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「オープン&クローズ戦略」事例集

 
 

オープン&クローズ戦略とは

オープン&クローズ戦略とは、標準化と知的財産を一体的に活用することで、市場創出とシェア拡大を両立させるための重要な事業戦略ツールです。技術の独占だけでは、市場そのものが広がらず、市場シェアが獲れたとしても、売り上げが限定的になる場合があります。また、技術の普及だけでは、市場は広がるものの、自社の優位性が確保できない場合があります。
国際競争が活発化する中、標準化と知的財産の一体的な活用は、より一層重要性を増してきています。

オープン&クローズ戦略の基本概念とポイント

基本概念

オープン&クローズ戦略は、企業が自社製品・サービスに含まれる技術について、オープン領域(普及させたい技術等)とクローズ領域(独占したい技術等)を適切に使い分けることで市場獲得の最大化を目指す。

ポイント

  • クローズ戦略だけでは技術・サービスが普及せず、事業目的が達成できない可能性がある。
  • オープン戦略は市場形成戦略であり、特定の技術・基準等を他社に伝播させることで、市場の拡大を目指せる。 他方、コア領域をオープンにすると差別化ができなくなる。
  • コア領域をクローズ戦略で守りつつ、他の領域でオープン戦略を実施して市場形成を図ることがオープン・クローズ戦略の要点。
oc-2

オープン&クローズ戦略の4類型

類型 オープン&クローズの組合せ(概念図) 具体例
製品・サービス(仕様)のオープン化 特許ライセンス・標準化によるオープン戦略
type-1

Blu-ray Disc

  • ブルーレイディスクの仕様を国際標準化。
  • 標準に対応するために必要な特許は、無差別かつ安価にライセンスすることで、関連機器やコンテンツの発展に寄与。
オープン化した仕様を効率的に達成する手段(製法等)をクローズ化
type-2

携帯形微生物観察器

  • 携帯形微生物観察器という新しいコンセプトの製品の定義を標準化。あわせて性能基準も標準化。
  • 画像解析技術等高性能技術については特許等でクローズ化し競争力を維持。
インターフェイスのオープン化 クローズ領域の周辺をオープン化
type-3

QRコード

  • QRコードの基本仕様を標準化し、無償で提供。
  • QRコードの読み取り技術はブラックボックス化し、読み取り機やソフトフェアを有償で販売。
性能標準・評価方法のオープン化 クローズ領域を含む製品等の評価方法をオープン化
type-4

水晶デバイス

  • 業界全体で最高品質の品質評価基準を国際標準化し、他国製品との差別化。
  • メーカー各社は、製造ノウハウをブラックボックス化し競争力を維持。


 

オープン&クローズ戦略のベストプラクティス

3つのモデルについて企業等におけるベストプラクティスをまとめました。
「オープン&クローズ戦略」事例集PDFファイル

企業・団体名 内容 オープン&クローズ戦略の類型 関連情報
製品・サービス(仕様)の
オープン化
インターフェイスの
オープン化
性能標準・評価方法の
オープン化
1)株式会社IHI

標準化による燃料アンモニア利用を可能とする火力発電ボイラの市場創出PDFファイル

   
2)富士フイルム株式会社 2-1)写真プリントの光沢性評価方法の標準化により光沢性という新たな価値をアピールPDFファイル    
2-2)標準化・認証確立を通じて自社製品の提供価値をアピールPDFファイル    
2-3)環境情報開示基準の標準化により、環境性能に関する訴求力を向上PDFファイル    
3)日本電信電話株式会社 伝送装置メーカーとの共同開発や規格策定を通じて、社会ニーズに適合した安価な光コネクタの普及を実現PDFファイル  
4)積水化学工業株式会社 施工領域へのパートナー展開及び規格策定を通じて、下水道管路更生工法(SPR工法)の認知度向上・市場拡大を実現PDFファイル  
5)ダイキン工業株式会社 積極的なオープン戦略により規制緩和と販路拡大を実現PDFファイル  
6)根本特殊化学株式会社 標準化を通じて、自社のコア技術をベースに屋外蓄光標識の規格づくりに参画PDFファイル    
7)日本冶金工業株式会社 標準化による土工材料の価値向上と市場展開を実現PDFファイル    
8)株式会社mil-kin 性能標準化による社会課題解決と市場価値の両立を目指した「携帯形微生物観察器」市場の創出PDFファイル   ※組織として令和2年度産業標準化事業表彰を受賞
9)再生医療イノベーションフォーラム(FIRM) 標準開発・認証制度構築により、日本の再生医療の産業化を推進PDFファイル    
※本事例は国際標準課より株式会社三菱総合研究所に委託した「令和6年度技術開発調査等の推進事業費(標準専門人材育成に係る調査事業)」において作成されました。

 

関連情報

オープン&クローズ戦略の支援制度

オープン&クローズ戦略やOCEANプロジェクトについてわかりやすく説明した動画や検討プロセス等についての資料も掲載しています。

オープン&クローズ戦略のテキスト

お問合せ先

イノベーション・環境局 基準認証政策課
メール:bzl-s-kijun-seisaku★meti.go.jp
※ [★]を[@]に置き換えてください

最終更新日:2025年5月28日