経済産業省
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よくあるご質問

EPA/FTAについてのお問合せの中で、よくいただくご質問についてFAQを作成しましたので、EPA/FTA御活用の際の参考としていただければ幸いです。
FAQに記載されている・いないを問わず、内容に御不明な点等ございましたら、お気軽に経済産業省や日本商工会議所にお問合せください。
なお、お問合せの内容によっては、関係部署・機関等を御紹介させていただくこともございますので、あらかじめご了承ください。

 

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お問い合わせ・回答 一覧

1. EPA/FTA全般について

[Q1-1]EPAやFTAとはどのようなものですか?

EPAとは、「経済連携協定(Economic Partnership Agreement)」の略称、FTAとは、「自由貿易協定(Free Trade Agreement)」の略称であって、いずれも国・地域間の輸出入に係る関税の撤廃・削減等を定めた国際協定です(EPAは左記の内容に加えて「投資ルールの整備」、「ビジネス環境の整備」、「知的財産保護の強化」等を含む包括的な協定です)。

[Q1-2]EPAによって得られる具体的なメリットはどのようなものがありますか?

輸出企業にとっては、関税削減を通じた輸出競争力の維持又は強化の面でメリットがあり、他方で、外国に投資財産を有する企業やサービスを提供する企業にとっては、海外で事業を展開しやすい環境が整備されるという点でメリットがあります。

[Q1-3]現在、日本との間でEPAが利用可能な国はどこですか?

日本との間でEPAが発効している国との貿易において利用が可能です。 平成286月現在、日本とのEPAが発効している国及び地域は、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、アセアン(※)、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴルとなっています。

※アセアン全体とのEPAAJCEP)については、平成286月現在、インドネシアを除き発効しています。
(日本からの輸出でEPAが利用出来る国):
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/e-step1.html

[Q1-4]産品の輸出入時にEPAに基づく特恵関税率の適用を受けるにはどうすればよいでしょうか?

産品の輸出入時にEPAを利用して撤廃・削減された関税率の適用を受けるには、各EPAに定められた手続が必要です。
EPA
毎に異なる場合もございますが、基本的な手続は、以下のとおりです。
1)利用条件を確認
① 輸出入を予定している国との間でEPAは発効しているか?(→[Q1-3]参照)
② 輸出入を予定している品目のHSコードは?(→[Q2-7]参照)
③ 産品に適用されるEPA特恵関税率は?(→[Q2-2, 3]参照)
④ 産品が協定で定められた原産地規則を満たしているか?(→[Q3]参照)
⑤ 輸出締約国から輸入締約国への産品の輸送手段は積送基準(原則、直接輸送)を満たしているか?(→[Q3-32]参照。)
→上記①~⑤が全て明らかになっていることを確認後、以下(2)の手続へ

2)必要書類を用意・提出
⑥ 輸出締約国(日本or相手国)の原産地証明書(CO)発給機関において、COの発給を申請(→[Q4-3]参照)
⑦ 輸入通関の際、輸入締約国税関に発給されたCOを含む必要書類を提出(詳細は輸入締約国税関に御確認ください)
→輸入締約国税関がEPA特恵関税率の適用可否を決定します。
※各ステップにおける詳細情報は、その他の関連Q&Aを御参照ください(原産地規則、COにつきましては別途以下に項目があります)。

[Q1-5]EPA特恵関税率や原産地規則について、日アセアンEPAAJCEP)とアセアン各国との二国間EPAはどのような関係にあるのでしょうか?

日アセアンEPAAJCEP)とアセアン各国との二国間EPAはそれぞれ独立した協定であり、いずれの協定も利用可能です。どの協定を利用されるかは、適用される特恵関税率や原産地規則等を比較の上、ご判断ください。
 なお、複数の国との間で結ばれた協定である日アセアンEPAでは、複数の締約国で加工した際には域内原産割合(→[Q3-13]参照)を計算するにあたって、アセアン各国で原産品となったものを付加価値に合算することができます(→[Q3-8]参照)。

2. 関税について

[Q2-1]EPA/FTA特恵関税率とはどのようなものですか?

通常、産品の輸出入を行う際、輸入側の国が定める関税を支払う必要があります。WTO協定では、WTO加盟国・地域に対して一定率以上の関税を課さないことを約束するWTO協定税率が定められており、その税率が国定税率より低い場合、WTO全加盟国・地域からの産品に対して等しく適用されます(国定税率とWTO協定税率のいずれか低い税率は、実行最恵国関税率(=MFNMost Favored Nation)税率と呼ばれます)。
  EPA/FTA
では、MFN税率よりも低い関税率(EPA/FTA特恵関税率)が規定されており、原産地規則等の条件を満たすことにより、EPA/FTAを締結していない他の国よりも低い税率で輸入することが可能になります。

[Q2-2]日本に輸入しようと考えている特定の産品のEPA特恵関税率を知りたいのですが?

日本との間におけるEPA発効状況及び取扱産品のHSコードを御確認いただいた上で、税関ホームページにて適用されるEPA特恵関税率をお調べください。
 ① HSコードや関税率の照会を行いたい場合
(輸出入通関手続や税番・税率等に関するお問合せ(税関)):
http://www.customs.go.jp/question2.htm
② 現時点でのHSコードに対応するMFN税率(→[Q2-4]参照)やEPA特恵関税率を調べたい場合
(実行関税表(税関)):
http://www.customs.go.jp/tariff/index.htm
更に詳しく知りたい場合は、以下もご覧ください。
③ 各EPAにおける毎年のEPA特恵関税率(税関):
撤廃・削減途中の品目については、EPA特恵関税率は年々変わる場合があります。
http://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/gaiyou/chui.htm
④ 日本の発効済経済連携協定(EPA)本文(外務省):http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/index.html

[Q2-3]日本から輸出しようと考えている特定の産品のEPA特恵関税率を知りたいのですが?

日本との間におけるEPA発効状況及び取扱産品のHSコードを御確認いただいた上で、各EPAの譲許表よりEPA特恵関税率をお調べいただくか、現地輸入者等を通じて相手国側税関又は日本貿易振興機構(JETRO)の窓口までお問合せください。
なお、JETROホームページ上の「世界各国の関税率」にて、世界各国のMFN税率(→[Q2-4]参照)やEPA特恵関税率等を調べることができます。日本在住者であれば、JETROホームページからのユーザー登録を経た上で、無料で利用できます。ただし、本サイトは、各国当局の発表をとりまとめた参考情報から作成・公表されているものですので、実際に適用される関税率については、輸入国税関へ御確認ください。
日本貿易振興機構(JETRO) お客様サポート部 貿易投資相談課
TEL: 03-3582-5651
(世界各国の関率(JETRO)):http://www.jetro.go.jp/theme/trade/tariff/  

[Q2-4]EPAを締結していない国については、どういった関税率が適用されるのでしょうか?また、それを調べるためにはどうすればよいでしょうか?

日本に産品を輸入する場合、EPAを締結していないWTO加盟国に対しては当該産品に対する実行最恵国関税率(=MFNMost Favored Nation)税率※)が適用されます。
なお、開発途上国又は地域から特定の産品を輸入する場合は、EPAを締結していなくてもMFN税率と比較して低い関税率を適用する制度があります(→[Q2-14]参照)。
日本から産品を輸出する場合、輸出先がEPAを締結していない国の場合は、基本的にその国におけるMFN税率が適用されます。
WTO(世界貿易機関)で決められた原則に基づき、WTO加盟国に対して共通に適用される税率です。日本へ産品を輸入する場合は、基本税率、暫定税率、WTO協定税率のいずれか低い税率がMFN税率となります。

[Q2-5]日本以外の第三国間のEPA/FTAにおけるEPA/FTA特恵関税率を知りたいのですが?

EPA/FTAの譲許表よりEPA/FTA特恵関税率をお調べいただくか、JETROホームページ上の「世界各国の関税率」(→[Q2-3]参照)にて第三国間の貿易に適用される関税率(MFN税率、EPA特恵関税率等)を調べることが可能です。なお、上記サイトは、各国当局の発表をとりまとめた参考情報から作成・公表されているものですので、実際に適用される税率については、輸入国税関へ御確認ください。

[Q2-6]HSコードとはどのようなものですか?

国際条約(※)に基づいて品目毎に定められているコードです。
「類(=上2桁)」、「項(=上4桁)」及び「号(=上6桁)」にそれ以下の「統計細分」を加えた番号から成っています。「号(=上6桁)」までは、世界共通ですが、それ以下の「統計細分」は、その桁数も含め国毎に定められます。
例えば、日本では、「統計細分」が3桁であるため、全9桁の番号で分類・標記され、品目毎のMFN税率やEPA特恵関税率は、9桁細分レベルで定められています。
例):「排気量3,000cc超ガソリン乗用車」(=HSコード6桁「8703.24」)
20166月現在の区分
日本 =「8703.24.000
→統計細分は9桁で、「8703.24」以降は1ラインのみ。
ペルー=「8703.24.1000」、「8703.24.9010」、「8703.24.9020」、「8703.24.9090
→統計細分は10桁で「8703.24」以降は4ラインに区分(2/4輪駆動等で区分)。
※商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約(HS条約)

[Q2-7]輸出入に際し、EPAの利用を考えているのですが、取扱品目のHSコードはどこで確認すれば良いですか?

輸入と輸出で異なります。
<日本に輸入する場合>
日本税関にお問合せください。日本税関には、HSコードや関税率に関する「事前教示制度」がございます。
(輸出入通関手続やHSコード、関税率等に関すお問合せ(税関)):
http://www.customs.go.jp/question2.htm

<日本から輸出する場合>
輸出先の国の税関にお問合せください。その際、何かお困りの場合は、JETRO担当窓口までお問合せください。
お客様サポート部 貿易投資相談課 TEL: 03-3582-5651

[Q2-8]HSコードが変わることはあるのでしょうか?

品目により、経年で変わることがあります。5年毎の「上6桁」の変更と、毎年一部品目での「統計細分」の変更があります。「上6桁」の変更については、世界の貿易実態の変化に合わせて、HS条約(→[Q2-6]参照)の附属書が改正されるためです(改正は1992年以降5年毎に実施(2017年に改正予定))。このHS条約の改正に基づいて、「上6桁」以下の国毎の「統計細分」コードについても、各国毎の判断に基づいて改正が行われます。
なお、HS条約の附属書改正に基づかない「統計細分」コードの改正も必要に応じて行われており、日本では、毎年一部品目で改正がなされています。

[Q2-9]取扱産品のHSコードが事前に把握していたものとは異なることが通関の際に判明し、従来想定していた関税率が適用されなかったのですが、このような事態を防ぐにはどうすればよいでしょうか?

実際に輸出入される産品がどのHSコードに分類されるかの最終判断は、輸入国税関によってなされます。そのため、事前に想定していたHSコードが、輸入国税関の解釈と異なることが原因でこのような自体が生じ得ると考えられます。つきましては、このような事態を回避するため、事前教示制度を利用する等の方法により、取扱産品のHSコードを輸入国税関にて事前に御確認ください。
なお、日本への輸入の際は、事前に日本税関に御確認ください(→[Q2-7]参照)。

[Q2-10]EPAの譲許表とは、どのようなものですか?

EPAの物品貿易分野における品目毎の関税優遇措置の内容を示した表のことであり、日本が締結したEPAの場合、協定附属書1がこれに該当します。
なお、協定では、締約国それぞれの譲許表が作成されます。日本が締結したEPAの譲許表中には、主に以下の内容が記載されています。
HSコード:日本側は上6桁まで、相手国側は基本的に国内細分まで記載
② 品名(ディスクリプション)
③ 区分:協定で定められた関税撤廃・削減等の区分(方式)を、記号によって記載
(例)日フィリピンEPA
A」=協定発効日に関税撤廃(EPA特恵関税率は0%
B5」=発効日から行われる基準税率から無税までの6回の毎年均等削減により6年目の引き下げ日に撤廃
X」=協定における約束の対象外(=通常の関税率(MFN税率)が適用される)
④ 基準税率(ベースレート):一定期間(510年間など)かけて関税を撤廃・削減する品目について、引き下げの基準となる税率(即時撤廃、除外の譲許品目については、記載¥なし)
(譲許表のみ方):http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/pdf/process/export_step3.pdf

[Q2-11]各EPAの譲許表は、どこで調べられますか?

外務省ホームページにおいて、日本が締結したEPA(署名済みのもの含む)の協定文及び附属書を公表しております。以下のサイトを御参照ください。
(経済連協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)(外務省)):http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/index.html

(発効済EPAにおけるEPA率に関する附属書(Annex)): http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/e-step3.html#e-step3 

[Q2-12]EPA特恵関税率は、どのように引き下がっていくのですか?

日本が締結したEPAにおける特恵関税率の撤廃・削減の基本的な方式には、大きく分けて2種類あります。
EPA発効と同時に撤廃(EPA特恵関税率は0%
EPA発効後、一定期間をかけて関税を撤廃または削減(毎年均等に引き下げられるのが一般的)

[Q2-13]EPA特恵関税率の引き下げは、どの時点(何月何日)に行われますか?

1回目の引き下げは、基本的には協定発効日となります。それ以降の引き下げについては、協定毎に基準日が定められています。 日本は年度区切りの41日を引き下げ日としており、他国は41日または11日を引き下げ日としています。
【日本が締結したEPAにおける2回目以降の引き下げ日】
4
1日:日本、メキシコ、タイ、ブルネイ、フィリピン、ラオス、ミャンマー、ベトナム、インド、ペルー、
オーストラリア、モンゴル
1
1日:チリ、インドネシア、マレーシア、カンボジア、スイス
※シンガポール側は発効時に全品目の関税を撤廃したため、毎年の関税引き下げ日は存在しない。

[Q2-14]EPA以外にも関税が減免される制度が存在すると聞きましたが、どのような制度ですか?

EPA特恵関税率以外にも開発途上国又は地域から日本へ特定の産品を輸入する場合、一般特恵制度(Generalized System of Preferences)(※)により、MFN税率より低い関税率(GSP税率)での輸入が可能です。ただし、日本とのEPAが発効済の国の場合、GSP税率が適用されないケースがございますので、事前に日本税関のホームページにて御確認ください(→[Q2-15]参照)。
※一般特恵制度(GSP):先進国が、国連貿易開発会議(UNCTAD)での合意に基づき、開発途上国又は地域(後発開発途上国(LDC)は別途制度が存在)から輸入される特定の物品について、自主的にWTO譲許税率より低い関税率を適用する制度。
(特恵関制度(外務省)):http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/t_kanzei/index.html 

[Q2-15]EPAが発効すると一般特恵制度(GSP)は利用できなくなるのですか?

EPAにより関税の撤廃・削減が約束された品目では、原則として、EPAの発効日以降に税関に対して輸入申告する物品については、一般特恵税率(GSP税率)の適用対象外となります。ただし、一般特恵の対象品目であって、GSP税率がEPA税率を下回る品目及びEPAにおいて関税の撤廃・削減が約束されていない品目については、引き続きGSP税率の対象となります。
なお、後発開発途上国(ラオス、ミャンマー、カンボジア)については、EPA発効後も引き続き全ての一般特恵対象品目について特恵税率の適用が可能です。
EPA締約国におけるGSP対象品目につきましては、日本税関のホームページにて御確認ください。
GSP税率の適用が可な品目(税関)):http://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/seido_tetsuduki/tokkei.htm

[Q2-16]「税率逆転」とはどのようなものですか?

MFN税率がEPA特恵関税率と同等もしくは低い状態(MFN税率≦EPA特恵関税率)を指します。
EPA
特恵関税率は通常適用される税率(=MFN税率)より優遇されるという性質から、 基本的には「EPA特恵関税率<MFN税率」となります。
他方、日本を含めた世界各国では、国内事情等を勘案してMFN税率を変更することがあります。EPA締結後に、MFN税率の引き下げが行われた場合、結果として、「MFN税率≦EPA特恵関税率」が生じる可能性がありますので、輸出入に際しては輸入国側におけるEPA特恵関税率及びMFN税率を事前に御確認ください。

[Q2-17]MFN税率とEPA特恵関税率を比較したいのですが?

以下を御参照ください。
<日本に輸入する場合>
日本税関のホームページの「実行関税率表」にて御確認ください(→[Q2-2]参照)。
<日本からの輸出または第三国間同士の輸出入の場合>
EPA譲許表よりEPA特恵関税率をお調べいただくか、JETROホームページの「世界各国の関税率」を御活用ください(→[Q2-3]参照)。なお、上記サイトは、各国当局の発表をとりまとめた参考情報から作成・公表されているものですので、実際に適用される税率については、輸入国税関へ御確認ください。

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3. 原産地規則について

[Q3-1]あるEPAで日本原産と判定された製品は、他のEPAでも原産品となりますか?

あるEPAにおいて原産品となったものが、自動的に他のEPAにおける原産品となるわけではなく、それぞれのEPAで規定されている原産地規則を満たす必要があります。例えば、日アセアンEPAAJCEP)で原産品となったとしても、日ベトナムEPAを利用するためには、日ベトナムEPAの原産地規則を満たせるか否か確認する必要があります。

[Q3-2]国内で採掘された鉱物資源を輸出する際にEPAを利用できますか?(完全生産品について)

締約国内で原材料レベルから全て生産/生まれ、成育された/採取された産品(完全生産品)については、EPAを利用できます。典型例として鉱物資源の他に農水産品(動植物・魚介類等)が挙げられます。

[Q3-3]製品を日本国内で組み立て、輸出します。当該製品の部品は全て輸入した原材料を用いて日本国内で製造されたものです。このような場合にEPAを利用できますか?利用できるとしたら完全生産品となりますか?(「原産材料のみから生産される産品」について)

日本国内で製造した部品の全てが(当該EPAにおける)日本の原産となる場合に、「原産材料のみから生産される産品」としてEPAを利用できます(「完全生産品」にはなりません)。最終製品に「非原産」の部品が一つでも使用されている場合は、「原産材料のみから生産される産品」には該当せず、原産品と判定されるためには、利用するEPAごとに規定されている当該最終製品の品目別規則(PSR)等を満たす必要があります。

[Q3-4]外国から原材料を輸入して加工するとき、満たすべき要件はありますか?

非原産材料を用いて最終産品を生産する際には、利用を予定しているEPAごとに規定されている産品(HSコード別)の品目別規則(PSR)を満たす必要があります。PSRは関税番号変更基準(CTC)、付加価値基準(VA)、加工工程基準(SP)のいずれかもしくはこれらの組合せによって構成されています。PSRは、各協定、各HSコードによって異なりますので、利用されるEPAPSR等を御確認ください。

[Q3-5]輸出したい産品と、その原材料(非原産材料)が同じHSコードなのですが、EPAを利用できますか?

輸出したい産品に適用されるPSRが関税番号変更基準(CTC)の場合には、HSコードに変更がないと原産性は認められませんが、当該原材料(非原産材料)がデミニマス規定(→[Q3-22]参照)を利用できる場合にはCTCを検討できます。また、付加価値基準(VA)はHSコードに影響されませんので、域内原産割合を満たせば原産性が認められます。

[Q3-6]品目別規則(PSR)にHSコードが存在しない場合は、どの規則が適用されますか?

日アセアンEPAAJCEP)や日スイスEPA、日ベトナムEPA、日インドEPAでは、協定本文や附属書中に非原産材料を使用して得られる産品が原産品として認められるための条件(一般規則)が規定されています。品目別規則(PSR)にHSコードが存在しない場合は、この一般規則を満たす必要があります。
<参考>
AJCEP
RVC 40%又はCTH(協定第26条)
日スイスEPARVC 40%又はCTH(協定附属書24条)
日ベトナムEPALVC 40%又はCTH(協定第26条)
日インドEPA:QVC 35%及びCTSH(協定第29条)
※ただし日スイス
EPAでは工場渡し価額(ex-works price)を採用(→[Q3-13, 18]参照)

[Q3-7]ベトナムで製造された部品を、日ベトナムEPAにおける原産地証明書を取得して日本に輸出します。当該部品を用いて最終製品を日本で組み立てる際に、ベトナムから調達した部品を原産材料とすることができますか?(累積について)

ベトナムの原産品Xが、日本で生産される産品Yの材料として使用される場合、産品Yの原産資格の判定に際して、産品Xも日本の原産材料と見なすことができます。 なお、日アセアンEPAAJCEP)においては、協定が発効した国のみにおいて原産品となりますので、日アセアンEPA未発効国であるインドネシア(平成286月現在)において品目別規則(PSR)を満たしたとしても、原産品として認められません。

[Q3-8]タイ、ベトナムの順で加工し、日アセアンEPAAJCEP)を利用して日本に輸出する予定です。タイで部品を製造しましたが、付加価値基準(VA)40%を満たすことができませんでした。しかし、タイとベトナムにおける加工はそれぞれ最終産品の30%、20%の付加価値(計50%)に値する加工を行い、品目別規則(PSR)で規定される付加価値基準(VA40%を越えます。この場合は日アセアンEPAにおけるベトナム原産品となりますか?(日アセアンEPAにおける累積の取扱いについて)

タイ、ベトナムそれぞれにおいて、製造される産品の品目別規則(PSR)を満たす必要があります。タイで部品を製造し、さらにベトナムで加工して最終産品を輸出するときに、タイで加工された部品がタイの原産品とならない場合は、タイ、ベトナムで加工した最終産品の付加価値分を合算(20%+30%)して最終産品のVAを満たすということはできません。タイで加工された当該非原産の部品は、ベトナムで加工される際に100%非原産と扱います(→[Q3-25]参照)。
他方、仮にタイで加工を行ったときに部品がタイの原産品となる場合、ベトナムで加工するにあたり、当該部品の価額を100%原産と扱うことができます(→[Q3-24]参照)。
なお、上記のような場合に、付加価値が合算できるか否か(上記の例でいえば、タイでの加工によって生まれた付加価値をベトナムにおける付加価値として合算できるか否か)を、どのような書類によって原産地証明書の発給当局が判断するかについては、各締約国の発給当局等にお問合せください。日本の指定発給機関である日本商工会議所においては、日アセアンEPAAJCEP)に基づいて、他の締約国において発給された原産地証明書を立証資料とすることができます。また、アセアン各国との二国間EPAと日アセアンEPAは別個の協定であるため、例えば、日マレーシアEPAや日フィリピンEPAにおける原産品を、日アセアンEPAにおけるマレーシア原産品、フィリピン原産品とすることはできません。

[Q3-9]走行不能な自動車から回収した部品を、EPAを利用して輸出できますか?

完全生産品の条文の一つとして、「当該締約国における製造若しくは加工作業又は消費から生ずるくず及び廃品であって、処分又は原材料の回収のみに適するもの」(又はそれに類する事項)が規定されている場合は利用することが可能です。
例えば、締約国内で回収された、修理できないほどに故障した自動車で、既に走行するなどの自動車本来の目的は果たさないが、エンジン等の部品や鉄スクラップ等を回収する目的で収集されたものは当該規定に当てはまり、EPA利用の対象となると考えられます。
各協定によって異なりますので、利用される協定の条文を御確認ください。

[Q3-10]中国(非締約国)から部品を輸入し、日本で製品に加工しています。EPAを利用して当該製品をアセアン諸国に輸出したいのですが、必要な手続はどのようなものですか?

EPAを利用して産品を輸出する場合、
① 輸出相手国が、EPAを利用可能な国であることを確認し、
② 輸出する産品のHSコードを特定し、
③ 当該協定のEPA特恵関税率がMFN税率より低くなっていること、
④ 当該協定の原産地規則を満たしていることを確認し、
⑤ 特定原産地証明書を申請、入手する必要があります(原産地証明書は、EPA税率適用のため輸入国税関に提出される必要があるので、輸入者に送付します)。
原産地規則を確認するにあたって、個別の産品については、品目別規則(PSR)を満たす必要があります。その他にも、積送基準等の必要なルールを満たす必要があります。

[Q3-11]中古品を輸出したいのですが、EPA特恵の対象となりますか?

中古品であっても、原産性の証明ができれば原産地証明書発給の対象となります。
他方、中古品の場合には、製造後、消費を経て輸出に至る流通過程において、補修・改造等が施されている可能性があるため、製造当時の原産性が変わってしまう場合も考えられます。そのため、原産品判定の依頼の際、製造当初の原産性を遡って立証し、かつその原産性が保持されているか否か等について確認するため、メーカー等から過去の履歴等に係るデータ・書類等を入手して提出していただくことが必要になる場合があることにご留意ください。

[Q3-12]国内で回収した材料で産品を生産する場合、原産品としてよいでしょうか?

日本において製造や消費等から生じたくず、廃品(ただし、くず、廃品が処分や原材料の回収のみに適するもの)、またはそれらの産品のみから生産される産品であれば、EPAを利用できます。輸入したくずや廃品を原材料として使用される場合は、品目別規則(PSR)を満たす必要があります。

[Q3-13]付加価値基準(VA)を満たすために必要な域内原産割合(RVC)はどのように算定しますか?また、付加価値基準(VA)を満たすために留意すべき事項等はありますか?

産品の域内原産割合(RVC)は、主に次の式を用いて算定します。
RVC
=(FOBVNM)/FOB ×100
FOB
とは、産品の「本船渡しの価額」をいいます。
また、VNMとは、産品の生産に使用される「すべての非原産材料の価額」をいいます。
留意すべき事項としては、付加価値計算にあたっては、単にFOBのうち利潤部分を算定することのみによっては付加価値基準(VA)を満たしたことにはならず、当該産品が実際にその国で生産工程を経る必要があります。

[Q3-14]産品のFOB(本船渡しの価額)は存在するが、不明な場合はどの価額を使用しますか?

確認可能な最初の支払い価額を使用します。

[Q3-15]VNM(非原産材料の合計価額)とは何の価額を使用するのでしょうか?

輸入材料の場合は、その輸入価額(CIF)を使用します(国内で材料を調達する場合等)。原産性が不明な場合については、これを非原産材料として扱い、その価額をVNM(非原産材料の合計価額)に加算します。

[Q3-16]生産者と輸出者が異なる際に、付加価値(VA)の域内原産割合の算出に輸出者の負担する費用又は利益を含めて計算してもいいのでしょうか?

産品のFOB(本船渡しの価額)に含めて問題ありません。

[Q3-17]品目別規則(PSR)に基づき原産性を判定する際に、原産材料である証明ができない材料の取扱いはどうすればよいのでしょうか?

非原産材料として考慮します。

[Q3-18]関税番号変更基準(CTC: Change in Tariff Classification)とはどのようなものですか?

関税番号変更基準(CTC: Change in Tariff Classification)とは、最終産品とその生産に使用される非原産材料の関税番号を比較し、
2
桁(CC: Change in Chapter(類変更))、
4
桁(CTH: Change in Tariff Heading(項変更))又は
6
桁(CTSH: Change in Tariff Sub-Heading(号変更))
レベルで必要とされている変更がなされているかどうかにより原産品か否かを判断する基準であり、何桁での変更が必要かは産品(HSコード)ごとに定められます。例えば、日アセアンEPAAJCEP)においては、革かばん(42.03)を輸出したい場合、品目別規則(PSR)に基づき2桁の変更(CC)が必要ですが、なめし皮(41.11)を輸入し、国内で加工して革かばん(42.03)を製造すれば第41類から第42類に変更したことになり、CCを満たしますので、革かばん(42.03)はAJCEPに基づく原産品として認められます。

[Q3-19]EPAを使って輸出する際に、輸出する産品の原材料の原産地を調べる必要がありますか?

輸出しようとする産品の原材料として非原産材料を使用する場合には、産品が品目別規則(PSR)を満たすか否かを確認する必要があります。
また、締約国内で非原産材料から生産した部分品を用いて最終産品を生産する場合には、同部分品についてのPSRを確認する必要があります。
使用する原材料の全てが、利用する予定のEPA上の原産品と判明しているならば、「原産材料のみから生産される産品」となることから、輸出しようとする産品は原産品となりますので、PSRは確認する必要はありません。したがって、まずは原材料の原産性について確認する必要があります。
なお、原材料が原産材料である場合には、そのことを示す必要があります。詳細は、以下
URLの「原産性を判断するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例示」をご覧ください。
(原産性を判断するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例示 ):http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/download/gensanchi/roo_guideline.pdf

[Q3-20]関税番号変更基準(CTC)について、どのレベルまでHSコードを調べる必要がありますか?

生産において使用する非原産材料のHSコードと、生産される産品のHSコードを比較して、求められる変更のレベル(産品(HSコード)ごとに定められます(→[Q3-18]参照))を満たすかどうかを確認をする必要があります。
なお、関税番号変更基準(CTC)は、非原産材料にのみに適用されますので、使用する材料が非原産材料か否かについては、原材料の調達先に確認していただく必要があります。
ただし、材料の原産性にかかわらず、産品との比較で明らかにHSコードがCTC上求められるレベルで変更する場合には、HSコードが特定されていれば、あえてその原産性をさかのぼって確認する必要はありません。

[Q3-21]関税番号変更基準(CTC)を適用するにあたって、全ての原材料を確認する必要がありますか?例えば、産品に5%しか含まれていない原材料までHSコードを確認する必要がありますか?

関税番号変更基準(CTC)を適用するにあたり、輸出しようとする産品と全ての非原産材料(海外から調達した部品等)のHSコードを比較し、原則、全ての非原産材料についてCTCを満たしているか確認する必要があります。しかし、特定の産品については、CTCを満たさない非原産材料の価額(又は重量)の合計が産品の総額(又は総重量)の一定割合以下の場合には、当該非原産材料を考慮しなくてよい規定(僅少の非原産材料(デミニマス規定))があります。ただし、産品の原産判定にあたり、いかなる非原産材料でも一定割合を適用除外してよいわけではありませんのでご注意ください。

[Q3-22]僅少の非原産材料(デミニマス規定)とはどのようなものですか?

僅少の非原産材料(デミニマス規定)とは、関税番号変更基準(CTC)の適用に当たり、CTCを満たさない非原産材料の総額又は総重量(繊維製品)が特定の割合以下の場合、当該非原産材料については、当該産品が原産品であるか否かを決定する際に考慮しないこととできる規定です。対象となるHSコードと適用範囲の割合は、協定によって異なりますのでご確認ください。(→[Q3-24]参照)

[Q3-23]デミニマス規定の対象と基準はどのようなものですか?

日本が締結している各協定のデミニマス規定の対象と基準は以下の通りです。

EPA 対象となるHSコード 産品の総額(繊維製品は総重量)のうちの非原産材料の適用範囲
ASEAN
(AJCEP)
16類、19類、20類、22類、23類、28類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
1803.10号、1803.20号、1805.00号の各号に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
2103.90号に分類される産品 産品のFOB価額の7%以下
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の10%以下
マレーシア
インドネシア
28類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
ブルネイ
フィリピン
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の7%以下
タイ 19類から24類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の7%以下
28類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の10%以下
ベトナム 16類、19類、20類、22類、23類、28類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
0901.21号、0901.22号、1803.10号、1803.20号、1805.00号の各号に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
2103.90号に分類される産品 産品のFOB価額の7%以下
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の10%以下
メキシコ 1類、4類から15類までの各類、17類から27類までの各類に分類される産品。ただし、産品の生産に使用する非原産材料のHSコードが産品のHSコード6桁と異なる場合に限る 産品のFOB価額の10%以下
28類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の7%以下
チリ 19類、2001.10号から2008.91号までの各号、2008.99号から2009.90までの各号、21類に分類される産品 産品のFOB価額の7%以下
2008.92号、28類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の7%以下
スイス 1類から24類までの各類に分類される産品 産品の工場渡し価額の7%以下
25類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品の工場渡し価額の10%以下
32.04項、34.02項の各項に分類される産品 産品の工場渡し価額の20%以下
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の7%以下
インド 第15類から第24類までの各類に分類される産品(1604.20号、1605.20号、1605.90号、2101.11号、2101.20号、2106.10号、2106.90号、2207.10号、2207.20号の各号に分類される産品を除く)、2501.00号、2906.11号、2918.14号、2918.15号、2940.00号、3505.10号、3505.20号、3809.10号、3824.60号の各号に分類される産品 産品のFOB価額の7%以下
第28類から第49類までの各類に分類される産品(2905.44号、2906.11号、2918.14号、2918.15号、2940.00号、3502.11号、3502.19号、3505.10号、3505.20号、3809.10号、3824.60号、4601.29号、4601.94号、4602.19号の各号に分類される産品を除く)、第64類から第97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
第50類から第63類までの各類に分類される産品(5001.00号、5003.00号の各号、51.02項、51.03項、52.01項から52.03項まで、53.01項、53.02項の各項に分類される産品を除く) 産品の総重量の7%以下
ペルー 1類、4類から15類まで、17類から24類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下であり、CTSH(6桁変更)を満たすもの  
25類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の10%以下
オーストラリア
モンゴル
1類~24類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下であり、CTSH6桁変更)を満たすもの
25類から49類まで、64類から97類までの各類に分類される産品 産品のFOB価額の10%以下
50類から63類まで(繊維製品)の各類に分類される産品 産品の総重量の10%以下

[Q3-24]域内原産割合(RVC)の計算において、輸出しようとする産品の原産材料に含まれている非原産材料の価額も、非原産材料の価額(VNM)に加える必要がありますか?(「ロールアップ」について)

域内原産割合(RVC)の計算における非原産材料の価額(VNM)の扱いについては、「ロールアップ」のルールがあります。
この「ロールアップ」ルールにより、輸出しようとする産品の生産に使用される原材料の中に非原産材料が使われていたとしても、当該原材料が「原産品」と判断される場合には当該原材料の価額を100%原産と扱うことができるため、当該原産材料の中の非原産材料の価額を、域内原産割合(RVC)計算式の中のVNMに加える必要はなくなります。

[Q3-25]域内原産割合(RVC)の計算において、輸出しようとする産品の非原産材料に含まれている原産材料の価額を原産として考えてよいですか?(「ロールダウン」及び「トレーシング」について)

EPAによって異なります。例えば、日アセアンEPAAJCEP)では、輸出産品の生産に使用される原材料が「非原産品」と判断された場合に、たとえ当該非原産材料の中に日本又は締約国原産の材料が含まれていたとしても、当該原産材料の価額は100%非原産として扱います。つまり、原産部分を差し引くことなく、当該非原産材料の価額全体を非原産材料の価額(VNM)に含めます(「ロールダウン」ルール)。
他方、例えば、日マレーシアEPAにおいては、輸出しようとする産品の生産に使用される原材料が非原産材料と判断された場合でも、当該非原産材料に含まれる締約国原産の原材料の価額を原材料全体の価額から差し引くことができます(原材料のうち、当該非原産材料のみをVNMに含めることができます)(「トレーシング」ルール)。「トレーシング」が認められている協定には、日マレーシアEPAの他、日インドネシアEPA、日フィリピンEPA、日ブルネイEPA、日メキシコEPA、日ペルー、日オーストラリアEPA、日モンゴルEPAがあります。逆に、これら以外の日本のEPAは、「ロールダウン」ルールとなります。

[Q3-26]加工工程基準(SP)とはどのようなものですか?

加工工程基準(SP)は、締約国内で特定の生産・加工工程が実施された場合に、当該産品への原産資格を付与する方法で、一部の協定に採用されています。例えば、化学製品について「化学反応」等、半導体製品について「拡散工程」の基準があります。詳細は、各協定の品目別規則(PSR)を御確認ください。

[Q3-27]「累積」とはどのようなものですか?

日本で生産される産品Yの材料として、あるEPA締約国の原産品Xが使用される場合、産品Yの原産資格の判定に際して、産品Xも当該協定における日本の原産材料とみなすルールです。産品Xは日本の原産材料とみなされるので、域内原産割合(RVC)の算定においては、産品Xの価額を非原産材料の価額(VNM)に算入する必要はなく、また関税番号変更基準(CTC)の適用においては、産品Xが必要な関税分類番号の変更を満たすか否かを確認する必要はありません。

[Q3-28]輸送用のこん包材料やこん包容器についてまで、原産性を考慮する必要がありますか?

関税番号変更基準(CTC)又は特定の製造や加工作業が行われたか否かを決定するに当たり、原産性を考慮しません。
他方、域内原産割合(RVC)を算定する際には、原産材料とみなす協定もあります。
規定は、協定によって異なりますので御確認ください。

[Q3-29]小売用の包装材料や包装容器についてまで、原産性を考慮する必要がありますか?

関税番号変更基準(CTC)は特定の製造や加工作業が行われたか否かを決定するに当たり、原産性を考慮しません。
他方、域内原産割合(RVC)を算定する際には、必要に応じて原産材料の価額として考慮できます。
規定は、協定によって異なりますので御確認ください。

[Q3-30]産品の付属品や予備部品についてまで、原産性を考慮する必要がありますか?

産品の付属品、予備部品、工具、解説資料について、関税番号変更基準(CTC)を適用させる場合や、特定の製造や加工をする場合は、原産性を考慮する必要はありません。
他方、域内原産割合(RVC)を算定する際には、必要に応じて原産材料の価額として考慮できます。

[Q3-31]箱詰めや組み立ててあるものの分解のみの作業であっても、EPA特恵関税率の適用を受けることができますか?

箱詰めや分解の作業が各EPAで定められた「原産資格を与えることとならない作業」に該当する場合には、産品の原産性が認められず、EPA特恵関税率の適用を受けることはできません。

[Q3-32]産品を締約国へ輸出する際に直接輸送することが必要とのことですが、第三国を経由してはいけないのですか?(積送基準について)

経由国(AJCEPの場合は締約国を含む)において、産品の積替え、一時蔵置、積卸し、その他産品を良好な状態に保存するために必要な作業以外の作業が行われていない場合に限り、第三国を経由しても産品の原産資格は失われません。ただし、こうした条件を満たしていることを示す書類(通し船荷証券のコピー又は上記の作業が行われていないことを証明するもの)の提出を輸入締約国税関から求められる可能性があることにご留意ください。

[Q3-33]日本からヨーロッパ(オランダ等)に輸出して保税地域に一度保管し、そこからスイスに小出しに輸出しますが、このような場合でもEPAの適用が特恵を受けることができますか?(貨物の分割について)

日スイスEPAでは、第三国における貨物の分割が認められています。ただし、第三国の保税地域における産品の加工は認められていません。
なお、他のEPAにおける取扱いについては各輸入締約国税関に御確認ください。

[Q3-34]産品をアメリカに輸出してアメリカの子会社に販売した後、メキシコに輸出します。その場合、日メキシコEPAの特恵を受けることができますか?(第三国で通関された産品の取扱いについて)

日メキシコEPAに基づくEPA特恵関税率の適用を受けるには、産品が輸出締約国から輸入締約国に直送されることが必要です。また、産品が第三国を経由する場合には、継続して当該第三国の税関当局の監督下にあることが必要です。なお、詳細は輸入締約国(メキシコ)税関に御確認いただく必要があります。
なお、他の日本のEPAにおいても、直送が原則となっています。

[Q3-35]ある商品について取引が日本から中国、さらに中国からベトナムで行われます。商品自体は日ベトナムEPAに基づく日本の原産品であり、日本から直接ベトナムへ輸送されます。インボイス上は中国からの輸送となりますが、日ベトナムEPAの特恵関税率の適用を受けることができますか?(第三国インボイスの取扱いについて)

第三国発行のインボイスでも利用できます。他の日本のEPAにおいても同様です。

[Q3-36]日本から日チリEPAに基づく日本の原産品の資格を有する産品を輸出し、ペルーにおける展示会に出品の後にチリへ販売する場合は、日チリEPAの特恵関税率の適用を受けることができますか?

日チリEPAにおいて、原産品と認められる産品がペルーにおいて税関当局の監督下に置かれており、かつ積送基準を満たす場合において、当該EPAを利用できます。

[Q3-37]原産性の確認にどのような証拠資料等(例えばサプライヤーからの宣誓書)が必要ですか?

原産品判定依頼者は、最終製品の構成部品の原産性に係る資料をサプライヤーから提出してもらい、各EPAで定められた一定期間、これを保持しておく必要があります。ただし、当該サプライヤーからの資料や宣誓書等の内容は一律には決まっておらず、個々の取引・契約等において対応する必要があります。
経済産業省が公表している「原産性を判断するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例示」に一例を紹介しておりますので、以下URLより御参照ください。
(原産性を判断するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例示 ): http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/download/gensanchi/roo_guideline.pdf  

[Q3-38]商品の原産地表示(例えばタグに記載された「made in Japan」との表記)とEPAにおける原産地規則は関係がありますか?

EPAにおける原産地規則と原産地表示は、関係ありません。EPAにおける原産地規則は、特恵関税率の適用を受けるための条件であり、原産地表示とは目的やルールが異なります。したがって、商品に「made in Japan」と記載されているからといって、当該協定において原産資格を得て、EPAにおける原産品として認められることにはなりません。 あくまでも当該協定における原産品として認められるためには、原産地規則等を満たし、かつそれを証明する原産地証明書が必要となります。

[Q3-39]輸入した原材料から原料を抽出し、当該原料と他の原産材料と混合して化学品を生産しています。EPAを利用して当該化学品を輸出する場合、原産材料のみからなる産品となりますか?

抽出された原料が、品目別規則(PSR)を満たしていれば原産材料となりますので、原産材料のみからなる産品とすることができます。ただし、わずかでも非原産材料を使用する場合は、当該化学品のPSRを確認する必要があります。

[Q3-40]繊維製品(糸、織物、アパレル製品)の品目別規則(PSR)はどのようなものですか?

具体的な産品のHSコードを御確認の上、ホームページ等で公開されている各EPAの品目別規則(PSR)を御確認ください。
日本のアジア地域とのEPAでは、以下の「2工程」を満たすことが必要となります。
・糸(yarn):カード・コーム工程(carding/combing process)及び紡績工程(spinning)
・織物(woven fabrics):紡績工程(spinning)又は染色工程(dyeing/printing process)、及び織り工程(weaving process)
・メリヤス編物又はクロセ編物(knitted or crocheted fabrics):紡績工程(spinning)又は染色工程(dyeing/printing process)、及びメリヤス編み又はクロセ編みの工程(knitted or crocheted process)
・アパレル製品(第61類から第63類):メリヤス編み・クロセ編み・織り工程(knitting/crocheting/weaving process及び製品化の工程(making up process
日メキシコEPA、日チリEPA、日スイスEPA、日ペルーEPAでは、上記と異なりますので、各協定を御参照ください。

[Q3-41]アパレル製品の主素材や副資材などの原材料をどの国から持ち込んだ場合、EPAの特恵関税率の適用を受けることができますか?

例えば、締約国内の企業が委託加工を行っている場合、原産品かどうかを判定する際、以下の場合に分けて考えることができます。
1)締約国から原材料を調達する場合
当該原材料が、全て締約国の原産材料であれば、累積規定を適用することにより、当該製品を製造する締約国の原産材料とみなされるので、品目別規則(PSR)を満たすか否かを確認する必要はなく、生産される当該製品は原産品となります。ただし、締約国から調達する原材料であっても、これが非原産材料である場合には、産品が品目別規則(PSR)を満たすか否かを確認する必要があります。
他方、ボタンやワイヤーといった繊維とは直接関係がない材料については、当該製品がPSRを満たすか否かを確認する上で考慮する必要はありません。
なお、いわゆる「主素材」及び「副資材」については、ビジネス上用いられる便宜的な用語であり、どのような材料がこれらに該当するのかについては、協定上は何ら定義されていません。したがいまして、用いられる材料が、各企業におけるビジネス上の「副資材」に当たることをもって、自動的にPSRの適用対象から除外されることにはならず、個別案件毎に検討する必要がある点にご留意ください。
2)第三国から原材料を調達する場合
当該原材料は非原産材料であるため、これらを用いて作られるアパレル製品は、品目別規則(PSR)を満たすか否か確認する必要があります。
他方、ボタンやワイヤーといった繊維とは直接関係がない材料は、当該製品が品目別規則(PSR)を満たすか否かを確認する上で考慮する必要はありません。
3)締約国から織物を調達し、第三国から副資材であるボタン、ファスナー、ワイヤー等の材料を調達する場合
織物が発効済み締約国の原産材料であれば、累積を適用することにより当該製品をつくる締約国の原産材料とみなされます。また、ボタンやワイヤーといった繊維とは直接関係がない材料は、当該製品がPSRを満たすか否かを確認する上で考慮する必要はありません。したがって、繊維に関係する材料を他に第三国から調達していないのであれば、当該ケースではPSRを満たすか否かを確認する必要はなく、当該製品は原産品となります。ただし、締約国から調達する原材料であっても、これが非原産材料である場合には、PSRを満たすか否か確認する必要があります。
4)僅少の非原産材料(デミニマス規定)の対象となる場合とならない場合
デミニマス規定として、第50類から第63類の産品(繊維製品)について、関税番号変更基準(CTC)を満たさない(品目別規則の関税分類の変更を起こさない)非原産材料の重量の合計が、産品の重量の一定量(7%又は10%)を超えない範囲の場合、PSRの適用にあたり、これらの非原産材料は考慮しなくてよい旨が規定されています。したがって、非原産材料の重量割合が規定範囲内であれば、許容されることになります。
なお、アパレル製品についていえば、ボタンやワイヤーといった、繊維とは直接関係がない材料は、そもそもPSRの対象ではありません。したがって、これらの材料が非原産材料であったとしても、デミニマス規定の対象として考慮する必要はありません。一般的には、上記のような整理になると考えられますが、最終的には、個別案件毎に確認する必要があります。

[Q3-42]日本からアパレル製品の主素材や副資材などの原材料を調達し、ベトナムで加工を行い、日本に輸出する場合、日ベトナムEPAの適用を受けることができますか?

日ベトナムEPAの原産地規則を満たせば、特恵関税率の適用を受けることができます。
当該原材料がすべて日ベトナムEPAにおける締約国(日本又はベトナム)の原産材料であれば、累積を適用することにより、当該製品を製造する締約国の原産材料とみなされるので、品目別規則(PSR)を満たすか否かを確認する必要はなく、原産品となります。例えば、ベトナムで日本原産の織物のみから縫製してアパレル製品を生産した場合、日アセアンEPAAJCEP)における原産品となります。ただし、締約国から調達する原材料であっても、これが非原産材料である場合には、産品がPSRを満たすか否かを確認する必要があります。
他方、ボタンやワイヤーといった繊維とは直接関係がない材料は、当該製品がPSRを満たすか否かを確認する上で考慮する必要はありません。
また、当該ケースにおいては、日アセアンEPAにおける原産地規則を満たせば、当該EPAの特恵も受けることができます。実際にEPAを利用される場合は、税率等を踏まえた上で、日ベトナムEPAか日アセアンEPAのいずれかを選択いただくことになります。
なお、いわゆる「主素材」及び「副資材」については、ビジネス上用いられる便宜的な用語であり、どのような材料がこれらに該当するのかについては、協定上は何ら定義されていません。従いまして、用いられる材料が、各企業におけるビジネス上の「副資材」に当たることをもって、自動的にPSRの適用対象から除外されることにはならず、個別案件毎に検討する必要がある点にご留意ください。

[Q3-43]繊維製品について中国から原材料を調達し、ベトナムで加工を行い、日本に輸出する場合、日ベトナムEPAに基づく特恵関税率の適用を受けることができますか?

中国などの、日本がEPAを締結していない第三国から輸入した当該原材料は、非原産材料となるため、当該製品の利用が想定される日アセアンEPAAJCEP)又は日ベトナムEPAの品目別規則(PSR)を満たすか否かを確認する必要があります。本件の場合、いわゆる「2工程」をベトナム国内で行う必要があります。
他方、ボタンやワイヤーといった繊維とは直接関係がない材料は、当該製品が品目別規則(PSR)を満たすか否かを確認する上で考慮する必要はありません。

[Q3-44]タイから織物を調達し、また中国から副資材ボタン、ファスナー、ワイヤー等の材料を調達し、ベトナムで加工を行い、日本にアパレル製品を輸出する場合、EPAに基づく特恵関税率の適用を受けることができますか?

タイ及びベトナムは、日アセアンEPAAJCEP)の締約国であり、またベトナムは、日ベトナムEPAを締結しているため、各EPAの原産地規則を満たせば、それぞれの特恵を受けることができます。
1)日アセアンEPAを利用する場合
当該織物が、日アセアンEPAにおけるタイ原産であれば、累積を適用することにより製品をつくる締約国(ベトナム)の原産材料とみなされます。また、ボタンやワイヤーといった繊維とは直接関係がない材料は、当該製品が品目別規則(PSR)を満たすか否かを確認する上で考慮する必要はありません。したがって、繊維に関係する材料を他に第三国から調達していないのであれば、PSRを満たすか否かを確認する必要はなく、生産される製品は原産品となります。
ただし、締約国から調達する原材料であっても、これが非原産材料である場合には、PSRを満たすか否かを確認する必要があります。この場合、日アセアンEPA締約国であるタイで「2工程」のうち1工程を行い、ベトナムで1工程を行うことにより、ベトナムの原産品となります。
2)日ベトナムEPAを利用する場合
日ベトナムEPA他では、当該EPAを利用するにあたって、締約国以外に他のアセアン諸国(当該ケースではタイ)で「1工程」を行うことが認められています。ただし、当該原材料がタイで「1工程」を経たことの証明が必要となります。繊維とは直接関係がない材料の取扱いについては、日アセアンEPAと同様です。
なお、「1工程」を証明する書類は各国で異なりますので、各国(当該ケースではベトナム)の発給機関に確認する必要があります。

[Q3-45]アパレル製品を締約国から日本へ輸出する際に、わずかに中国から輸入した生地が輸出しようとする産品に含まれているのですが、それについても原産地規則を満たす必要がありますか?

各協定においては、僅少の非原産材料(デミニマス規定)として、第50類から第63類の産品(繊維製品)について、関税番号変更基準(CTC)を満たさない((品目別規則の関税分類の変更を起こさない)非原産材料の重量の合計が産品の重量の一定量(7%又は10%)を超えない範囲の場合、品目別規則(PSR)の適用にあたりこれらの非原産材料は考慮しなくてよい旨が規定されています。したがって、非原産材料の重量割合が規定範囲内であれば、許容されることになります。
なお、アパレル製品についていえば、ボタンやワイヤーといった繊維とは直接関係がない材料は、そもそも当該製品にかかるPSRの対象ではありません。したがって、これらの材料が非原産材料であったとしても、デミニマス規定の対象として考慮する必要はありません。
一般的には、上記のような整理になると考えられますが、最終的には、協定毎、個別案件毎に検討する必要があります。

[Q3-46]アパレル製品を輸出する際に、中国等の第三国から輸入したボタンやシールも品目別規則(PSR)を確認する必要がありますか?

各協定の品目別規則(PSR)に関する附属書の注釈に、『アパレル製品(第61類から第63類までの産品)について、PSRは、当該産品の関税分類を決定する構成部分についてのみに適用される』、または『アパレル製品(同)の原産地を決定するに当たり、産品の生産に使用された材料であって第50類から63類に分類されないものについては、考慮しない』、との規定があります。つまり、ボタンやシール等、繊維とは直接関係がない材料であって、これが当該製品の一部として使用されている場合には、当該産品の関税分類を決定する構成部分に含まれず、原産地規則を考慮する必要はありません。
他方、ボタンやシール等をアパレル製品の一部として使用せず、別途輸出する場合には、EPA上の特恵を受けるためには当該ボタンやシール等それ自体が原産品である必要があり、この場合に適用されるPSRはアパレル製品のものではなく、ボタンやシール等に適用されるものとなります。一般的には、上記のような整理になると考えられますが、最終的には、個別案件毎に確認する必要があります。

[Q3-47]繊維製品をアセアン各国との二国間EPAを利用して輸出しようとする際に、その原材料を他のアセアン諸国において加工してもいいのですか?

マレーシア、タイ、インドネシア、ブルネイ、フィリピン、ベトナムとのEPAにおいては、締約相手国以外のアセアン加盟国(非締約国)においてなされた工程を、1工程としてカウントすることができます。ただし、日アセアンEPAAJCEP)においては、いわゆる「2工程ルール」のうちの1工程が他の発効済締約国で行われることは許容されますが、未発効締約国(平成286月現在、インドネシアのみ)における加工については許容されない(1工程にカウントされない)点について留意が必要となります。
※なお、協定によっては、締約国以外のアセアン加盟国(非締約国)においてなされた工程を1工程とカウントできない品目もございます。ご利用の際は、各協定の品目別規則(PSR)を御確認ください。

[Q3-48]繊維の品目別規則(PSR)における、いわゆる1工程目を満たすことを証明する書類とはどのようなものですか?

日本やその他の締約国で1工程目を行い、2工程目を最終産品を輸出する締約国で行うような場合、最終産品輸出国において原産地証明書を申請する際に、実際に1工程目を満たしているかどうかの証明を求められることがあります。証明に必要な書類は国によって異なりますので、詳しくは各国の発給機関に御確認ください。
なお、日アセアン
EPAAJCEP)において、日本で1工程を満たし、ベトナムで2工程目を満たすことにより原産地証明書を取得する際に必要な、日本における1工程を証明する宣誓書は、以下のリンク先の様式を用いることが可能です。ただし、ベトナム以外の他国との間、また他の協定では利用できませんのでご注意ください。
(日アセアンEPAのベトナムにおける運用に関するお知らせ(累積の明書類、繊維の加工宣誓書類、BBCO発給):http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/pdf/common/090408AJCEPannouncement.pdf

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4. 原産地証明書について

[Q4-1]ある製品を輸出しているのですが、海外の取引先(輸入者)から、EPAの原産地証明書を送付するように要請されています。どうすればよいのでしょうか?

EPAの利用により、通常よりも低い関税率で輸入通関できますが、そのためには、輸入者は輸出者からEPA用の原産地証明書を取得して、通関時に提出することが条件となっています。日本が締結しているEPAの原産地証明書は、経済産業省の指定により日本商工会議所が発給することになっていますので、輸出者は日本商工会議所に対して原産地証明書の取得のための申請手続を行う必要があります。日メキシコEPA、日スイスEPA、日ペルーEPAの場合、日本商工会議所に発給を申請する方法に加え、認定輸出者が自ら証明書を作成する方法があります。また、日オーストラリアEPAの場合、日本商工会議所に発給を申請する方法に加え、輸出者、生産者及び輸入者が自ら証明書を作成する方法があります。

[Q4-2]EPAの原産地証明書は、どうして必要なのですか?

輸出される産品が輸入締約国においてEPAに基づく特恵関税率の適用を受けるためには、輸出しようとする産品がEPAに基づく一定の基準の下で輸出締約国において生産・加工されたことが証明される必要があります(単に商品に「made in Japan」と表示されているだけでは不十分で、EPAで定める基準を満たしているかどうかを実際に確認する必要があります)。それを証明するための書類が、原産地証明書ということになります。

[Q4-3]EPAの原産地証明書を取得するための手順と方法を教えてください。

原産地証明書を取得するためには、いくつかの手順を踏む必要があります。その手順を大きく分けると、①原産地証明書の取得のメリットの有無、取得する資格の確認及び②原産地証明書の発給を申請する手続の2つになります。まず、①にて行うべき事項は、
1)輸出産品の「HSコード(関税分類番号)」の確認(→[Q2-7]参照)
2)輸出産品に適用される「EPA税率」、「MFN税率」の確認(→[Q2-2, 3]参照)
3)輸出産品に適用される「原産地規則(EPAを受ける資格があるか否かの基準)」の確認(→[Q3]参照)
となります。(→[Q1-4]参照)
そして、①の手順に従い、輸出産品がEPAを利用する資格があることが確認できたら、②の日本商工会議所への発給申請手続(その多くがインターネットでの申請)に進み、
1)企業登録
2)原産品判定依頼
3)原産地証明書発給申請
の手続を経て、原産地証明書を取得することができます。
詳細は下記を御参照ください。
日本商工会議所HP(http://www.jcci.or.jp/international/certificates-of-origin/)

[Q4-4]ある産品を製造していますが、国内の取引先(輸出者)から、EPAの原産地証明書を取得するために日本商工会議所で原産品判定を受けて欲しいと要請されています。どうすればよいのでしょうか?

EPAの原産地証明書を取得するためには、輸出しようとする産品がEPAに基づく一定の基準の下で輸出締約国内において生産・加工されたことを証明する必要があります。日本でのEPAの原産地証明書は、日本商工会議所が発給することになっていますので、日本商工会議所に対して、輸出しようとする産品が協定の基準を満たしているかどうかを実際に証明していただく必要があります(これを「原産品判定」といいます)。その際、当該製品の詳細な生産情報(材料・価格・仕入元などの情報)を有していることが必要となるため、通常、その製品の生産者が原産品判定の申請主体として最も適していると思われます。
生産者による日本商工会議所への具体的な申請手続(その多くがインターネットでの申請)ですが、(1)企業登録を行い、(2)原産品判定依頼を経て、日本商工会議所から申請対象産品が原産品であることが認められたら、(3)その結果について輸出者による利用を同意すること(「同意通知」といいまして、インターネット上で作業可能です。)によって、輸出者は原産地証明書の発給申請を実際に行うことができるようになります。  

[Q4-5]EPAの原産地証明書とその他の原産地証明書の違いを教えてください。

原産地証明書には大きく分けて2種類あります。 一つは、各地の商工会議所が発給する原産地証明(以下、「一般の原産地証明書」)であり、もう一つが、日本が締約したEPAに基づき発給される「特定原産地証明書」です。一般の原産地証明書は、各商工会議所等の事業に基づき発給され、L/C買取り銀行への提出や転売目的等、さまざまな用途に使用されます。一方、特定原産地証明書は、EPA締約国での輸入通関の際に、EPA税率で通関を認めてもらうための証明書類であり、日本商工会議所が政府(経済産業省)から指定を受けて発給を行っています。

[Q4-6]締約国の保税地域において加工、生産し、原産地規則を満たした産品について原産地証明書は発給されますか?

保税地域の扱いについては、締約国側の国内運用によるものですが、一般的にEPAでは、保税地域内においても原産地規則を満たしていれば、原産地証明書は発給されると考えられます。日本では、保税地域内における加工、生産についても原産地証明書が発給されます。

[Q4-7]原産地証明書にFOB(産品の本船渡し)価額を記載する必要がありますか?

日本が締結しているEPA(日アセアンEPAを除く)には、原産地証明書に輸出産品のFOB価額を記載する必要はありません。日アセアンEPAAJCEP)では、アセアン各国で発給される原産地証明書には輸出締約国の要求に応じて、輸出産品のFOB価額を記載する必要がありましたが、2014101日に原産地証明書の書式が変更され、付加価値基準(RVC)を使用する場合を除いては、FOB価格を記載する必要がないこととされました。またカンボジアとミャンマーについては、20169月末まで従前の扱いが継続され、引き続きFOB価格の記載が求められることになります。詳細は下記を御参照ください。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ep/page22_001081.html
(日本国内で発給する原産地証明書については、全てのEPAにおいてFOB価額の記載は不要です)。

[Q4-8]原産地証明書は、何年版のHSコードを記載するのですか?

HS条約は、20121月に改訂され、我が国でも201211日より施行しています。従って、現在輸出入申告やインボイス作成等通常の貿易手続では2012年版のHSコードが使用されています。
他方、日本が締結する多くのEPAは、改定前の2002年/2007年版HSコードを基に合意・締結されており、日本から産品を輸出する際、EPAに基づく原産地証明書上求められるHSコードの記載は、2002年/2007年版HSコードに基づき行う必要があります。詳細は、本ホームページの「EPA利用上の注意」における「原産地証明書上のHSコードの取り扱い」を御参照ください。
EPA利用の注意):http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/e-step5.html#e-step5

[Q4-9]船積み後に原産地証明書を発給できますか?(遡及発給について)

特定原産地証明書の発給申請は、原則船積みまでに行うこととなっています。しかしながら、貨物を緊急に輸出しなければならないケース等も想定されますので、例えば日アセアンEPAAJCEP)では、船積み後12ヶ月間、事後発給手続(遡及発給)ができるようになっています。
ただし、一部の国では、関税還付制度等が存在しない国もあるため、輸入通関後に遡及発給された原産地証明書を提出しても、関税の還付等を受けられないことがあります。関税還付等の制度の有無及び必要な手続は輸入締約国において個別に御確認ください。

[Q4-10]船積み後にも原産地証明書は遡及発給することができるとのことですが、EPAの中には、船積みから遡及発給扱いとなるまでの間に一定の期間を設けているEPA(日アセアンEPA・日インドネシアEPA・日ベトナムEPA3日以内、日フィリピンEPA1日以内)がありますが、この期間には祝日・休日も含まれますか?

当該期間には、祝日・休日も含まれます。原産地証明書発給機関が原産地証明書の発給業務を祝日・休日により行っていないことにより、協定で規定された日数以上かかってしまう場合は、原産地証明書の遡及発給をすることができます。なお、日本で発給される原産地証明書は、日フィリピン・日インドEPAを除き、船積日までを原則的な発給、その翌日から遡及発給との扱いをしています。

[Q4-11]back-to-back CO(連続する原産地証明書)とはどのようなものですか?

back-to-back COは、例えば、ある締約国(締約国A)から輸出された原産品が他の締約国(締約国B)を経由してさらに別の締約国(締約国C)で輸入される場合に、経由国である締約国Bにおいて貨物に対して何ら加工がなされず、締約国Aで得た原産資格が何ら変更しない場合に、締約国Bの原産地証明書の発給機関により発給されるものです。締約国Bback-to-back COの発給を受けるためには、締約国Aで当該貨物に対して発給された原産地証明書が必要です。
なお、当該back-to-back CO(連続する原産地証明書)は、日本が締結するEPAのうち日アセアンEPAAJCEP)のみ導入されています。

[Q4-12]back-to-back CO(連続する原産地証明書)のメリットはどのようなものですか?

back-to-back COを発給する経由国(締約国である必要があります)をハブ(産品のプール先)として位置づけ、あらかじめある程度ロットをまとめて同経由国に向けて産品を輸出することで、輸出(出荷)コストの低減に資するだけでなく、他の締約国から注文があった場合に同経由国から直接輸出することで機動的な対応が可能となる等、ビジネスの迅速化、効率化が期待されます。また、これにより、締約国間において原産品の取引が増加すること、あるいは、締約国間において材料(原産材料)の域内調達が増加することも期待されます。

[Q4-13]back-to-back CO(連続する原産地証明書)は、輸入通関していない産品に対してのみ発給できるものなのですか、それとも輸入通関後の産品でも発給できるものなのですか?

経由国(締約国)におけるback-to-back COの発給に際しては、対象となる産品に対して何ら加工がなされず、もとの原産資格を維持していることを何らかの形で担保し、かつこれを確認することになります。貨物が一旦輸入通関されてしまうと、その貨物に対して何ら加工がなされていないことを確認することは困難となると思われますが、他方で、back-to-back COに関して、日アセアンEPAAJCEP)上は、一旦輸入通関された貨物に対してback-to-back COを発給するか否かについては明示的に規定されておらず、原産資格の維持を担保・確認する方法は締約国によって異なります。したがって、日アセアンEPAに基づくback-to-back CO発給の具体的な運用については、各締約国(経由国)の原産地証明書発給機関に個別に御確認いただく必要があります。

[Q4-14]日本ではback-to-back CO(連続する原産地証明書)を発給していますか?

我が国において、日アセアンEPAAJCEP)の原産地証明書は日本商工会議所で発給していますが、 日アセアンEPAにおけるback-to-back COは発給していません。

[Q4-15]自分で原産地証明書を作成する方法があると聞いたのですが?

日メキシコEPA、日スイスEPA、日ペルーEPAにおいては、申請に基づき経済産業大臣から認定を受けた「認定輸出者」であれば、協定で定められた申告文を仕入書等に記載することで、自ら原産地証明書を作成することが可能となります。認定輸出者制度の詳細につきましては、以下リンク先の「認定輸出者制度(第二種特定原産地証明書を作成する者の認定)」をご覧ください。
(「認定輸出者証明制度(第二種特定原産地証明書を作成する者の認定)」):http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/gensanchi/approved.html
また、日豪EPAでは、従来の「第三者証明制度」に加え、輸出者、生産者又は輸入者が自ら証明書を作成できる、「自己申告制度」が新たに導入されました。この証明書は、「特定原産品申告書」と呼ばれます。自己申告制度の詳細につきましては、以下リンク先の「日本税関HP自己申告制度に関するページ 外部リンク」をご覧ください。
(「日本税関HP自己申告制度に関するページ 外部リンク」):
http://www.customs.go.jp/roo/procedure/index.htm

 

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