、WTO事務局に本件を通報しWTO加盟国から意見を受付
NPEについて、令和6年度(2024年度)届出<令和5年度(2023年度)実績>は、第二種特定化学物質の対象物質ではありません。
NPEの製造・輸入者は、優先評価化学物質として届出をしてください。
脚注
- [1] 2023年9月15日開催 令和5年度化学物質審議会第1回安全対策部会(薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、化学物質審議会安全対策部会、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の合同会合)
- [2] 第二種特定化学物質について
- [3] 第二種特定化学物質等に係る技術上の指針に関する告示
- [4] 第二種特定化学物質の届出
参考情報
- NPEのこれまでのリスク評価(一次)評価Ⅱ等の結果
- 2024年3月11日開催 令和5年度第1回化学物質審議会、産業構造審議会製造産業分科会第11回化学物質政策小委員会 合同会議 資料4「化審法の概要と最近の動向」
お問合せ先
お問合せメールフォーム https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/kagaku/kannrika_toiawase
※「お問い合わせ種別」は「化審法」を選択してください。