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収用について扱われた仲裁事例
判断の要旨
Tecnicas Medioambientales Tecmed,S.A.対メキシコ、ICSID事件番号ARB(AF)00/2、スペイン・メキシコBIT、仲裁判断、2003年5月29日。
【判断の要旨】
政府の措置が「収用」にあたるかどうかの判断には、投資財産に与える影響が重要な要素である。同時に、政府の措置が、公益や投資財産の法的保護に均衡するものであるかどうかを検討するべきである。
(事例概要は後掲≪参考2≫○有害廃棄物処理施設建設・運営参照)スペインのTecmed社は、メキシコで廃棄物処理事業を営んでいたが、規制の違反などを指摘されて許可更新を拒否された。これがスペイン・メキシコBITの収用にあたるとして仲裁を申立てた。
仲裁廷は、政府の声明や会議の議事録などを参照し、規制の違反は軽微なものと政府に認識されており、許可更新拒否の本当の理由が規制の違反ではなく、地域住民の反対にあったと認定した。収用にあたるかどうかの判断に際し、仲裁廷は、「行為が投資財産に与える影響が均衡性の判断において重要であることを念頭におきつつ、政府の行為や措置が、それによって保護される公益や投資財産の法的保護に均衡するものかどうか」を検討することが必要であると述べた。具体的には、軽微な規制違反及び地域住民の反対に対応するために、許可を更新しなかったことが均衡するかどうかを検討してこれを否定し、収用にあたると判断した。