これまでの受賞企業

令和3年度の受賞企業紹介

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製造事業者・輸入事業者部門

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株式会社ベネッセコーポレーション

徳武産業株式会社

株式会社カイノ電器

日刊工業新聞でPSアワードと受賞企業が紹介されました。
「安心・安全をつくる」-第15回PSアワードより-

製造事業者・輸入事業者部門

大企業優良賞(審査委員会賞) AGCテクノグラス株式会社
設立 1999年
代表者 代表取締役社長 山川 博
従業員数 478名(2021年8月)
所在地 静岡県榛原郡
事業内容 ガラス製品の製造・販売
URL https://www.atgc.co.jp/ [外部リンク]

受賞のポイント

●製品安全に関する方針明文化と体制整備、年間活動計画の推進

経営トップの定める社内方針に製品安全について明文化するとともに、製品事故の防止に向けた部署を横断した製品安全管理体制を整備し、部署ごとに製品安全に関する年間活動計画・目標を設定し推進している。計画の進捗状況は社内イントラネットを通じて見える化し、3か月ごとに開催される品質管理責任者会議で報告を求め、適宜見直しを図る運用とすることでPDCAサイクルを繰り返している。

●高齢者等の特性に配慮した設計と自社独自の試験によるリスク評価

力が比較的弱い高齢者や子どもの身体的特性を踏まえ、落下等による事故を防ぐ持ちやすい製品形状にしている。また、製品の持手部分が故障時に重大な事故につながることに留意し、装置設計を含め独自に評価方法と規格を策定した試験によって固定部の緩みや溶着部の剥離がないかを確認している。

●事故情報の迅速な情報共有と対応の意思決定の仕組構築

過去の製品事故による教訓を踏まえ、事故や不具合に関する情報を関係者間で速やかに共有するための事故速報ルール"Bad News First"を定めている。これに基づき、事故発生から2時間以内に関係部署を集めた会議を開き初期対応を行うとともに、製品事故と判断された場合は4時間以内に経営トップを含む関係者で二次会議を開催し、親会社への報告と最終的な方針決定(販売停止やリコール実施の要否、顧客への注意喚起など)を行う仕組を設けている。

中小企業経済産業大臣賞 徳武産業株式会社
設立 1966年
代表者 代表取締役社長 西尾 聖子
従業員数 80名(2021年8月)
所在地 香川県さぬき市
事業内容 ケアシューズ(高齢者用シューズ)、ルームシューズの開発・製造・販売
URL https://www.tokutake.co.jp/ [外部リンク]

受賞のポイント

●高齢者の転倒予防のための個別状態を踏まえた細やかな靴づくり

高齢者の転倒予防を第一に考え、筋力の低下にともなう歩き方の変化に着目し、つま先の適度な反り返りや特殊な中敷きなどの独自の工夫を凝らした製品の設計・開発を行っている。こうした製品については、製品安全に関する自社基準に照らしたチェックと、高齢者によるモニター実施や、靴製造や整形外科、福祉関係者などの外部専門家からの客観的なアドバイスと製品評価を踏まえ、安全性を担保している。また、高齢者の個別の状態に対応するため、業界初の従来にはなかった左右サイズ違いや片方のみでの販売や、顧客の要望を聞き取った上で安全な靴に調整するパーツオーダーシステムを導入している。

●アンケートによる不具合情報の収集と改善に向けた取組

年間約20,000枚の返信がある顧客向けアンケートはがきを通じ、製品の不具合や使用実態についての情報を収集・分析し、製品安全上の問題点の早期発見を目指している。得られた情報は、経営トップや社内全部署の代表者が出席する2か月に1回のクレーム周知会によって社内共有し、各部署での具体的な改善のアクションにつなげており、新たな製品開発時のペルソナ(モデルとなる具体的ユーザー像)の設定にも役立てている。

●自社・製造委託先・販売先などに向けた充実した製品安全教育

自社従業員に対し月1回の頻度でドイツ整形外科靴マイスターを講師とした製品安全に関する知識および技術継承の機会を設けている。また、製造委託先に対しては高齢者や障がい者の歩行状態を記録した動画や、靴と合わせて使用される装具に関する情報を提供するなど、使用者についての情報と求められる安全性の水準について共有を図っている。さらには、全国の販売店を対象とした研修プログラムや資格制度を設けるなど、製品安全の実現に向けた働きかけを幅広いステークホルダーに対し行っている。

中小企業技術総括・保安審議官賞 株式会社近澤製紙所
設立 1953年
代表者 代表取締役社長 近澤 隆志
従業員数 108名(2021年8月)
所在地 高知県吾川郡
事業内容 大人用紙おむつ、介護関連用品の製造・販売
URL http://www.chikazawa.co.jp/ [外部リンク]

受賞のポイント

●現場でのモニタリングを通じたリスクの洗い出しと安全性の確認

体格や年齢などが幅広い一方、筋力や認知機能の低下といった問題を有している場合が多いというユーザー特性を踏まえ、社内および介護施設等での製品モニタリングを重視している。開発段階では見つからなかったリスクの洗い出しを行うとともに、安全性が確認できることを製品化の前提条件としている。これにより、履く際にバランスを崩して転倒や、肌との相性による炎症等の発生といった製品による危害防止を図っている。

●徹底した製造ラインのチェックとトレーサビリティの確保

製造時とパッケージ終了時の抜き取り検査や、画像等による検査装置と熟練作業者の目視による二重のチェックの仕組によって異物混入や製造不良を防ぎ、製品安全を担保している。また、製品やパッケージへのロット番号を刻印することで、いつ、どの原料、資材を使って、どのラインで、どの作業班によって作られたかまで追跡可能とし、不具合品の特定と原因究明につなげている。

●コロナ禍に対応したオンラインでの積極的な情報発信

コロナ禍により対面でのコミュニケーションが困難になったことを踏まえ、専用のスタジオを整備し、オンラインによる製品安全の質の高い情報発信に取り組んでいる。介護現場を訪問しての講習会が開催できない状況に対応するため、肌荒れや転倒にもつながるような誤使用を防ぐことを特に意識し、誤った着用法により発生する紙おむつのシワや細かな装着位置も撮影できる高性能のカメラを導入することで、対面に近い情報提供を可能としている。また、介護事業者や一般消費者といった受け手の知識レベルなどの相違を踏まえ、同一製品でも複数のパターンの解説動画を作成することで、製品の正しい使い方が伝わるよう意識している。

中小企業技術総括・保安審議官賞 株式会社アテックス
設立 1934年
代表者 代表取締役社長 村田 雅弘
従業員数 220名(2021年11月)
所在地 愛媛県松山市
事業内容 電動車いす、農業用機械(草刈機、運搬車、作業機)等の開発・製造・販売
URL https://atexnet.co.jp/ [外部リンク]

受賞のポイント

●精緻なリスクアセスメントと多様な試験による安全確保

高齢者の行動を踏まえた自社安全基準に基づく安全設計を行っている。故障モードをベースとした設計審査を開発開始から量産開始までの各段階で4回にわたって行い、精度の高いリスクアセスメントを実施するとともに、その記録を適切に整理・管理している。加えて、完成した電動車いすに対し、安全・信頼性の確認試験・検査として、様々な悪条件下での意地悪試験、転倒・落下・衝突試験や加速試験等を行うといった独自の取組をしている。

●重要保安部品の指定と生産工程での管理、仕入先への指導等による安全確保

製品安全を実現する上で重要な部品を「重要保安部品」と指定するとともに、関連する生産工程を「重要保安工程」として指定するといった重点管理が設計開発から生産ラインまでのプロセスでなされている。重要保安部品の仕入先には毎年、指導・監査を行っており、海外の一次仕入先に対してはその上流の仕入先に対して製品安全・品質確保の観点からの教育ができるよう指導している。また、必要に応じて2次や3次仕入先への監査を自ら実施している。

●「問題解決5原則シート」等を活用した原因究明を踏まえた再発防止の徹底

市場の不具合・事故が発生した際には、「是正処置書」または「問題解決5原則シート」を活用して、原因究明と再発防止の検討に取り組んでいる。得られた検討結果に対しては、効果確認とともに体制や規程類に反映する仕組が設けられている。また、不具合・事故情報を広く収集するため、購入者だけでなく、地域に密着した販売店を通してセカンドユーザーの登録も進めている。

中小企業優良賞(審査委員会賞) サクラパックス株式会社
設立 1947年
代表者 代表取締役社長 橋本 淳
従業員数 303名(2021年3月)
所在地 富山県富山市
事業内容 段ボールの製造販売、包装資材の販売
URL https://www.sakura-paxx.co.jp/ [外部リンク]

受賞のポイント

●消費者の声を踏まえた「持ちやすいダンボール」等の開発・製造

営業担当者による日々のヒアリングや市場調査を通じ、消費者からの声に積極的に耳を傾けることで、段ボールの持ちにくさが使用者の腰痛や手指の切傷といった製品安全上の問題を引き起こすことを把握し、安全性の高い段ボールの開発に取り組んでいる。その成果を、従来品より把手の強度を向上させ、人間工学的観点からの握りやすさに配慮し面圧力を低減した「持ちやすいダンボール」として製品化している。また、同製品に限らず、段ボールの断面にあるシャープエッジで手指を切ることを防ぐウェーブカット形状等も積極導入している。

●企画・設計・試作・量産の各段階でのリスク洗い出しと評価の仕組

企画・設計・試作・量産の各段階で量産化ミーティングと呼ばれるチェックポイントを設け、各段階の最終判定者が製品安全を含めた評価を行い、次の段階に進めるか否かを判断している。これにより早い段階での課題の洗い出しと対策の検討・実施を可能としている。また、評価にあたっては自社の試験設備を活用し、参照すべき公的規格が存在しない場合は独自の試験方法・要求を考案するとともに、治具の作成を行うことで対応している。

●経営トップによる安全に関する方針の文書化と社内への浸透の仕組

経営方針と併せて安全に関する方針を経営トップ自らが記した「経営計画書」と、経営理念や哲学、社員の心がけなどをまとめた「サクライズム」の冊子を全社員に配布し、会社全体への浸透を図っている。両冊子は各種会議への持参を義務付け、会議冒頭で必ず唱和や意見交換の時間を設けることで、従業員の製品安全に関する当事者意識を涵養している。

小売販売事業者部門

大企業経済産業大臣賞 株式会社ベネッセコーポレーション
設立 1955年
代表者 代表取締役社長 小林 仁
従業員数 1,908名(2021年3月)
所在地 岡山県岡山市
事業内容 教育・生活事業
URL https://www.benesse.co.jp/ [外部リンク]

受賞のポイント

●パーパス・イズムに基づいた製品安全活動

経営のコミットとして「存在意義:パーパス」と「5つの判断基準/10の行動基準:ベネッセイズム」を定め、消費者のための安全を明確にしている。これを実現すべく同社では製品安全を統括する「商品・サービス安全管理部」を組織し、各種規定の制定や各工程における安全審査の運営、事故発生時の対応判断など、全社の横串組織として各事業部門に対応する体制を構築している。また、各事業部には、事業部内における製品安全活動の推進役として「安全管理担当責任者」を置き、商品・サービス安全管理部と各事業部が適度な緊張関係の下、共同で安全を管理する「製品安全管理体制」を構築している。

●製品に関わる全事業部門における「商品安全PDS推進」

製品に関わる全ての事業部門において、製品安全への取組に関する目標設定・計画・実行・検証・次年度申し送りのサイクルを回す「商品安全PDS推進」を展開している。活動内容は、共通フォームで可視化され、事業部門責任者の承認等の統制機能を有している。また、商品・サービス安全管理部が全社の状況を俯瞰しつつ、要所で事業部門の支援・牽制機能(目標設定の妥当性確認・提案、計画の進捗確認・サポート等)を担っており、進捗の経過、成果を確認し、全社に水平展開を行っている。

●安全管理部と事業部門の連携による「個別製品の安全担保」

最大20万部レベルの製品を一斉に送付するビジネスモデルにおいて、商品・サービス安全管理部と事業部門との連携により、それぞれの活動に取り組み、個々の製品の安全を担保する活動を長年にわたって行っている。商品・サービス安全管理部においては、2009年に策定した同社独自の製品安全基準の運用と定期的な見直し、取引先の登録・評価制度の運用、検査機関登録制度の運用、工程の要所で実施する安全審査・入庫検収等を実施するとともに、事業部門においてはリスクアセスメントの実施、試作品を実際に使用してもらい課題を検証するモニター調査等を実施している。

中小企業経済産業大臣賞 株式会社カイノ電器
設立 1926年
代表者 代表取締役社長 海野 晋
従業員数 14名(2021年8月)
所在地 山形県寒河江市
事業内容 家電小売・住宅設備・パソコン教室
URL https://kaino-denki.jp/ [外部リンク]

受賞のポイント

●高齢者の事故防止に向けた継続的な見回り活動や製品の仕入れ・販売

新たに取組を開始した年間を通じたエアコン点検活動を含め、少なくとも2か月に1回は高齢化の進む各顧客の家庭訪問を実施している。コロナ禍による帰省自粛により高齢者への目が行き届かない現状を課題として認識し、製品が安全に使用されているかを特に注意して確認するとともに、製品の使用方法に関する疑問点や不安の解消に努めている。また、高齢者の行動特性や身体的特徴などを踏まえ、操作性やメンテナンスの行いやすさなどに着目し製品安全を意識した製品の仕入れ・販売を行っている。

●製品トラブル等の自社での検証とメーカーへのフィードバックの継続

温暖化の進行による気候変動が原因と考えられる製品の不調や、従来からの設計変更による新たな不具合の発生、顧客の誤った使用による故障など、ユーザーと直接つながる電器店としての立場を活かして製品トラブルの事例を収集している。また、そうした問題の再現を自社でも行うことで、原因分析を試みている。その上で、メーカーの上層部に対し、トラブル事例やユーザーの使用実態をフィードバックするとともに、設計変更による問題解決を含めた提言を継続的に行っている。

●様々なステークホルダーへの製品安全に関する情報の発信

製品の点検を広く呼びかけ、製品事故の防止を目指す「製品安全総点検月間」の情報発信に積極的に協力している。具体的には、エアコンや電源タップの点検ポイントや正しい清掃方法を解説する動画への出演および内容に関するアドバイス提供、小学生が製品安全について楽しく学べることを意図した冊子の店舗での配付、店舗での啓発ポスターの掲示を実施している。また、地元の小学校を対象に製品安全に関する出前授業や前述の冊子配布の協力依頼を行っている。加えて、山形県電機商業組合の常任理事の立場から、全国および県内の組合員に対し情報発信への協力を広く要請している。

上記以外の団体・企業部門

ネットモール運営事業者部門特別賞(審査委員会賞) アマゾンジャパン合同会社
設立 2000年
代表者 社長 ジャスパー・チャン
従業員数 9,500名以上
所在地 東京都目黒区
事業内容 インターネット等を利用した電子商取引事業、電子商取引サイトへの出品サービス業務・物流業務等
URL https://www.amazon.co.jp/ [外部リンク]

受賞のポイント

●製品事故の拡大防止のための即応体制の構築

消費者等から製品事故が疑われるような連絡がカスタマーサービス等にあった場合に、製品の即時販売停止を行える仕組を導入している。販売停止後は、社外関係者とも連携した波及範囲の特定、原因調査、是正措置を行った上で、販売再開か販売停止の継続かを判断する仕組としている。

●製品事故等に関するデータ分析ツールの導入

安全性に疑いがある商品やポリシーに違反する商品を、消費者に影響が出る前に早期に検知することを目指し、過去の製品事故情報をはじめとしたさまざまなデータを機械学習等により分析するツールを導入している。

●社内外教育の推進による製品安全文化の醸成

製品安全に関わる全社的教育プログラムを推進し、多様な部署の従業員を集めた勉強会を行っている。また、販売事業者向けに教育コンテンツ等を公開することで安全への意識を高めるとともに、定期的なアンケートで寄せられた意見を踏まえた内容の改善により教育効果の向上を図っている。