これまでの受賞企業

令和5年度の受賞企業紹介

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製造事業者・輸入事業者部門

部門 受賞企業
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中小企業
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小売販売事業者部門

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令和5年度の表彰式の様子

製造事業者・輸入事業者部門

大企業経済産業大臣賞 リンナイ株式会社
設立 1950年
代表者 代表取締役社長 内藤 弘康
従業員数 11,150名[連結]、3,587名[単体](2023年3月現在)
所在地 愛知県名古屋市
事業内容 主にガス機器とする、熱エネルギー機器の開発・製造・販売
URL https://www.rinnai.co.jp/[外部リンク]

受賞のポイント

●異業種の製品における事故や再発防止策を踏まえた製品安全の向上

NITEの製品事故の検索ツールであるSAFE-Liteなどを通じて、ガス機器に限らず、家電をはじめとした異なる業界の様々な製品も含めた、自社製品に関連しうる製品事故の事例および再発防止の取組を幅広く収集する仕組みを設けるとともに、これを反映した二重安全対策を含むRinnai Originalの自社基準を策定することで、業界水準を超えた製品安全を実現している。

●重要保安部品の指定と生産工程での管理徹底

製造工程におけるヒューマンエラーなどが火災、爆発、感電といった重大な危害に結びつきうる部品を「重要保安部品」と位置づけ、その製造に関わる工程を「重要工程」に指定し、設計/部材/人/設備・治工具/方法/異常処理等の面で、海外を含めたどの事業所、どの国で生産をしても安全性・保証レベルが同じとなる仕組みを設けている。

●工業会を通じた製品安全の積極的な啓発

製品の特性上、設置方法の誤りや経年劣化製品の使用が特に重大な事故につながりやすいことを踏まえ、屋外設置給湯機の囲い込み禁止再啓発による一酸化炭素中毒事故防止や、ガス瞬間湯沸器の有資格者設置再周知によるガス接続漏れ対策、経年劣化製品の早期修理と買換え促進などを、工業会によるポスターやチラシを通じて施工業者や消費者に周知するよう努めている。

大企業優良賞(審査委員会賞) 株式会社LIXIL
設立 1949年
代表者 取締役 代表執行役社長 兼 Chief Executive Officer (CEO) 瀬戸 欣哉
従業員数 51,501名(2023年3月現在)
所在地 東京都品川区
事業内容 住宅及びビルの建材・設備機器の製造・販売、その他住宅に付帯する事業及びその関連サービス業
URL https://www.lixil.co.jp/[外部リンク]

受賞のポイント

●製品安全アセスメントの継続運用と発展

新商品開発プロセスや設計変更プロセスにおいて、全体の設計レビューから独立した製品安全に特化したアセスメントを継続的に運用している。アセスメントを担う人材を一定の実務経験と専門知識を兼ね備えた「専門有識者(マイスター)」に限定することで、アセスメントの精度を高めるとともに、社内における製品安全の専門家の育成にもつなげている。

●高齢者や乳幼児の安全に配慮した安全対策と基準

高齢者や乳幼児による誤使用事故は重大な結果につながりやすいことを踏まえ、特に製品の隙間・開口部への身体挟み込みや、部品の脱落による誤飲等を想定した対策などに注力している。また、より高いレベルの安全を実現するため、事故など明確に危害が生じる場合に限らず、広く健康危害や不安を生じる事象を対象とした安全評価基準の策定も進めている。

●小中学校における製品安全の啓発活動

特に製品事故のリスク等を認識してもらう必要がある小中学生に対し、住まいや暮らしにおける事故防止に向けたポイントを伝えるため、教員の授業用ツール(視聴用DVD、教師向けテキスト、児童・生徒用ワークシート)等の無償提供や、自社社員による出前授業の実施を行っている。単に危険性を教えるのみでなく、自ら事故を未然に防ぐ方法を考え、安全な行動を促すプログラムとすることで実効性を高めている。

中小企業技術総括・保安審議官賞 株式会社オージーケーカブト
設立 1982年
代表者 代表取締役社長 木村 弘紀
従業員数 116名(2023年9月時点)
所在地 大阪府東大阪市
事業内容 自転車・バイク用ヘルメットの企画・製造および販売
URL https://www.ogkkabuto.co.jp/[外部リンク]

受賞のポイント

●開発段階から量産後を通じた社内試験による安全性確保の取組

安全性に関する充実した試験設備を社内に備え、販売前のすべての製品を対象に試験を行うとともに、量産開始後の製品についても抜き取り検査を全モデルを対象に実施し、安全性を担保している。また、合格基準も業界内で用いられる各種規格より高い水準に設定することで、ユーザーが交通事故等に遭った場合にも身体の安全が守られるよう努めている。

●自社の社会的責任と交通事故の発生実態を踏まえた新製品の開発

ヘルメットは使用者の生命・身体を守る製品であり、そうした製品を製造するメーカーとしての社会的責任を果たすため、特に小学生においては自転車乗車中より歩行中における交通事故での死傷者数が多いという実態を踏まえた新製品として「歩行用ヘルメット」を開発している。従来にない製品であるため、製品に求められる性能やその評価方法、事故発生時の転倒シミュレーションの方法も含め、自社で開発している。

●過去の教訓を踏まえた、リコール対応に関する文書の整備・運用

過去に起きた不具合への反省と要因分析を踏まえ、安全上の問題が起きた場合の対応について定めた「コーポレートガバナンス教書」を整備・運用している。不具合等が発生した場合の対応フローや部門間の役割分担、責任の所在を定めるのみでなく、実際に起きた過去の事例と得られた教訓、再発防止の観点で有しておくべき心得なども盛り込むことで、社内の理解および意識が均一化されるよう工夫している。

中小企業技術総括・保安審議官賞 コンビ株式会社
設立 1957年
代表者 代表取締役社長 小堀 英次
従業員数 1,089名[連結]、303名[単体](2022年12月末現在)
所在地 東京都台東区
事業内容 ベビー用品/ベビー生活環境用品/乳幼児玩具などの開発・製造・販売・輸出および技術供与、保育園の運営など
URL https://www.combi.co.jp/[外部リンク]

受賞のポイント

●誤使用事故防止に向けた独自試験・基準の開発と実施

乳幼児用製品の特性上、様々な誤使用による製品事故リスクが存在することを踏まえ、消費者による製品モニターからのフィードバックや窓口に寄せられる不具合の申し出を通じて市場での使用実態を把握し、想定される誤使用例を再現した自社試験を開発・実施している。また、法令や基準に基づく試験に関しては、これらをさらに厳格化した自社基準を設定し、想定を超えた使用がされた場合にも安全性が担保されるよう努めている。

●修理受付時における誤使用事故防止に向けた取組

製品の修理受付時において、顧客から要望があった不具合箇所のみ確認・修理するのではなく、広く製品全体の使用状態を確認している。その上で、誤った使用方法がなされていると思わしき箇所を発見した場合は、正しい使用方法を示したメモを製品に同封して顧客に返送し、誤使用による事故防止を図っている。

●業界を先導した、安全に関する啓発・検証活動や国内外の規格策定への貢献

乳幼児用製品における様々な業界団体を先導し、ベビーカーをはじめとする製品の使用方法等に関する消費者への啓発や注意喚起を行うとともに、鉄道やバスなどの実使用環境における安全性の検証を行っている。また、国内においてはSG基準やST基準の策定に積極関与し、乳幼児製品に関するISO標準に関しては国内代表として国際会議に出席するなど、業界全体での安全性の向上を目指した活動を行っている。

中小企業 優良賞(審査委員会賞) 寿精版印刷株式会社
設立 1961年
代表者 代表取締役社長 鷲谷 和彦
従業員数 497名(2023年5月)
所在地 大阪府大阪市
事業内容 総合印刷業としての製造・販売ならびに販促ノベルティの設計・開発・製造
URL https://www.rex.co.jp/[外部リンク]

受賞のポイント

●短納期が求められるノベルティ製品に合わせた仕組みの導入・運用

短期間で設計・開発から量産を行うことが求められるノベルティ製品においても消費者の安全を担保することを強く意識し、短期間でリスクアセスメント、評価試験、社内モニター、ノベルティ発注元も含むデザインレビューなどを実施する仕組みを導入し、体系的に運用している。また、実施項目の抜け漏れを防ぐため、これまでのノベルティ製品の開発で得られた知見を文書化し、これらを適切に活用することで省力化を図っている。

●市場での使用実態のモニタリングと注意表記の改善

製品流通後も製品の使用実態や不具合・事故情報把握のため、消費者やノベルティ発注元、製造委託先からの情報収集を継続的に行い、得られた情報が適切に社内共有される仕組を設けている。誤使用によって製品に不具合が生じた事例を把握した場合などには、取扱説明書に加えて製品本体にも注意表記を付すなど、必要な情報がより正しく消費者に伝わるよう努めている。

●万一の不具合発生時を想定したトレーサビリティ確保と対応要領の整備

不具合発生時に備え、不良ロット等を特定するためのトレーサビリティ確保に設計段階から取り組み、製品の識別しやすい位置にマーキングを行う等の工夫をしている。また、消費者の危害発生を最小化するためのリコール対応に関する仕組みを文書化するとともに、その内容を自社内のみならずノベルティ発注元および製造委託先とも共有することで、ノベルティ製品における適時適切なリコール判断が行えるよう志向している。

中小企業 優良賞(審査委員会賞) シマ株式会社
設立 1963年
代表者 代表取締役社長 島 直幹
従業員数 47名(2023年7月現在)
所在地 香川県観音寺市
事業内容 一般家庭向け家電製品の研究・開発及び製造・販売
URL https://www.shimacorp.com/company.html[外部リンク]

受賞のポイント

●誤使用事故の防止に向けた製品設計

誤使用による製品事故を引き起こす可能性がある子どもやペットがいる家庭においても安全に使用できる製品となるよう、危害要因になる熱エネルギーの制御を特に意識した製品設計を行うことで、転倒などの際に動作が停止し、加熱部が発火等を引き起こす温度まで上昇しないといった機能を実装させている。

●製品事故や安全規格に関する情報収集と自社基準への取り入れ

類似製品も含めた製品事故の情報を収集し、その実態を踏まえた社内基準の見直しを行っている。また、電気用品安全法上、自社製品に関する規定がなく、対応した試験基準がない現状を踏まえ、関連する国内外の公的機関による認証取得等を最低基準とすることを社内文書で明記し、従業員に周知するとともに、これを遵守している。

●製造上の不具合リスクを最小化する外注先への明確な指示

危害要因となりうるバリや突起に特に着目し、これらの発生を最小化するため、設計図や製造委託先への要求仕様書、品質保証基準書等で明確に指示することを徹底している。バリ取りなどの手直しによってではなく、そもそもバリを発生させない金型設計を意識して取り組んでいる。

中小企業 優良賞(審査委員会賞) 丸栄タオル株式会社
設立 1989年
代表者 代表取締役社長 村上 誠司
従業員数 79名(2023年9月現在)
所在地 愛媛県今治市
事業内容 タオル製品製造、卸、小売業
URL https://www.maruei-towel.com/[外部リンク]

受賞のポイント

●使用者の特性に最大限考慮したものづくり

特に肌がデリケートな乳児に対し、肌の摩擦による湿疹や蛍光染料によるアレルギーの危害を最小化するため、原材料に繊維長の長い綿を使用することで摩擦の少ない柔らかい繊維を実現するとともに、蛍光染料を含めた化学薬品を一切使わない製造工程を確立するなど、使用者の特性に最大限に配慮した製品安全の確保に寄与するものづくりを行っている。

●異物混入のリスクを最小限に抑える徹底した取組

製造工程で混入しうる綿埃や折れ針が製品安全上の危害要因となることを意識し、これらの混入するリスクを最小化する取組を徹底している。綿埃については整経場、機場、仕上場といったすべての作業エリアに全風量空調機を設置し、空気中の埃を除去している。また、折れ針については、検針機による検査および装置の校正に加え、異物の混入が疑われる場合は原因究明と問題解決を最優先としている。

●より厳格な業界基準の策定への貢献

地域の工業組合において経営トップがリーダーシップを発揮し、他の業界団体と協議を重ねることで、製品安全上の危害要因となるホルムアルデヒドの含有量に関する項目を含めた、当時の全国的な業界基準よりさらに厳格な「今治タオル認定基準」の試験項目および合格基準の策定に貢献している。

小売販売事業者部門

中小企業 技術総括・保安審議官賞 てくのハウス株式会社
設立 1984年
代表者 代表取締役 牧野 伸哉
従業員数 30名(2023年10月現在)
所在地 京都府宇治市
事業内容 電気器具及び住宅設備機器の販売、介護用品の販売及び賃貸
URL https://www.technohouse.kyoto/[外部リンク]

受賞のポイント

●SNSアカウントとチラシを駆使した自社顧客および地域住民への周知・啓発

3千人の顧客とつながる自社のLINE公式アカウントと、2万戸の周辺世帯に10年以上継続して毎月配布するチラシを通じて、製品リコール情報をいち早くかつ確実に届けている。また、季節の変わり目において扇風機やこたつといった季節家電の正しい使い方やメンテナンス方法を動画や記事によって伝え、自社顧客以外も含めた広く地域における製品事故の防止に貢献している。

●メーカーからの研修生の受け入れ機会を活用した製品改良のフィードバック

大手家電メーカーからの研修生を毎年継続的に受け入れる活動により、研修期間中の施工経験を通じてメーカー社員が自社製品がどのように施工・使用されているかを把握する機会を与えるとともに、この活動を通じて製品安全に関する改善すべき点を直接的かつ積極的にメーカーに伝えることで、メーカーによる製品安全の向上を後押ししている。

●アフターサービスにも着目した安全な製品の仕入れ

仕入れ製品の選定時において、製品レベルでの製品安全が担保されているかに留まらず、万一の不具合発生時においてメーカーから修理や製品交換などの十分なアフターサービスが実施され製品事故等が防止されうるかという点に着目し、適切と判断される製品のみを仕入れることで、顧客の安全を担保している。