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輸出向け出荷の業種別動向;2017年・2018年の輸出向け出荷のけん引役の多くは低下したものの、化粧品等、一部の業種では根強く上昇

前回の記事では、2017年・2018年の鉱工業出荷では、内需(国内向け)より外需(輸出向け)の方が伸びが大きく、後者の輸出向け出荷の上昇をけん引してきたのは、主に「生産用機械工業」、「輸送機械工業」、「汎用・業務用機械工業」、「電子部品・デバイス工業」であったことについて説明しました。

今回は、それぞれの業種が具体的にどのような内訳業種によって変動したかについての試算結果をみていきます。

生産用機械工業は「半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置」等が輸出向け出荷の上昇に大きく寄与

2017、2018年の輸出の動きに寄与した業種について、その内訳業種の中で大きく寄与したものを下のグラフ(季節調整済指数)にまとめてみましたのでご覧下さい。

「生産用機械工業」の上昇に特に大きく寄与したのは「半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置」(半導体製造装置等)でした。IoT機器の普及拡大や電子機器への半導体搭載率の上昇等による半導体市場の拡大が、製造装置への需要の伸びにもつながったようです。 それ以外にも「建設・鉱山機械」(ショベル系掘削機械等)、「金属加工機械」(マシニングセンタ等)等が上昇に寄与しています。

2018年後半以降、「半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置」や「金属加工機械」は低下傾向にありますが、「建設・鉱山機械」はまだ高い水準を維持しています。

輸送機械工業は「車体・自動車部品」等が輸出向け出荷の上昇に大きく寄与

「輸送用機械工業」の上昇に大きく寄与したのは「車体・自動車部品」(駆動伝導・操縦装置部品、自動車用エンジン等)でした。これは自動車の生産が海外でも拡大しているため、日本からの部品供給が増加していることも影響しているかもしれません。また、2018年は「船舶・同機関」(鋼船)等も上昇に寄与しました。

ただし、2018年後半以降は、「車体・自動車部品」もやや低下がみられます。

汎用・業務用機械工業は「ボイラ・原動機」等 が輸出向け出荷の上昇に大きく寄与

「汎用・業務用機械工業」の上昇に大きく寄与したのは「ボイラ・原動機」(汎用内燃機関等)「汎用機械器具部品」(一般用バルブ・コック等)でした。こうした機械への需要も世界的に伸びているようです。

これらの業種も、直近では低下がみられました。

電子部品・デバイス工業は「集積回路」が輸出向け出荷の上昇に大きく寄与。 一方「電子デバイス」は2018年以降大幅に低下。

「電子部品・デバイス工業」の2017年の上昇に大きく寄与したのは「電子デバイス」 、「集積回路」 等でした。これは、中・小型はスマートフォン等、大型はタブレットや薄型テレビ等に使用されるアクティブ型液晶パネルや、スマートフォンのカメラ等に使用されるモス型半導体集積回路(CCD)等の上昇によるものです。 しかし2018年には、国際的な市場環境の変化、競争環境激化の影響等によるアクティブ型液晶パネルの低下 から「電子デバイス」は大幅低下となり、「電子部品・デバイス工業」低下の要因となりました。

上記以外では、「化粧品」の輸出向け出荷が目覚ましい勢いで上昇。

なお、その他の注目すべき輸出向け出荷の上昇業種としては、「化学工業」の化粧品 (日焼け止め・日焼け用化粧品、乳液・化粧水類等)は2013年以降、目覚ましい勢いで上昇しています。日本産の化粧品は海外で人気であることが、輸出向け出荷の上昇が続く背景にあるようです。

直近の2019年第1四半期の輸出向けは低下

好調に推移してきた輸出向け出荷指数ですが、足下の動きはどうでしょう?

上のグラフを見返してみると、輸出の上昇をけん引してきた内訳業種についても、直近の2019年第1四半期では一部を除き 多くの業種で前期比マイナスとなっています。その結果、鉱工業の輸出向け出荷指数は前期比マイナス2.6%低下と大きく落ち込んでしまいました。そうした中でも、化粧品等、それほど低下がみられない業種も一部あるのは興味深いところです。

さて、今回は輸出向け指数の業種別の推移について解説してみましたが、今後も「鉱工業出荷内訳表」について、違う角度から分析していく予定です。お楽しみに。

<鉱工業出荷内訳表のページ>

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
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最終更新日:2019年6月4日
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