日系製造業の海外拠点の生産性は向上、国内生産性は横ばい;「グローバル生産性」計測の試み
個別ファイルへ飛びます
概要
昨今、日系製造業のグローバル化が進んでおり、出荷海外比率(海外拠点からの出荷がグローバル出荷全体に占める割合)は3割に迫る水準に達しています。このような状況では、日系製造業の生産性の変化を、海外拠点における生産性の変化と交わせて評価することも必要です。
今回は、経済解析室で作成しているグローバル出荷指数を用いて、簡易的にグローバル生産性を計測し、その中でも日系製造業の中心的な存在である輸送機械工業に焦点をあてて、グローバル生産性をはじめ、海外・国内生産性の変化を確認してみました。
その結果、以下の点を確認することができました。
- ここ10年間で、製造業全体のグローバル生産性の最高値は2007年。2009年の急落後は上昇傾向で、2015年は2007年に近いレベルまで到達。
- 製造業全体では海外生産性が2012年以降のけん引役で、リーマンショック前の水準を2割以上も上回っているが、国内生産性は横ばい圏の推移。
- 製造業全体のうち、輸送機械工業をはじめ、鉄鋼業、化学工業などでは国内要因が足を引っ張る形で2015年における対2010年比のグローバル生産性が低下となった一方、はん用・生産用・業務用機械工業や電気機械工業などはグローバル生産性が上昇。
- 輸送機械工業のグローバル生産性は、意外にも2007年のピーク時と比較して大きく低下。
- 輸送機械工業の海外生産性は2012年以降上昇しているものの、国内生産性の低迷がグローバル生産性の押し下げ要因となっている。
- 輸送機械工業の国内生産性の低下は、国内出荷指数が基準年を下回っていることに加え、国内従業員数が2割近い上昇となっていることによる。
詳細な内容につきましては上記スライドショーを御覧いただくか、
こちらのダウンロード用ファイル(PDF版)を御覧下さい。
また、経済解析室ニュースに、概説と解説記事をアップしていますので、そちらもお目通しください。