リスト規制品以外のものを取り扱う場合であっても、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、大量破壊兵器等※1 の開発、製造、使用又は貯蔵もしくは通常兵器※2 の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、又は経済産業大臣から、許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となる制度です。この制度は通称「キャッチオール規制」と呼ばれています。従って、貨物の輸出や技術の提供を行う際は、リスト規制とキャッチオール規制の両方の観点から確認を行う必要があります。
キャッチオール規制は、「大量破壊兵器キャッチオール」と「通常兵器キャッチオール」の2種類からなり、客観要件とインフォーム要件
の2つの要件により規制されております。この2つの要件のどちらかに該当する場合には、許可申請が必要となります。
客観要件は、輸出者が用途の確認又は需要者の確認を行った結果、
①大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵等に用いられるおそれがある場合
又は
②通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある場合
に許可申請が必要となる要件です。
インフォーム要件は、経済産業大臣から
①大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵に用いられるおそれがある
又は
②通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある
として許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けている場合に、許可申請が必要となる要件です。
なお、いずれも輸出令別表第3の地域向けの貨物の輸出や技術の提供については、キャッチオール規制の対象から外れています。
※1 大量破壊兵器等:
・300km以上運搬することができるロケット
※2 通常兵器:
・輸出貿易管理令別表第1の1の項の中欄に掲げる貨物(大量破壊兵器等に該当するものを除く。)
キャッチオール規制の範囲
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対象地域 | 規制要件 | ||
インフォーム要件 | 客観要件 | ||
用途要件 | 需要者要件 | ||
国連武器禁輸国・地域 | ○ | ○ | ― |
輸出令別表第3の地域を除く地域 (国連武器禁輸国・地域を除く) |
○ | ― | ― |
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国
国連武器禁輸国・地域:「輸出令別表第3の2」の地域
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン
当該貨物の輸出や技術の提供について、大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵に用いられるおそれがある又は通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあると当省が判断した場合に、経済産業大臣から、大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれがある又は通常兵器の開発等に用いられるおそれがあるものとして許可申請をすべき旨、文書にて通知されるものです。(インフォーム通知) 通知を受けた事業者は、当該貨物を輸出又は技術を提供する場合には、事前に申請が必要となります。経済産業大臣の許可がない限り、当該貨物の輸出や技術の提供はできません。 当該貨物の輸出や技術の提供については、経済産業省が大量破壊兵器等の開発等のために用いられるおそれがある又は通常兵器の開発等のために用いられるおそれがあるものとして判断しておりますので、許可されないことがあります。当該懸念が払拭されたときに限って許可されます。 |
【許可申請が必要か否かの判定方法】 以下のフロー図及び客観要件確認シートを参照のうえ、キャッチオール規制の許可申請が必要か否かを輸出者がご確認ください。 キャッチオール規制に係る手続きフロー図(例;貨物輸出の場合) ![]() 客観要件確認シート(フロー図に従って客観要件を確認するための参考様式) ![]() ![]() (※1)輸出令別表第1 16の項中欄:
(※2)輸出令別表第3の国:
(※3)大量破壊兵器等:
(※4)開発等:
(※5)おそれ省令 別表に掲げる行為:
(※6)輸出令別表第3の2に掲げる国・地域:
(※7)通常兵器:
(注1)契約書や輸出者が入手した文書等での記載又は輸入者等から連絡を受けた場合等から判断する。
(注A)核兵器の開発等に用いられるおそれの強い貨物例
※ 上記フローは輸出貿易管理令別表第1の16の項に係るものであり、同表1~15の項の許可に係る手続又は輸出貿易管理令別表第2の承認に係る手続は対象外。
関係法令
キャッチオール規制関連用語の解説
○リスト規制輸出しようとする貨物が、輸出貿易管理令(輸出令)・別表第1の1~15項の貨物に該当する場合、又は、提供しようとする技術が、外国為替令(外為令)・別表の1~15項に該当する場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となる制度です。 ○用途確認輸出又は提供を行う貨物又は技術が、大量破壊兵器等の開発等や通常兵器の開発等に使用されるおそれがあるか否かを用途の観点から確認するものです。 具体的には、以下の点を確認することになります。 ①大量破壊兵器等(※1)の開発等(※2)若しくは ②別表に掲げる行為(※3)に用いられるか ③仕向地が別表第3の2に掲げる国・地域(※4)であって、
(※1)大量破壊兵器等: ・核兵器 ・軍用の化学製剤 ・軍用の細菌製剤 ・軍用の化学製剤又は細菌製剤の散布のための装置 ・300km以上運搬することができるロケット ・300km以上運搬することができる無人航空機 ※部分品も含む。 (※2)開発等: 開発、製造、使用又は貯蔵 (※3)別表に掲げる行為: ・核燃料物質又は核原料物質の開発等 ・核融合に関する研究 ・原子炉(発電用軽水炉を除く)又はその部分品若しくは附属装置の開発等 ・重水の製造 ・核燃料物質の加工 ・核燃料物質の再処理 ・以下の行為であって、軍若しくは国防に関する事務をつかさどる行政機関が行うもの、又はこれらの者から委託を受けて行うことが明らかなもの a 化学物質の開発又は製造 b 微生物又は毒素の開発等 c ロケット又は無人航空機の開発等 d 宇宙に関する研究 ![]()
(※4)輸出令別表第3の2に掲げる国・地域: アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン
(※5)通常兵器: ○需要者確認
輸出又は提供を行う貨物又は技術が、大量破壊兵器等の開発等や通常兵器の開発等に使用されるおそれがあるか否かを需要者の観点から確認するものです。 具体的には、以下の点を確認することになります。 ①大量破壊兵器等(※1)の開発等(※2)を行う(行った)か
②外国ユーザーリスト に該当するか
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